メリアム・ウエブスターにも載った! Staycation ブームで、ハワイは、役所まで Staycation!
最近、聞くようになった言葉で、staycation というのがあるそうです。
Vacation と stay を組み合わせた造語。昨日のデイリー読売に転載になっていたロサンゼルスタイムズの記事にも、出ていました。ずっと前は、カウチポテトなどという言い方があったと思いますが、ウィキによると、この言葉は、2007年から2009年の不況に関連してできたということで、2009年、広辞苑的な有名老舗辞書、メリアム・ウエブスターにも、2009年、掲載されたそうで。
内容は、ずばり、「おうち休養」。日本でも、年末など、遠出をしないで、家で、ゆっくりする方々が多かったと思います。
アメリカでも、2007年から2009年、バケーション需要が著しくダウンしたそうです。特に、オバマ大統領が、
「再建支援を受ける企業は、ラスベガスやスーパーボールなんか、行くなよ」
と発言したことを受けて、会社ぐるみのリゾート地での会議が自粛モードになったという経過があったそう。
去年は、ベガス市長が、オバマ大統領に、「市の経済に損害を与えるような発言をしたことに対し、謝罪を求める」声明も、出していましたっけ。こちらから。
アメリカは、市場規模が大きく、みんな、会議をするとなれば、やはり、旅行しないといけませんから、高級目のリゾートスタイルホテルなんかに泊まると、確かに、いろんな会社のコンベンションをやっていて、みんなで、会社ロゴの野球帽やTシャツを着ています。あれが、ぜんぶ自粛になったら、確かに、観光産業は、やっていけません。
今日は、そんな、ステイケーショントレンドに対し、大きく落ち込みを見せている、ハワイのバケーション市場について。
ナショナルトレンドの”ステイケーション”のおかげで、極楽の島ハワイは、なんと、役所、学校まで、強制的なステイケーション《furlough、自宅待機》となったというのです。
成人の日のデイリー読売転載のLAタイムズの記事をはじめとする他各種情報によると、
■過去2年間、ハワイ州は、観光落ち込みによる収益激減に悩んでおり
■2009年7月1日以降、州知事は、今後2年間の間にわたり、公立学校や州関連事務所で、毎月3日の自宅待機を命じ、財源確保に走る《こちらから》
■これまで、失業率3%以下だったこの州が、7%へ
■それに伴い、フォークロージャー率は、7%へ
■福祉受給者総数が、10年ぶりに増加を見て
■オアフでは、全米では下がっている犯罪率が、上昇
ウオールストリートジャーナル紙にも、去年の10月に、ハワイのホテル産業を分析した記事が出ていたのを、見ましたが《こちらから》、それによると、ハワイのホテル業界は、ローン返済ができずアップアップ。一室ごとに負債を分析してみると(こういう統計がすぐあるのがアメリカのすごいところですね)、カルフォルニアやフロリダは、5,000ドル台の負債しかないのに対し、ハワイのホテルは、なんと、平均、2万3,000ドル台の負債を抱えているんだそう。ネバダのことが出ていないので、CAやFLより、小額なのでしょう。さすが、”わいは”ですね、、、
モルガンスタンレーは、マウイ・プリンス・リゾートを2007年に、購入したものの、2009年、営業稼働率は、2007年次から比べて半減し、ローンを融資していたウエルズファーゴは、このホテルの経営に管財人を任命。
ハワイ好きの日本人にいたっても、1997年には、240万人の来訪が見込めたが、2009年は、鳥インフルエンザも影響して、その半分。知らなかったなあ。最近の若い人は、海外、特に、アメリカが、「好き」でなくなっている、という動向もあると聞いていますが、そんなことも、影響したりするんでしょうか。
デル・コンピュータ創始者のマイケル・デルも、ハワイには出資しているということも、遅まきながら、WSJのこの記事で、知りました。デル関係企業が経営しているのは、なんと、あのフォーシーズンズ。ミリオネア、ビリオネアは、コンビニ店舗やビザ配達店経営の変わりに、同じフランチャイズでも、こういうことをするんですね。しかも、経営が悪化したりして、ローンに追い立てられることがあるのも、私たち庶民と同じなんだ。よかったよって、なにがだ。
このホテルの総収入は、同グループが、2006年にホテルを買ったときと比べて、6割減。2,000万ドル台の収益が、なんと、800万ドル台になってしまい、部分的なレノベーションをしたことによる収益の落ち込みも関係あるものの、同ホテル経営は、苦戦が続きそうだ、と、融資銀行の評価レポートに出てしまっているそうです。
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大規模商業物件については、私なんか、まったく承知するところはありませんが、いわゆるレジデンシャル市場について言えば、2002年次の本土バブルのとき、ハワイは、「ある意味、底値」でした。この数年間にハワイでロケーションのいいコンドなどを買った方は、特に、心配は、ないと思います。
しかし、2005年以降に微妙な融資条件で高額物件を購入している場合、ウイークリーコンド経営やマンスリー高額レンタルを前提に、コンドテルやコンドミニアムを購入し、ローン返済を当て込んでいる場合、こうした稼働率の問題に苦慮している方もいるかもしれません。
ふと思い出して、ワイキキ・トランプタワーの訴訟《私の記事は、こちらから》を思い出しましたが、去年7月以来、大きな報道はないようで、まだ、決着は、付いていないようです。日本人の購入者が多いだろうと思いますが、正直、2006年次《トランプタワーが、予約販売され、一日で完売、世界記録を樹立》にそこまで無理しなければよかったと思われている方も、いるのではないでしょうか。
たまたまですが、この記事を書いている最中に、シンガポール在住者のブログ購読者様から、「シンガポールは景気がよいような気もするが、物件が高いので、ローンを組むのが悩ましいです。中山さん流の現金投資と、どっちがよいと思われますか」というご質問が、ありました。
私は、シンガポールの具体的な事情についてわかりませんから、「私には、お答えしにくいです」とにお返事するしかありませんでしたが、やっぱり、高額ローンって、怖いんだな、という意識は、高額所得者様や、アメリカのように経済が低調でないエリアに居住されている方々も合わせて、皆さん、ぜひ、忘れないでいただきたいですね。
というのも、小さい経済圏、新興国の場合、このハワイのように、「自分でコントロールできない、周囲の動向」に大きく左右されます。シンガポールの場合も、「中国がどれくらい伸び続けるか」のタイミングを逃さなければ、エントリー、エグジットで、失敗しないですむのかもしれませんが、そのトレンドの最適タイミングをキャッチするために、ホールディング(=稼働率)という、まったく別の、地元密着型のノウハウも必要なわけです。そして、後者については、現金物件なら、ロスの高が知れていますが、レバレッジをかけたローン残高のある物件については、大変な目に会う可能性があるわけですね。
これらのスキルというのは、結局、初級者が、多少勉強したとしても、最初の物件で、いきなり、マスターできたりするものではなく、よい不動産屋さんに丸抱えで世話になれるという幸運(ここは、リサーチである程度、絞れる可能性は高いでしょう)がなければ、やはり、好景気に沸く市場であろうと、リスクテイカーが成功したり、失敗したりするのを、横目に眺めるしかありません。
そもそも、ちまちましたことばかりやっている私なんかが、こんなアドバイスしても、説得力、ないでしょうか、、、
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