現物不動産投資にこだわりすぎるのはマイナスかもしれません
対米不動産投資家の中山道子です。不動産投資のブログなんですが、今日は、「みんなが、現物不動産投資にこだわらなくてもいいのでは?」というお話です。
現在、私は、「短期融資」(PRIVATE LENDING)という分野に特化しており、顧客様は、大体、そちらのほうに出資をされる方々が中心です。こうした投資については、こちらのサイトもご覧ください。
不動産を抵当にした短期高利回り投資の仕組み
こうした投資スタイルは、
■ 便宜
■ 元本回収の確実さ
■ 利回りの高さ
を目標にしたもの。
他方では、
■ 減価償却の節税がほしい
方向けではありません。
背景をお話しすると、過去に、多くの対米不動産投資希望者様とお付き合いしていく中、「家主さん」向きな方とそうでない方がおいでなことに気がつくようになりました。
日本で経営経験が長い方は、管理になれておいでで、相当綿密で、安心感がありますが、そうでない方の場合、優秀な場合でも、火災保険更新を忘れたり、管理会社からのメールに気がつかないといったケースも、あったりしたのです。
しかも、正直言って、不動産は、隣り合わせた物件であっても、成績に誤差が出る場合もあります。いや、同じ物件でも、やる人によって、成績に差が出る場合もあるわけです。天災だってあるわけですし、並べあげようとすれば、リスク・ファクターには、切りがありません。
しかし、楽をするため、将来のため、資産形成を目標とされている現役世代の方々向けに、「新たな仕事やストレス、ロス」を作り出していては、私も、この仕事をやっている意味がありません。
時期というのもあります。今は、素人や遠隔投資家にとって、買い時とは、いいにくいのです。
そうしたいろいろな経緯があって、「本業がお忙しい方、別の関心に向いておいでの、片手間の方々」「資産形成の一端として、ドル資産ポートフォリオが必要な方」「すでに、タックス対策が万全な方」向けに、こちらに特化するようになったという経緯があります。
タックス対策が万全な方々というのは、少し説明が必要かもしれません。
例えば、米国在住で、SELF DIRECTED IRA(自分で投資先を決められる退職金口座)を持っている方は、その口座内で投資をされれば、税金は、TAX DEFERRED(繰り延べ)です。
また、居住国の税制によっては、納税をするどころか、米国をはじめ、どの国にも申告する必要がありません。
さらに付け加えれば、「所得があるのだから、納税は当然。面倒なことは考えないで、普通に納税する」というタイプの方も、当然おいでになります。こういう方は、「節税対策とかで頭をすり減らして、逆に苦労した人も知っているなあ。楽で堅実に手残りするなら、細かいことはいい」と思っていらっしゃるわけです。
さて、こういう中、私自身も、実は、「長期的に考えると、コンスタントに賃貸物件を増やしたり、いつも物件を持っていたりするのは、正直、面倒だし、非現実的だ」という考えです。
例えば、物件は、市場のロジックと別に、売り買いが必要な場合がありますし(すでに減価償却が終わった物件を売りたい場合。本格修理が出てくる前に手放したい場合。引越しで自主管理が出来なくなる場合、ETC)、売り時が買い替え時であるとは限りません(自分の物件が高く売れるときは、同じ域内では、通常、よそも高い)。
米国在住の仕事上のパートナーたちは、みんな、当然のように、自分たち自身も、家主さんをやっていますが、不動産という性質上、週末、仕事が入るのは当然としても、その上、毎日、早朝から夜中まで、ノンストップで働く人もいれば、誠実に接しているのに、悪いテナントにニューサンス訴訟を起こされる人、ひいては、従業員に、回収した1万ドル単位の家賃小切手の束をなくされてしまった、なんていう冗談みたいなトラブルまで、聞いたりします。
付き合いが長い弁護士先生の一人で、「自分の事務所が入っている商業ビルを経営している」方はいて、この方は、それほど大変な思いはしていないのかもしれませんが、実際には、テナントの動向や物件の管理状態に、自然に、かつ、毎日、目を光らせているわけで、逆に、弁護士業をリタイヤするなどして、別の地方にでも引っ越すとなったら、物件経営だって同じようにいかないことは、彼自身、わかっているでしょう。
経営がうまくいっている商業物件が売却されるときの理由のナンバーワンは、オーナーのリタイヤではないかと思います。つまり、サラリーマンをリタイヤしようと不動産を持とうと思う人が多いのは事実である反面、実は、さらに年をとってくると、不動産業というのは、やはりそれ自体からもリタイヤしたくなってくる、そういう「仕事」でもあるのです。
このように、大家さんは、楽しいばかりでもなく、また、遊んでいれば、いつのまにか、チャンリンチャンリンということは必ずしもありません。確かに、時給制ではありませんから、そういう要素がゼロとも言いませんが。しかし、実は、成功する家主(一代目で、地主さんや相続でない人)さんというのは、みんな、
めちゃくちゃマメで、自分が相当な働き者であることに、気がついていない
位の勢いの人が多いのです。
なので、面と向かって、本人に聞くと、「たいしたことないよ、楽だよ、不動産投資は、最高だよ、誰でも出来るよ。」などといいます。
確かに、資格がいるわけではありません。
でも、聞くと見るとでは、大違い。本当に不精な人、本業がキツくて、家に帰ったらホッとしたい人、細かいことや、年次確定申告などの決まりきった事務作業にはあまり目が行き届かないタイプの人には、不動産オーナーは、それほど向かないと、ここで、断言しておきましょう。
私の周囲の成功している米国人不動産オーナーたちが、別の仕事をしていたら、そっちも、成功すると思います。彼らは、不動産が楽でオイシイから成功しているのではなく、仕事熱心だから成功しているのだとつくづく感じるからです。
いずれにせよ、こう見ていくと、現物不動産の経営というのは、「唯一の手」とまで思い込むものではありません。不動産にも、いろいろな関与の仕方があるのです。いや、そもそも、資産運用にも、不動産だけではなく、いろいろなやり方があるのです。
ということで、不動産投資家の私自身、今は、それほど賃貸経営に重点を置いておらず、キャッシュを短期運用するこのスタイルの投資方法に、集中しています。
今後、状況に応じて、柔軟に対応しようと思っていますが、自分自身、メルマガでも述べているように、2015年今は、「無理して買う時期でない」と考えています。
また、しばらく前に書いたように、老後は、特に後期になれば、物件のポートフォリオ管理なんか、できるとは思っていませんので、”不動産一筋”ではなく、金融資産の管理の方法というのも、それなりに、目配りしておく必要があるのと感じるのです。
目的は、不動産経営そのものではなく、最終的には、資産形成のはず。節税出来るタイプの投資は、不動産しかないと、節税や、相続税対策ばかりに目が行ってしまい、結果、「ロスにしかなりようがない物件を買ってしまった」なんていうのでは、困ります。不動産も、資産形成のためのひとつの手法に過ぎません。状況を客観視することを、お忘れなく。
今日、あるお客様からのこんなメールを頂戴し、改めて、思ったことです。
■■■ お客様からのメール(一部抜粋し、紹介) ■■■
今後の方向性としては、短期融資Investmentのストレスフリー具合を知ってしまった今、長期的な所有物件を増やす事よりも、短期融資を積極的に取り入れていきたいと思っています。
もちろん、ポートフォリオとして、短期融資と長期保有物件を組み合わせて、長期的な視点から投資を続けていく事は重要だと考えていますが。
■■■ ここまで ■■■
このお客様は、米国居住の専門職。ご夫婦とも、名前のある国際企業にお勤めで、お仕事は、「高給のコンサル系」。私のほうが、この方々より、能力があるのかといわれれば、数字の扱いからはじめ、なにひとつ、私のほうが秀でているところはないと思います。
しかし、こうしたランクの方々も、大局的な観点から、「人生に集中したいから、餅は餅屋でいいだろう。自分に与えられた時間は、2日24時間、1年は365日で、他の人と一緒だから、人に任せるところは任せよう」ということで、私に対するスクリーニングが終わった段階で、ご信頼いただくようになり、ご資金運用のご相談をしてくださっているわけです。
この短いメールの抜粋からわかるように、このお客様も、逆に「短期融資一本」とも決め付けず、「よい機会があれば、長期保有も」と、オープンマインド。その時々に応じて、持ち手を増やしていく、状況に最適な判断をする、そんな客観性と知性が、求められるのが、資産形成という分野です。
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