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自分で調べる習慣を! 原典以外は、信用しないこと

対米不動産投資家の中山道子です。今日は不動産の話ではなくて、「いかにソース(原典)が大切か」ということと、現代社会で、国際情勢について、「日本語だけで情報収集をする方法は、あまり成果が上がらない可能性が高い」ということを、ご指摘したいと思います。

不動産とはまったく関係ない例なんですが、大手新聞の「結構な誤報」例に触れて、とてもびっくりしたので、、、

今日、たまたま、ネットの報道を見ていたところ、毎日新聞が、2013年3日19日付けの報道で、「イラクは今:開戦10年 米女性兵3割レイプ被害 軍内部、公聴会ようやく」という記事を掲載し、その中で、以下の記述があったということを知りました。

下は、国家公務員一般労働組合のブログによる該当記事引用

「米英軍主導の侵攻から20日で10年を迎えるイラクや国際部隊の駐留が続くアフガニスタンに派遣された米女性兵士延べ28万人の3割以上が、上官らから性的な暴行を受けていたことが分かり、米国内で『見えない戦争』と問題視されている。」、「カリフォルニア州図書館調査局が昨年9月に発表した実態調査によると、イラクとアフガニスタンに派遣された女性兵士の33.5%が米軍内でレイプされ、63.8%が性的いやがらせを受けたと回答した。」

毎日新聞によると、米軍では、女性兵士の3分の1がレイプ被害に会っている???

びっくりして、英語でサーチをしてみました。

元ネタとなったような資料が結構かぶっているのかもと思われたのが、下の記事。

Military Sexual Assault Epidemic Continues To Claim Victims As Defense Department Fails Females

ハフポストのこの記事には、確かに、女性軍人は、3人に1人の割合で、性的な襲撃にあっている可能性があるとありました。しかし、ここで用いられている言葉は、sexual assault で、これは、”性器などによる性的貫通を必要とするレイプ”だけではなく、性的に強要される行動一般を意味します。なので、「力づくでキスを強いられた」「合意なく洋服の上からまさぐられた」でも、つまり、電車の痴漢も、「セクシュアル・アソルト」に入るのです。

また、この記事の「3人に1人」という数字を説明するリンクに飛んでみたら、それは、国防省のサイトで、そこの説明には、「女性軍人は、一般市民より、性的なアタックを経験する確率が高い。一部は、子供のときの被害、一部は、家庭におけるドメスティックバイオレンス、一部は、軍隊で」とありました。つまり、軍隊内だけでのことではなく、累計なのです。(女性軍人が性的暴力に会いやすいという生い立ちの理由は、ここには出ていませんでしたが、困窮などでしょうか?)

それで、じゃあ、「アフガニスタンとイラクに行った女性兵士」については、言及があるかと見ると、「その2割が、MST(military sexual trauma, 軍隊内のセクハラや暴行などメンタルと身体的なことをすべて包括する概念)に対面したという調査がある」とありました。つまり、今の段階では、「レイプのような極端な暴力から、口頭のみの性的ハラスメントに至るまで、軍隊内で、何らかの性的嫌がらせを経験したアフガン・イラク女性兵士は、2割」が今の定説なのです。

もちろん、実際に、そういう目に会っても、報告しないケースがたくさんある、ということも書いてあって、そんなに簡単に実態がわかるようなものではないだろうということも、指摘はされていました。それは、そうだろうと思います。今後、問題追及に関係者がもっと成果を出されるよう、祈ります。

次に、念のため、カリフォルニア州図書館調査局が行った調査というのも、調べてみました。これも、すぐグーグルで、トップに出てきました。

Military Sexual Trauma
2012 California Women Veteran Survey

この調査のほうでも、確かに、回答者の33.3パーセントが性的襲撃にあった、55.8%が性的嫌がらせに会ったと書いてあります。毎日新聞の記事に言及されている33.5%と63.8%という数字も、出てきました。しかし、ここでも、レイプではなく、 より定義が広いsexual assault という言葉が用いられていました。

この調査は、また、800人程度に対する匿名の小規模アンケート調査の結果であり、この問題で皆が援用するレベルの権威ある大規模聞き取り調査ではないのです。

この状況が、大変、重大であることは争えないと私ももちろん感じました。女性兵士だけではなく、数はより少ないですが、男性兵士に対しても起こっているということです。

しかし、タブロイド紙じゃあるまいし、こういう事実関係を前提にした状況で、日本有数の全国紙が、アソルト(assault, 襲うこと)とレイプ(rape, 性的貫通)を混同し、「米国では、全女性兵士の3割が、軍隊内で、レイプされているんだぜ!」っていうのはどうなんでしょうか。もっと、状況をきちんと掌握した上での、真剣な取り上げ方が、ありそうです。

米国大使館から、抗議は、来なかったのでしょうかね。


ちょっと、ひとつの記事をターゲットするのは、意地悪だったかもしれませんが、あくまで、「たまたま、今朝、ネットサーチをしていたら気がついた例」ということで取り上げました。

今回、思ったのは、「他山の石」、つまり、「人の振り見てわがふり直せ」です。「一流報道機関だろうと、正確性を欠く記事が掲載されることがあるんだね」ということを、国際志向のあるこのブログを読んでくださる皆様には、私とご一緒に、実感していただきたくて、取り上げてみました。

正直、一般論レベルでも、国際報道においては、日本語だけを情報源にするのは、やめましょう。どんなに定評があっても、二次資料であって、原典ではないのです。

大変なリソースを使ってファクト・チェッキング(fact checking, 事実確認)をやっているはずの大手一流新聞であってすらも、たまに、こういうことがありうるのです。

このケースの場合の問題は、アソルト(襲うこと)を、レイプと一緒くたにしたという英語の誤訳と、女性関係のイシューに対する前提知識の欠落が、原因だったようです。(ひょっとしたら、ポカというより、悪意で状況を曲解した報道、または、興味本位で読者の目を引こうという意図的な記事なのかという可能性も、頭をよぎらないでもありませんが。)

一般人のブログなんか、ましてや、これ以上に問題がある場合も大いにありえます。ネットの場合、本当によく見るのは、このケースもそうかもしれませんが、横文字の報道を歪曲して、あるいは、誤解して引用し、「アメリカではこうなっている」などと述べている場合。

何か書いてあったら、反応する前に、その内容を、常識に照らし合わせてから、「本当にそうかな?」と思い、ぜひ、自分で調べる習慣を。英語が苦手な方は、まずは、日本語でも、結構でしょう。

毎日新聞社では、こういう記事を書いても、大きな問題にはならないのかもしれませんが、零細投資家にとっては、事実誤認は、致命的となりえます。

米国不動産についても、営業を受けて、「どうやってファクト・チェッキング(真偽を見極める)したらいいの?」と悩んでいる投資家様は、大変多いです。「営業マンは、いいことしか言わない。たくさん資料をもらっても、それを、どう評価したらいいのかが、わからないんです」という相談は、よくありますが、冷静な答えは、

「ご自身で、調べる力を得る以上の解決はありません」

なのです。

自分でリサーチをして、営業マンの言っていることの裏を取り、リスク判断を自分で独自に行う位のところまで、できるくらいにならないと、長期的に安定した成功は、おぼつきません。しかし、カモにされるタイプの投資家は、こういうとき、いつの間にか、「筋道だったことを言ってくれる人」ではなく、「何度もマメに連絡してくる口先のうまい人」「関係ないことでかいがいしく動いてくれる人」なんかのほうを信頼していったりします。

私に来る相談には、「どうしても買ってくれと泣きつかれて、仕方なく。いやな気がしたけれど、買った後は、手のひらを返したように冷たくなり、物件運用がやはりうまくいかない。どうしましょう」といった、やり取り自体が、第三者には、不可解に見えるケースすら、稀ではありません。

皆さんは、泣きつかないと、客がつかないような不動産を”営業マンに情が移って”買ってあげることで、本当に、投資がうまくいくと、思われますか?冷静になってみると、誰にでもわかることなのに、、、

私は、こうした投資家様の悩みにお応えするため、ずっと、「投資家育成」をキーワードに、この無料ブログも、また、セミナーも行ってきました。

2016年2月に東京と大阪で開催される中山道子の「対米不動産投資VIPセミナーWITHコーチング」の詳細は、こちらからどうぞ。

独自マインドで、冷静に判断をすることのできる投資家育成のために、トレーニング・セミナーを行うことができるのは、私が、「営業マン」ではなく、皆さんと同じ、一投資家だからです。

もちろん、私自身の言っていることも、真に受ける必要は、ありません。しかし、他人の言うことをすべて疑っているだけでは、先に進まないわけですので、だからこそ、効率よく、ファクト・チェッキングの練習をしていただきたいということで、2016年のセミナーは、無制限メールコーチング付きとさせて頂きました。長期に向けて、真剣に取り組みたい方のご参加を、お待ちしております。


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   (お断り)
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今回、ネットに、2013年の毎日の該当記事の原典が出ていないので、この記事の内容は、「ネット上の引用」という形以外では、自分の目で確認できていません。「お前こそ、原典確認しろよ」というお叱りがあるかもしれませんが、海外在住なので、地元図書館で確認に行くわけにも行かず、ネット上、相互にまったく関係なさそうにみえる複数のソースで、同じ文章が援用されていたので、それを持って、「ファクト・チェッキング」に変えさせていただいたことを、あわせてお断りさせていただきます。


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