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米国の「中流」はもはや「中流」ではない。

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この前、「最近、私は、不動産投資を、長期ホールディングから、短期融資のほうに、スイッチしつつあります」という記事を書き、多くの方から、ご好評を頂戴しました。

その中には、実際に米国で自宅をお持ちの方から、こんなコメントも、、、(正確な引用ではなく、コメント概要とさせてください)

「我が家は、東部ですが、40万ドルくらいの時価です。中山さんのおっしゃるように、この物件を貸せば、ここでは、レントは、2,500ドルくらいだと思います。自分たちも、引っ越すとなったら、確かに、(手間のかかる賃貸をするより)売るかなと感じます。その際には、こうした投資案件ご紹介、お願いしますね。」

実際に物件に意味のあるエクイティ(売却したときに、お金が戻ってくる)がある方は、物件を管理する手間と、売却して得た資金を再投資する際の比較に、意味がありますね。

さて、私が、「賃貸は昔より相当な手間になってきた」ということをいった理由は、「賃貸層の劣化を感じる」ようになったからですが、この前、まったく別のアングルから、私の感じていることを、上手に説明してくれる記事が、日本のメディアに翻訳掲載されていましたので、ご紹介します。

それが、上の挑戦的?なタイトルの記事、

米国の「中流」はもはや「中流」ではない
この30年で格差は広がるばかり

です。(東洋経済オンライン)


元の記事を逆に手繰ってみました。リベラルな論調がいつも格調高いニューヨークタイムズの経済専門ライターの記事でした。

元の記事はこちらから。

いわく、「米国におけるITなどのテクノロジーの進歩には目を見張るものがある。その反面で、中間層の経済状況は、悪くなるばかりだ」ということです。

■昨今の典型的な世帯の年収は、5万1、017ドル。これは、25年前と変わらない所得水準だ。
■36年前の米国の貧困率は、11%。同じ定義を用いると、今日、15%にあがっている。
■他方では、医療費支出は、1988年から2倍に
■大学進学ローンが必要な人の比率は、45%から3分の2に。平均額は、2万3、300ドル
■米国では、富の半分を、富裕層が掌握しており、貧困層のみならず、中間層も割り食っている

上の方の物件を例に具体的に検討してみましょう。コメントを寄せてくださった方は、東部に、このお宅をお持ちです。

毎月2,500ドルの家賃を払える賃借人を探すとすると、その方は、額面月収が、最低、その3倍、つまり、7,500ドルないと困ります。年収目標9万ドル。もちろん、過去に、似たランクの物件を賃貸していて、前の大家さんの推薦状があるような人。

しかし、世帯平均が、5万ドルという世界で、9万ドルの額面年収のご家庭を探すとすると、なかなか、大変。

このランクの世帯が、家を買わずに賃貸したいとしたら、理由は、ほぼひとつ。

>与信が、悪くて、家が買えない

からでしょう。


もちろん、例外として、与信が悪くない方、いろいろなプロフィールの方はいるでしょう。


*与信が悪くなくても、家を買いたくないと思っている層
高齢で、家を買うより、借りるほうがらくだと決めている人。
期間限定の単身赴任で、もう家がある。
会社の都合で、万年転勤族。

*そもそも、与信、米国内に信用がない層
海外在住だった米国人や、仕事を得て米国に引っ越してきたばかりの人で国内に与信なし。


しかし、これらは、例外であって、典型ではないのです。

もちろん、それなら、駐在員だ、ということで、例えば、「カルフォルニアで、日本人がたくさん住んでいるエリア」で物件を買えば、「数年住んだら、きれいに出て行く家族」が、何組も、物件を借りなおしてくれる可能性がありますが、他方では、そうした物件は、ターゲットが限定されるため、今度は、別の意味で、景気変動に左右される可能性も、あるでしょう。ずばり、日本や日本企業の景気に、ですね。

事実、ハワイの景気なんかは、過去30年を振り返れば、この波を受けて、ずいぶんと、変動してきたことを体で覚えている方も、多いかもしれません。

こう考えると、今、アメリカの普通の家庭への信頼というのは、正直、ずいぶんと、揺らいできているというのが、私の正直な実感。別の言い方をすると、このランクの家庭は、自信やプライドを失っているという言い方もできます。

こういう状況で、賃貸業を営むと、不特定多数を相手にするリスクというものが、今まで以上に厳しく感じられます。

しかも、賃貸の場合、FAIR HOUSING(不動産における機会均等法)の対象として、基本、QUALIFIEDな申請者がいたら、FIRST COME,FIRST SERVE(順番通り)でないと、関係者が納得しません。

具体的に説明しますと、

■MLSに物件を掲載する。当方の貸主側レアルターが受付を担当する
■ネットを見て、数人のレアルターさんが、数人のテナント候補を連れてくる
■申込書が届いたら、審査基準に到達している限りは、一番に来た人を、承認しないといけない

わけです。

ここで、「数人をプールしてから、一番ましな人を選びたい」とか、「日本人でないといやだ」とかいったら、そこで、いきなり、人権侵害で、相手にばれたら、訴えられます。今後の付き合いもありますし、不動産業者さんは、ライセンスもかかっているわけですから、菓子折りを持っていっても、当方のため、違法に便宜を取り計らってくれるようなことはできません。

そうすると、結果として、まあ当たり前といえば当たり前ながらも、フェアプレーで、「基準自体を許容範囲内で、最低限に下げたうえで、その基準を最初に満たした人」を入れていくしかないわけですね。

一つ前の記事で、「年収が10万ドル近くありながら、わざと、ローンを踏み倒したというような過去がある人に、融資をした当方投資案件例」をアップしました。このケースと、当記事を読み合わせてみてください。よければ、その後、下のケーススタディーを検討してみてください。あなたの回答は、どのようなものでしょうか?


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ケーススタディー設問:

上の記事に出てくる家を、こちらが、投資家として、9万ドルで購入して、賃貸に出すプランを立てたとします。

家賃相場は、900ドルとします。この記事に出てくる人が、敷金1ヶ月分、初月の家賃1か月分、あわせて、1,800ドルの小切手を持って、この家への入居を希望してくれました。プロフィールを再度確認すると、「2年前にローン返済拒否してフォークロージャーにあったが、実は、上場企業に職があり、今の年収は10万ドル弱」です。このご時勢ですので、管理会社の観点からすれば、「この人を断るなら、もうお付き合いできません」くらいいってくるだろうと思えるレベルの硬さです。

しかし、実際、自分の利益になることがわかっていれば、冷静にロスカットができることがわかっているこの方は、9万ドルというわが資産を任せるに当たり、長期にわたってよい賃借人になってくれそうでしょうか?

このプロフィールの方を相手に、この家を使って、ビジネスをしないといけないといわれたら、9万ドルを投資し、この人から、1,800ドルをもらって、その家の賃借人として、取引することを選ばれますか?

それとも、9万ドルではなく、半額の4万5,000ドルを使い、この人が、同じ家を、4万5,000ドルを投入して買ったところで、それに付け加えて、お金を貸すという先の記事の取引のほうを選ばれますか?

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中山からのコメント:

前者の場合、固定資産税、火災保険、管理会社フィー、修理代は、すべて当方持ち出しですので、利益は、年度の終わりまで、確定しません。いずれにせよ、いちばんいいシナリオを想定したとしても、この人は、1年たったら、自宅が買えるようになるのですから、1年契約が終了した後には、翌年には、再契約してくれない可能性が高く、そうすると、また1年で、物件のペンキ塗りなおしと、再募集ですね。

他方、今回、4万5,000ドルの投資については、この1年間の間に、この物件、修理があったかどうかすら、こちらは、関係ないので、聞いていません。


関連して、東洋経済の
「ニューヨークの格差拡大は”天の恵み”か?
ブルームバーグ市長がこねた屁理屈を検証する」

も、よかったら、ご参考にされてください。


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