貧困の定義とは何か POVERTY
貧困の定義とは何か。
貧困は、POVERTY。しかし、ここで取り上げたいのは、英単語の問題ではなく、米国の政治制度の問題です。連邦制を採用する米国では、基準は、通常、連邦の統計局が定める「貧困」の基準を採用します。
これは、世帯の所得を定義し、それに基づき、「貧困」と定義される場合は、連邦上のいくつかの福祉プログラムの支給対象になるなどの立場になります。
毎年更新されるので、ここでは、2014年次の定義を転載します。
前の記事で、「米国の賃借人世帯の所得中央値は、大体、2万5,000ドル前後である」というお話をしました。あなたの賃借人は、もう家賃が払えなくなっているかもしれない!
連邦上の貧困の定義がこのようなものであるとして、このような立場に該当する場合、例えば、フードスタンプ(食券。スーパーなどで食料品と交換できる)といったような支給の対象になるということです。
今の為替を前提にすると、これは、300万円。日本では、男性サラリーマンのボリュームゾーンとも言え、この所得で、配偶者、お子さんを養われているご家庭も多いと思うので、「これで貧困?」といわれるかと思いますが、、、
物価も違うので、断言しにくいかもしれませんが、考え方によっては、ひょっとすると、米国のほうが、より多くのサポートを提供しているという言い方もできるのかもしれません。他方、日本の「正規雇用」組は、社会的信用はもちろん、医療費、年金、雇用保険に将来の雇用の安定性など、米国の一般のこの層の経済状況より、実質的には、ずっと安定しているのだとも指摘できるかもしれません。
いずれにせよ、ここでの主眼は、日米比較ではなく、米国内で、「大家さんに従事するとはどういうことか」を検討するコンテクスト。
米国の賃借人所得審査では、大体粗収入の3割までが家賃支払い許容範囲と判断されています。日本でも、類似かと思いますが、実際には、額面収入の3割が家賃に消えていくとしたら、貯蓄をするのはきついですよね。
そのため、例えば、日本でも、UR都市機構は、「家賃が、粗所得の25%以下であること」を所得審査条件としているようです。
そんな中、所得が、2万5,000ドルの家族が、最大3割を家賃に支出するとしたら、一ヶ月の家賃は、最大625ドル。
ワンルームではなく、複数の寝室が必要とされている賃貸物件で、この賃料は、一流主要都市では、なかなか、達成しにくいですね。実際、やはり連邦統計局の資料によると、「家賃の中央値は、大体、2014年次、760ドルほど」なのです。つまり、「テナント層が希望するであろう賃料より2割、高い」わけです。
細かく見れば、家賃下落を経験したというケースもあるでしょうが、連邦レベルの統計上は、2000年代の「大恐慌」時にも、賃料中央値は、下がりませんでした。この時期、「持ち家から強制退去され、賃貸族になった人々」が多かったために、逆に賃貸市場は、一見、活況を呈したと指摘されています。
しかし、その結果、現在、賃料インフレは、一般テナント層の経済的安定を脅かすようになたと指摘されるに至っています。
中央値以下の賃料の物件オーナーにおいては、貧困層に対する連邦政策の動向、例えば、家賃支援プログラム、例えば該当州の最低賃金基準といった対策の動向を注視することに意味があるかもしれません。
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