あなたにとっては、値上がりや物件ホールディングだけが投資戦略ですか?
こんにちは。
中山道子です。
この前、お知り合いの方が、米国転勤を終え、ご自宅を売却されました。SNSに、一般公開設定で、そのことをお話されているので、物件所在地などはすべて割愛の上、多少、援用しても、問題ないかと思います。
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2008年 X月
$41X,000でリスティングされていたものを$40X,000で購入
2014年 Y月
$42X,000でリスティング、売りに出した所$4X2,000で売却
アメリカはやはり土地が広いです。
こんなに大きい物件でも4000万円程で購入出来ます。
そして約$30,000程家が値上がりしていますが、それには理由があります。
6年住んでいる間に実は1000万円程修理をしました。
屋根、デッキ、窓、キッチン、フロントドアetc…
1000万円投入して、家の価値はおよそ3割しか上がっていません。
思うに業者に頼むとレイバーコスト(労働コスト)が7割残りの3割が材料費になるのかなと。
いずれにせよ700万円の損です。
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6年居住され、米国で働かれたのですから、税金の問題や賃貸の家賃、クオリティオブライフを考えると、いろいろな意味で、大いにプラスにされた経験かと思いますが、しかし、実際に、物件の購入価格の4分の1である1,000万の修理を施してようやく、購入時と類似価格で売却できたと聞くと、純粋に投資目的で行う人間にとっては、ぎょっとする数字かとも思います。
これ、投資物件を、遠隔から回す人間には、忘れがちな視点で、日本でははなからそうですが、バブルがはじけた後の米国でも、
賃貸物件と実需物件の差
というものが、大きくクローズアップされてきています。
日本の場合、戸建て賃貸という戦略は、それほど主流じゃないですが、日本の大家さんは、よく勉強されているので、そうだよな、とすぐ合点していただける方も多いかもしれません。
実需物件というのは、米国では、特に、台所やバスルームなどの水周りのしつらえに、差が出ます。具体的な例を挙げていくと、、、
実需に好まれる特徴〔一般的〕
■レンガ外壁 〔樹脂サイディングのほうが安いですがレンガのほうがメンテが楽〕
■家屋内ガレージ 〔当たらし目の家は、ウオークインで2台分が標準〕
■大理石カウンタートップ、高級木材キャビネットやアイランドのある台所
■高級なバスルームキャビネットやシャワーヘッドなどのあるバストイレ
いずれも、賃貸の場合、オーナーが、「そこまでコストをかけない」場合が多いアイテムです。実は、鑑定額には、大きな差が出ません。鑑定にインパクトを与えるのは、上の中では、唯一「ガレージ」くらいでしょう。
しかし、実際に売るときに、だらだら売れ残り、値引き交渉の対象や引き下げの羽目に陥る物件と、即、オファーが殺到する物件との差となって現れるのです。
中古販売において、長期的な信用を大切にする場合は、上のような表面的なことだけではなく、CODE〔建築基準法〕遵守や、地下室の浸水対策などの【まったく素人や、レアルターさんにすら、わからないレベル】のことまで、気をつけなければいけなくなります。
バブルのときは、このような細かい区別は、それほど、ありませんでした。10年前は、そこまで、ラグジュアリーが当たり前という観点も、低かったような気がします。ここら辺、やはり、テレビの影響もあるかなと思います。みんなが、同じテレビ番組を見て、「ああいうのが標準よね」という共通観点を、築いていっているのかなと、感じます。もちろん、インターネット広告は、さらに、直接的な影響をもたらしました。いきなり、隣の物件と、中が数分で比べられてしまうのですから、価格.COM状態です。
ということで、このように、「コスト効率を最大化しながら賃貸する」戦略と「売却時のエグジットをもっとも容易にする」戦略は、相反します。
なので、通常は、何らかの、妥協が必要です。
例えば、「安めで、賃貸に出せそうなレベルの物件に最小限の手をいれ、貸し出す。売却するときには、修理をして売る」といった、、、
そのため、賃貸がうまくいっていても、売却時に、どれくらいのコストをかけなければならないかという問題を、常に意識している必要があります。
ということで、今日のお題は、「値上がり・賃貸だけがあなたの戦略ですか?」というタイトル。
私自身、物件値上がりから売却益を得たこともあり、もちろん、物件の値上がりは、大きなメリットがあることを、自分自身、体感しています。賃貸自体、今もやっています。
しかし、不動産投資家として食っていく生活において、「長期に見て、これらだけが戦略では、心もとない」とも感じています。
不動産には、いろいろな方法で、食っていく方法があります。
■物件の値上がりに期待する
■値上がりには期待せず、家賃のキャッシュフローに期待する
上は確かに王道です。しかし、2014年、最近の私は、上の二つについては、見聞を広め、経験値が広がるにつけ、心配性ともいえるほど、「警戒」するようになっています。ある意味で、この10年で、私の関心は、「いかにゼロから儲けるか」から、「いかに、投資パフォーマンスを安定させるか」に移行したといえるでしょう。
例えば、いまどきの値上がりは、年率数パーセント。2年先のことを予測するのも難しいですが、6年、10年先のことを想像するのは、現実問題として、無理なんじゃないかと思うくらい、「堅実な計画」というのは、立てにくいのではないでしょうか。〔アバウトなイメージなら出来そうですが〕
具体的に見ていくと、今後の米国の10年間の間、戸建てや区分所有の実需ニーズは、高齢者やエスニックマイノリティの増加を中心として、上乗せされることが予測されます。その意味で、米国の状況は、日本より、明るいということは、間違いないようにも思えます。
このような状況から、日本で成功している不動産投資家の方々が、有名コンサルタント・レベルの方も含め、みな、こぞって、アジアや、米国不動産の投資の勉強に着手されています。「今はよくても、将来が、不安で、、、」といったところでしょうか。
さて、米国内の上のどちらのトレンドも、それ自体は歓迎されるべきトレンドですが、しかし、気をつけないといけない点も多々あります。
高齢者向けの実需案件は、今後、より若い世代と異なった住居ニーズやフルリフォームを要求することになるでしょう。
【例えば、若いファミリーに最適な、広いスペースの二階建てや、地下室は、この層には不要・危険】
また、実は、マイノリティの所得やローン取得率は、統計を見る限り、白人のそれとは遠く及ばないため、これらの新しい顧客層をターゲットとする市場が、どのようなものとなるかは、容易には、判断がつきません。
【大体にして、こうしたマイノリティの方は、白人と、居住するエリアや志向が異なる傾向があります】
現在、5室以上のアパートである商業案件の投資環境は、すでに順調に回復しましたが、これは、小口投資家の手が出るエリアでは、ありません。
大変いい材料として、賃貸は、ビッグ・データ的には、全国的に、大変好調なのですが、しかし、反面、雇用やワーキングクラスの所得の回復が遅れているのを見ると、滞納率の悪化が、水面下で進んでいる可能性を考え、慎重にやっていく必要があります。
このようなことから【他にもありますが】、私自身は、
ここ2年以上、米国不動産の購入はできていません。
投資自体は、続けていますが。値上がり地区もあったので、この間、「どこもダメだったんです」ということではなく、精度を安定させるため、あえて、今は、「今年はこちら」「来年はあちら」といった冒険は、していないことが理由です。
「値上がり」を求めて、それをやると、結局後追いになる=ババを引くことになる場合もありますし、管理フォローなどの体制作り【MYチーム作り】に、毎回、「新しく起業」するレベルのエネルギーが必要になる反面、そのコストが、毎回、なかなか、正当化できるとも限りません。
なので、ここ1、2年の物件購入で、よい拾いものができた方も多いかもしれませんが〔結構なことだと思います。よかったらぜひ成果を、メールで教えてください〕、私自身は、以上のような理由で、長期運用率の安定のほうを、重視するにいたっています。
2014年の視察旅行【こちらからどうぞ】やスカイプ投資家トレーニング・セミナー【締め切りました】では、こうした話を、どんどんしていこうと思います。
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