不動産不況はまだまだ続く 2011年年頭展望
2月になって、年頭展望もないですが、そもそも年頭、ブログをアップする余裕がなかったので、ちょっと big picture 鳥瞰図 の話をしておきたいと思います。
結論から言うと、ごくざっくりとした一般論としては、以下のように思っています。
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■回復展望
不動産市場回復は、今後、最低2年は、実現しません。この2年間の動向によっては、それより長引く可能性もあります。
■既存の投資家
バブル期の投資物件を米国の融資をつけて買ってしまっていて、毎月の支払いがマイナスの場合は、まだ損切りしていなければ、戦略的デフォルトを検討する余地があります。高額所得者で、後3年間赤字が我慢できる場合でも、バブル期の投資目論見で、最終的にプラスを出すことは、ほぼ絶望的なケースもあるため、損切りして、貯蓄をしなおし、出直すほうがメイクセンスします。プラスキャッシュフローが維持できていたり、収入比率に対する負担が軽い場合、市場に将来性がある場合、また、気に入っていてリタイア用に買った場合、20年、30年と、期限なくいくら待ってもかまわない場合などは、該当しないかもしれませんが、特に検討するべきなのは、手放すことにほとんどペナルティがないオーナーファイナンシング案件でしょうか。
■エントリー展望
現在は、米国不動産を仕入れる好い時期ですが、融資が困難であることも含め、初級者にハードルが高い不透明感が市場を覆っており、必要な資金や忍耐力/スキルは、実は、バブル時より多く要求されます。
不動産の場合、単に「蓄財目当て」だけではなく、「不動産が好き」、「投資先に愛着があって、自分の将来設計とマッチする」といったライフスタイル的な要素が必要です。米国不動産の場合、米ドルポートフォリオに意味がある(ハワイリタイア希望や子供の米国留学等)方を薦めます。投資で成功しても為替で失敗する可能性があるからです。
新築を買うのは確かに今、馬鹿らしいのですが、他方では、場合によったら、現状有姿ものや表面的にゴマカシのお化粧を施しただけの物件など、現在の市場には、掘り出し物と並んで、危険な物件が多数混じっていますので、初心者は安易な気持ちでのエントリーは禁物。
■今意味がある戦略
キャッシュ購入。長期(3-5年)遊休資金で行います。(米国在住者は、融資を検討する場合、30%といった頭金と十分な準備)市場が回復するまでの中長期にわたり、プラスキャッシュフロー経営を続けることを前提にしますので、初心者、遠隔投資家は、一般には、安物買い、あまり玄人狙いはせず、割高でも状態がよく、客付けしやすそうな物件を選ぶべき。例えば、ラスベガスなら、結局は、通常、2BRマンション(condo)で10万ドル前後からになるでしょう。同額の一軒家を購入することには、不確定要因が多すぎます。多くの市場の流通経路は混乱を極めており、銀行がらみの案件の場合、ベガスの例だと、希望物件取得に1年かかる場合もありえます(しかも、流れる場合も当然織り込まないといけない)。有能なレアルターさんなら、不況時は逆に仕事を選んでいます。定評がある人は、こうした小粒の物件購入のために熱心に動いてくれる余裕はない場合も多いので、ご注意。
私自身は、以上の理由から、普通のサラリーマンでも手が出しやすく、家賃回収率が高まる可能性がある対デトロイトキャッシュ投資(一軒3万ドル以下)をご案内していますが、一般論としては、資金や時間に大きな余裕があれば、リスクが高い高キャッシュフロー戦略より、成長可能性の高いエリアへのキャピタルゲイン狙い案件を選ぶほうがベターだとは思います。ただ、今は、「1,000万あるから、すべて、一軒の物件に」という時代ではないので、米国で、1,000万の物件を買う方は、相当な余裕を残してそうすべきですね。売主側、レアルターさんなど、関係者にとっては、たかが1,000万。不況時のキャッシュプレーヤーには、数億単位の人がごろごろしています。しかし、こっちにとっては、されどの1,000万なのです。
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上のコメントが該当しない市場もあるかと思います。ごく一般的な印象です。より突っ込んだ話は、2011年3月5日のセミナーでしたいと思います。
お断り書き:
上は、一投資家の直感(gut feeling)に近いレベルで、統計だって分析しているわけでも、全米すべての市場に目配りできているわけでもありません。
次回は、「どうして、不動産市場が、ここ2年間以上絶対回復しないのか」について、より詳細な記事を掲載したいと思います。今回の不動産不況を語るにあたってあるいは最も重要な用語である shadow inventory について、ご説明することになります。
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