アジア移住は、高い! が新時代の常識に
中国在住の対米不動産投資家の中山道子です。この前、ふとしたきっかけで、現地の日本人学校のHPを見たら、「経営が苦しいため、値上げ」ということでした。
入学金は、1万5,000元。2014年現在の相場で、25万円です。
また、学費は、月間5,000元。どうやら、学期ごとではないらしく、たぶん、お休みの月は、払わなくていいのかとは思いますが、現地並みのお休みで、9ヶ月なのだとすると、4万5,000元は、なんと、年間、74万円になります。これに、通学バス代が付け加わるわけで、細かくは知りませんが、学校関連費用は、100万が目標と見て間違いないでしょう。
こちらの駐在の方の話によると、会社によっては、日本人学校の学費すら出ないため、単身赴任族が多いというお話でした。自己負担となると、お子さんが数人おいでの場合、こんな費用を払うくらいなら、「日本で受験し、日本の私立に入ることができたら、そっちに通学したほう/日本の公立で節約をしたほうが」ずっといい、ということになりそうです。
この学校も、現地通貨高騰で、悪循環となったのでしょうね。
学校自体は、200人といった生徒を抱えても問題ない規模の「箱」を作ってしまった反面、実際の生徒の数は、今、70人もいない様子です。水のないこの中国で、馬鹿正直に、日本の体育の授業を再現するために、立派なプールも抱えています。《中国では、水泳は教わりません》
昔、アジアは、欧米に比べて、生活費が安く、駐在の方は、お金がたまる、ということが言われたかと思いますが、こうなると、「アメリカやカナダ勤務なら、近くの公立に行かせられるから、先進国勤務のほうが、ぜんぜん、いい!どっちにしても、海外勤務したくないから、日本にいたい!!」という時代になったのかもしれません。
もちろん、今でも、単身や夫婦のみであれば、贅沢をしなければ、日本より楽に暮らせます。ですが、それは、結構、特別な場合。
■留学生の場合は、大学寮に入り、学食で食べる→学費20万を入れて、年間100万
■会社の寮。会社持ちでない時は、現地の人に準じた同じ生活をする
■現地就職組。現地語を駆使し、現地の人ともルームシェア→一人で年間50万
■少林寺拳法のお寺入り。拳法を学びながら寮で生活→ビザを入れて年間100万
などの限られた例ではないでしょうか。最後の例は、私、興味を持って、ちょっと調べちゃいまして、、、笑
しかし、1)現地の言葉をマスターせずに、2)日本に準じた生活をして、3)しかも、手厚い健康保険にもしっかり加入する場合、実は、もう、生活費は、先進国並みになっています。家族持ちにとっては、この例のように、教育費がネック。大人二人なら、必要ない費用なんですよね。
もちろん、こうした国にも、公立はあるわけですが、中国の私の居住地の例をとると、公立に進学するのは、結構大変なことらしく、希望する学校と教育委員会に依頼をかけるそうなんですが、まず、その時期が、決まっており、こちらが転入した時期を基準にできるわけではないと聞きました。学校によって、外国人受け入れ指定校であるかとか、また、外国人の比率が決まっていて、一校に数人とか、極端に定員が少ないため、すでに外国人がいる学校は難しいとか、、、
中国では、中産階級の多くの親が、「公立を信用していない」という事情も加わります。
公立学校は、すごく競争があって、学力面で、トップ校も多数ある反面、体罰や袖の下が横行したりといった実情も、存在しているようで、余裕のある親の場合、結構な比率で、
「自分も、公立教育には苦労した。公立に行かせるくらいなら、決まった学費さえ払えば、生徒を能力に応じて正当に評価し、のびのびと育ててくれる私立のほうがいい」
と思っている方も多いようなのです。公立の超有名校の場合、逆に、上のような事情で、お子さんは、お金持ちのうちの子ばかり、みんな、高級車で乗り付けてきて、富を競い合うようなところまであるとか、、、汗
私も、公立(普通のw)を検討したことはありましたが、いろいろいわれ、勉強が追いつくまでは、とてもではないが、難しいと感じて現在に至っています。子供も中国の学校に入って3年たち、今は、勉強も追いつきましたので、次に、転校を考える必要があれば、地元の公立なら、やっていけそうです。しかし、ここまでくるには、相当な手間がかかりました。
これに対し、例えば、アメリカ駐在なら、会社の指定するエリアに物件を借りれば、通常、学区もよいですから、学力や編入時期にかかわらず、公立に通わせることができるわけですね。英語ができない外国人向けのESL学級というものも、あるそうですし、、、
さて、ここで、中国の場合のコスト高の要因を、再度、検討しなおしてみると、、、
■教育。先進国より高い
■住居費
■食費
■車代
■健康保険
■旅費
です。教育については、上で、検討したとおり。
□ 住居費
賃貸は、一般に、日本より安い。他方、駐在組が住む「外人マンション」は、日本の高級マンション賃貸に準じる賃料で、リタイヤ組には、苦しい固定費。さらに、購入する場合は、クオリティを考えると、主要都市では、日本より高い。
□ 食費
現地の普通の人と同じでよければ、日本よりずっと安い。他方、農薬や重金属が気になるからと、日系企業の製品を購入することにしたり、オプションがある場合に、地元企業の商品でなく、外資系企業の現地製品、ひいては、輸入商品を買おうとすると、どんどん、高くなる。
例1: 野菜は、地元で買えば、日本の10分の1です。大手スーパーなどに行けば、海外へ輸出するランクをうたっている野菜が、この倍から3倍くらいの値段でしょうか。さらに、「大地の会」の100%無農薬野菜を買う場合は、産出量がすごく落ちるらしく、日本と同じ価格です。
例2: 例えば、ジャム。中国製品なら、1ボトル、100円弱。キューピーの中国製品なら、200円。フランス製の輸入品なら、480円。中国の普通の人は、ジャムなんか、買わないんだと思います。
例3: 牛乳。日系企業の生乳は、1リットル500円。外国製のロングライフは、300円。時々砒素などが検出されたりと、定期的にトラブルが報告されている中国の大手のロングライフは、250ミリリットルが、100円くらいと、別に安くなく、中国人の伝統飲料、豆乳が、地元のお豆腐屋さんで買うのでよければ、300ミリリットルくらいで、35円。中国では、今、牛乳やヨーグルトが大衆化し、消費量は、うなぎのぼりです。
□ 車代
中国では中古車は珍しく、日本のように、安くありません。また、駐車場が無いので、みんな、路面駐車です。ガソリンも、純度が低いようで、車に悪そう。細かくは知りませんが、日本で持つより高そうな印象です。かわりに、バスは、ひと乗り20円、タクシーは、一区間180円からで、日本より安いです。
□ 健康保険
私は「米国以外のグローバル健康保険」というものに入っており、自己負担額を最大にして、コストを下げています。私の住んでいる都市では、歯医者さんを含め、医療費がとても安いので、保険なんか、使わないほうが話が早いのです。
実は、中国の会社のものも調べましたが、年金積み立てとセットになっていたりするものが多く、なんと、グローバル保険のほうが安かったです。普通の中国人で、健康保険に入っている人は、やはり少ないようで、外国人の友人で、中国企業に勤めている人なんかも、勤務先からもらう「保険代手当て」を浮かせて、無加入で済ませたりしている人もいます。
歯科医: 日本で医学博士を取った私の先生は、虫歯一本の治療は、レジン注入で、3,000円。
病院: 簡単なアイテムしか、かかったことがありませんが、無保険で全額自己負担をすると、日本の三割負担より(少し)高い気がします。しかし、我が家は、定期健診程度なので、保険の自己負担額をぐっと下げて、毎月の保険料をぐっと上げるほどまでは、高く感じません。
□ 旅費
海外に住むと、どうしても、「日本に帰国」が必要になります。頻度を落としても、これは、避けられません。中国の場合は、日本との距離が近いので、行き来はそれほど大変ではないはずですが、上海や香港で無いため、私の住んでいる都市と東京を往復すると、実は、エコノミーで、普段、10万から12万と、「米国にいけるじゃん?」という額の飛行機代がかかります。
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いかがでしたか? なんか、こうやって分析してみると、いいこと無しみたいなことになってきました、、、? 汗
私自身の実感は、
□教育費が高いため、家族持ちは、先進国暮らしより、高くなる。
□しかし、先進国と似たような予算で暮らす場合は、より満足感がある場合もある
□日本スタンダードに拘わりがある場合は、日々が、つらいと思う人もいるかも
でしょうか。
やはり、知り合いの方が、
「前々から東南アジアにリタイヤしたいと思っていたけれど、今になって、タイなどを旅行してみると、日本と同じだけ/それ以上の?資金が要るな」
と嘆いておいででした。
そう、いまどきの新興国では、お寿司なんか、食べにいったら、万年デフレの日本より、ずっと高いです。シンガポール、香港はもちろん、もっとお手ごろと思われていた国も、年々のインフレ率は、まさに、地域内経済成長の堂々の証でしょうか。
もちろん、比較すれば、米国や日本で居住するほうが、コストは高い場合が多いとも思いますが、しかし、逆に、先進国には、オプションが豊富ですから、こうした国で、節約モードのライフスタイルがしっかり身についている人には、移住による純粋に経済的なメリットは、もうほぼ無くなったといえるかもしれません。
今のアジア移住は、他のメリット、つまり、
言語習得
市場やビジネス開拓
などに、シフトしているのですね。教育費に関しては、こうした国々は、現地物価や初等中等教育に比べるに比べると、まだまだ高等教育の費用が安いのが特徴。小学校留学に、経済的メリットは無いと思いますが、大学レベルでは、シンガポール、インド、フィリピン、中国などの大学をまず、検討するということは、今後、大いに意味がありそうです。
ただ、「高い高い」だけでは、さびしいので、最後に、こっちで、満足感があるお買い物のリスト、、、、
■ 学校。レベルが高く、小学校のうちはお勧めです
■ 交通費。車を買わなければ、東京よりずっと安い
■ 遊芸費。必ずではないが、大概、日本より少し安め
■ ライフスタイル。おしゃれしなくてもOKなのでお金がかからない
■ 果物が安いので、好きなだけ食べられる
■ メイドさんや家庭教師など、人件費が安い
■ 携帯電話代が安い
私自身は、今の生活を振り返り、「生活費が激減したわけではない反面、日本で、同じ生活をするとなると、生活費500万ではきかないかな」と思います。具体的には、広々とした住環境、私立学校、家庭教師にメイドさんといったアイテムでしょうか。《私の今の生活費概算は、こちらから。》
最後に、中国人は、本当に親切、子供好きです。
この前、母の一周忌のために日本に帰省をしたときは、学期中だったので、お友達に1週間、子供を預かってもらいました。周囲では、こちらから頼む前に、帰省の話をしただけで、われもわれもと、実に、すぐに、4人ものママ友たちが、「預かる」といってくださいました。
しかも、独身の学校の先生までが、「私が預かる」といってくれるではないですか。
結局、兄弟3人のにぎやかなお宅をセレクト(←上から目線ww)。子供は、友達のお宅に泊り込んで、本当に楽しかったようでした。
どこに行っても、友人はできますが、働くシングル・ペアレントにとって、ここまで親切な環境は、日本や米国では、にわかには想像できません。中国、大好きです。
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写真は、今週の授業参観から学校の風景です。
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