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Straw Buyer とは何か 融資が出にくい今、気をつけてください

対米不動産投資コンサルタントの中山道子です。私自身の対米不動産投資着手歴は、2002年、コンサルティングやセミナー活動は、2007年からやっています。

今日は、straw buyer について。そんな言葉をまったく聴いたことがない方のほうが、圧倒的に多いと思います。しかし、そういう方にも、今、大変大切な言葉かもしれないと、昨日、思う機会がありました。この記事で、ご説明させてください。

さて、私も、対米不動産投資ウオッチング歴も、中堅レベル?9年目となりましたが、その間には、いろいろな波を経験しています。たとえば、概観してみますと、、、

■私が投資に着手したころは、バブル初期。買えば、あがりました。実際私が2003年に買った物件は、2006年に二倍で売却したという例もあります。

■そのころは、外国人にも、審査がゆるい米銀融資がつきました。私自身、物件取得には、2006年ころまでは、融資をバンバン使っていたのです。

それに対し、現在、米国不動産は、”割安で買い時”なのですが、その理由は、バブルがはじけたことと銀行が不良債務を抱えていることにあります。そのため、現在、銀行自身の体力がなくて、与信力が低い人には、お金は貸せないというスタンスが強まっているわけです。

日本在住、貯蓄もたくさんあり、勤続年数が長い優秀な皆さんも多くこのブログを読んでくださっていますが、「どうしてこの自分が与信力が低いのだ?」と思われる方もいるかもしれません。

それは、あくまで、米国内での米国銀行の評価ですから、、、

逆を考えてみればわかることで、日本の銀行が、日本語がおぼつかない在外の外国人に、簡単に国内投資融資をするかというと、基本、日本のほうがずっと閉ざされています。バブルの時のアメリカが、行き過ぎだったのですね。

ということで、現在、米国では、基本、ワークビザがない、米国に事業や給与所得が計上できない、そういう人に対しては、融資枠は、オファーされていないかもしれません。たとえば、Freddie Mac の現在の外国人向けのガイドラインを参考にしてみてください。こちらから〔2011年4月時なので、今後、ブロークンリンクになる可能性もあります〕。

ちなみに、私は国際的な投資融資を行うオフショア銀行の融資窓口を勤めていますが、その銀行の融資基準は、対米なら、「40万ドル以上の物件を、4割から5割頭金を投入して買う」、米国以外の主要国なら「20万ドル以上の物件を、頭金3割で買う」というもので、まだまだ、米国に対する警戒心が、大変強く、この融資は、「別荘族はともかく、投資家にとっては、取る意味がない」くらい、厳しいもの。

一時は、この銀行、「物件価格10万ドル以上、頭金3割」OKだったのですが、、、

このように、銀行というのは、投資家にとってはパートナーでありますが、海外投資の場合は、競争があまりないエリアなため、「信頼できるパートナー」ではありません。

もちろん、私の言っていることをうのみにせず、欲しいエリアがあったら、ご自身でも、調べてみてください。たとえは、ハワイの一部の銀行は、日本人との取引が多いので、フレディーマックがモーゲージを買ってくれなくても、日本人に対し、出すように聞いています。また、米国にはいろいろな融資商品があるので、好むエリアにおいて、常にベストを尽くしてみることです。

また、この状況は変わる可能性があるので、そのときを待つということも可能なわけです。この記事は、2011年4月ですから、これが、1年たてば、投資エリアによっては、状況は変わっているかもしれません。

ただ、他方では、一般論としては、同時に、融資が緩和されるころには、投資環境はまた多少違っていることが予測されており、市場の出物の価格帯は、今より上がっていることも予想されます。

残念ながら、ここぞというときに頼りにならない、それが、銀行というパートナーでございます、、、

さて、まったく本題に入りませんが、ここら辺まで、背景を抑えていただく必要があって、、、

ということで、straw buyer。

これは、どういう意味かというと、


  融資を取得するに当たり
  実際の購入者=便益者と融資取得者が
  異なる場合があります。

  その際に、融資の書類を書き、
  審査を受けるほうの人が、
  straw buyer
  です。


米国では、このような虚偽申告は、一時、rampant(病気や犯罪などがよく見受けられるさま)だったと思います。

しかし、よく考えてみてください。

銀行に対し、第三者の与信=信用力や収入枠を使い、実際には、それほど与信力がない人間が、物件を取得している。

これは、銀行に対する詐害行為なのです。

米国では、銀行の融資申請書は、連邦マターとなっており、融資申請書でうそをつけば、FBI管轄となり、ニューヨークでやっても、カルフォルニア、ハワイまで、つまり、全米に、情報が回ります。

もちろん、見つかればですが、、、


+++++


米国人がよくやる例は、下のようなものです。

私が昔ベガスに住んでいたころ、融資滞納に陥っている人に積極的にアプローチして、お話を伺い、いい物件取得の機会とならないかということをよくやっていましたが(汗)、そのとき、あるお宅に伺ったところ、名義人と違う高齢のご夫妻が居住していました。

融資を受けているのは、大学院の博士課程にあるお嬢さん。このご夫妻は、ビジネスで失敗し、破産などしていたので、家が買えず、お嬢さんのクレジットヒストリーを使い、実際には、自分の居住物件としていたのです。

しかも、そのように、お嬢さんの与信を乱用して買った家のローンが、すでに、2年目にしてデフォルトに入って、私などの来訪を受ける羽目に、、、

その居住者のご主人のほうは、「家を買い取ってくれるのか?Let's talk」と乗り気でしたが、名義人はお嬢さんなため、お嬢さんが、私と取引をしてくれない限りは、話が進みません。

何度か連絡をして見ましたが、「大学院で詩を専攻していて、忙しい。大体あなたって怪しいんじゃ」といわれ、結局、おじゃんに。はい、私は、怪しかったです(爆笑)。

その後、このお父さんは、自分のクレジットスコアのみならず、お嬢さんの経済的将来までつぶしてしまうにいたっただろうことが容易に想像できます。この娘さんが、学者になるのか、フリーの詩人とかになるのか、編集者になったのか、私には皆目見当がつきませんが、、、

胸が痛みましたが、financial managementに失敗しているお宅というのは、dysfunctionの射程というのは、家計にとどまらないことが多いのです。

このお嬢さんも、大学院にもなって、親の相談事に乗るべきではありませんでしたが、このような家庭環境で、お互いが、悪い形で、するべきでないところで依存しあい、寄りかかりあっているような家族関係がそもそもあって(codependency)、その中で成長しているので、その悪の連鎖に取り込まれてしまっているのですね。

こういう場合、このお嬢さんが、本当に健全な生活を取り戻すためには、単に、ファイナンシャルリテラシー教育を受けるだけでは、不十分。

平行して、セラピーを相当受けて、ご両親との関係を見直し、自らの家庭で起こってきたことに対面した上で、これからは、親に、ノーというべきときに、きちんとノーといえる、そういう精神力や判断力、自分の寄るべきところを身につけなおす必要があるでしょう。

しかし、これは、投資や家計がうまくいかない家庭に典型的な家族状況でもあります。


++++++


さて、このような話をすると、

ストローバイヤーがどんなものかはわかった。
そういうことがいけないこともわかった。

でも、自分には、どう関係があるのですか?

うちは、そんなだらしない家ではありませんよ。

というご質問があるかもしれません。

ここで、私自身が、これまでに、日本人の方々からご相談を受けた件を、ご紹介してみましょう。


++++++++日本人の相談概略1


Aさんは、日本人ブローカーWに、投資勧誘を受け、米国在住のBさんを紹介される。Wは、「Aさん、Bさんはいい人です。二人でパートナーシップを組み、Bさんが与信を提供し、あなたが頭金を提供すれば、二人で、対米投資がスムーズに行えます。Bさんには、最初に少し、また、売却したときに、少し謝礼を払ってください。また、私は、紹介料を頂戴できれば」といってきました。

Bさんと話してみると、Bさんは、確かに信頼できる米国居住ビジネスマン。よい会社に勤めてもいるようで、看板に偽りはありません。

喜んだAさんは、頭金2割を投入し、めでたくこの物件をBさんと取得し、喜びますが、Wが見繕ってきた肝心の物件は、管理でつまずきだし、この共同投資は、どんどん、経営コストが膨らみだしました。AさんとBさんの仲、また、Wと二人の仲は悪化するばかり。

私への質問は、「こういう状況下、見込み違いで、Wには、物件を、売ってもらえるようにと頼んでいるのですが、なかなか、動いてくれません。どうすればいいでしょうか?」


+++++++


AさんやBさんは、実際には、知識のない被害者ですが、実需、居宅とするために購入した自宅であればともかく、今回、二人は、任意に投資活動、ビジネス活動として、この案件に関与しているわけで、「自分は被害にあった一消費者です」は、通らなくなります。

この相談があったのは、だいぶ前のこと。そろそろ時効と判断しました。

いつも言っているように、私が、皆さんの着手済みの投資の相談にできるだけ乗りたくないのは、こういうことが理由です。私のところに来るまでには、たいてい、とるべき手段は、ロスカットしかなくなっています。真実は痛みますが、私がそんなことを言っても、こういう方は、私に対して腹が立つだけで、感謝して、コンサルティングフィーをくれるわけではありません(苦笑)。

この相談があったとき、市場は冷え込みだしたところでしたから、私は、直ちに、

「Wが物件を売ろうと手配してくれないかのように見える理由は、多分、この物件が、頭金投入額を放棄したとしても、つまり、2割値下げしたとしても売れないからだろう。この投資は、すでに、銀行に、不良債権として差し出しなおすしかない、そういうレベルに陥っているんじゃないか。」

と判断しました。

その旨返事もしたような気がしますが、そのような峻厳な事実を受け入れるメンタルは、そのとき、この相談者様にはなく、その後、相談は途絶えました。

あれから、4年がたっています。Aさんは、この件で、2,000万からのロスを出したはずです。また、堅実なサラリーマンだったはずのBさんは、Wの甘言に乗ったために、せっかくの自らの与信(クレジットスコア)を大きく落としたのではないかと想像します。

実は、この話を思い出したのは、昨日、メルマガ購読者様向けの「ブログ5周年、対デトロイト決済100軒」特別企画のひとつとして、無料相談を行った際に、一人の方から、以下のような相談があったから(希望者は、メルマガをご購読の上、期日にご応募ください。ブログからは受け付けていません。)。


++++昨日受けた日本人の相談概略2


米国から帰国したばかりです。現地では、去年、キャッシュで要修理物件を買い、何ヶ月もかけて、直し終わったところです。資金が寝ているので、融資をつけて、資金を別の投資にまわしたいのですが、どう思いますか?


+++++

Ouch(イタタ)!

私がこの記事の最初に言ったこと、覚えておいでですか?今は、ビザが切れた外国人には、融資は、ほとんど出ません。

ここ2年以上そうです。去年、物件を取得する際に、まず、エグジットを考えてから、するべきでした。

このことをこの方にお話したところ、彼は、「それじゃあ、現地の知り合いがたくさんいるから、共同経営にしよう」と直ちに言いました。


そこです。そこ!共同経営の場合、やり方に気をつけてくださいね。


頭もよく働くし、頑張り屋さんのこの相談者様、起業家精神は、日本人に珍しいほどあって、心から応援したくなる人柄でしたけれど、ビジネスはともかく、こと不動産については、実際の知識レベルが、それに伴いません。クリエイティブな不動産投資には、相当な法律知識や金融の素養が必要なのに、周囲の人にいい加減に「会社を作れば融資が取れる」とか、「俺もやっている」とか言われ、裏づけを取らずにその気になっていたようです。一部、こういった fraud に手を染めている方が周囲にいるのかも知れませんし、そうした fraud は、見つからなければ、やったもの勝ちであることも、事実かもしれません。

しかし、今は、5年前と比べ、社会の目が、こうした行動に大変敏感になっている、それも、米国の最新状況なのです。

パートナーシップの組み方において、相手が、投資資金をちゃんと持っていてくれるのであれば、問題ないのですが(でも専門家に書類を作ってもらう必要はあります)、今申し上げたように、内々にパートナーシップを組んで、他方では、銀行には、パートナーの与信だけを申告して、パートナーシップの資金を、銀行から引き出そうとしたら、これは、ストロー・バイヤー状態になるんです。FBIマターです。

この方は、珍しく、乗り出す前に私に相談をする機会が得られたので、その点を指摘することができて、よかったです。(とはいっても、自らの資金が寝てしまう状態が続くかもしれないという指摘に対し、大変困惑されていましたが)素直な方だったので、私のアドバイスを受け入れてくれるものと思います。

    ▲▲▲


いかがでしょうか。


きちんとした仕事があり、資産もあるような日本人の方でも、法律知識がないゆえに、いい話に乗ったり、起業家精神を発揮しすぎたりして、クリエイティブな不動産投資をしているつもりが、このように冷や水を浴びせかけられることがありうるのです。


再度、言います。今、ビザなし日本人向けに、米国の銀行から、融資は出ません。


今の環境で、妙なウルトラCで、融資を取ろうと、しないでください。投資に着手された段階で、私に相談されても、私がお手伝いすることができないことは、上の3つのケースをご検討いただければ、容易にお分かりいただけると思います。


=========
ダメ投資をする前に、本格的なカスタムコンサルを有料で受けたい方は、ご一報を、、、でも、百万単位、一千万単位のロスが出るか、利益が出るかのレベルのビジネス投資の話をしているのですから、私のフィーは高いです(笑)。
                   ==========


〔ちなみに、私は、原則、無料の一般相談は、やっていません。今回は、たまたまのブログ5周年記念無料相談の機会に、この話がでたから、その流れで、対応し、それについては、お役に立ててよかったと心から思いましたが、面識もない方は、ブログから、うまくいかなくなった投資の相談などは、されないでください。よそで取得した物件の管理のお手伝いもできません。メール相談で、「自分のケースは、ブログに取り上げるな」と書いてあっても、一般論としては、匿名でやり取りをアップする権利を、私は自由に行使するつもりですので、それがお嫌でしたら、弁護士などの、有料で守秘義務がある有資格者のサービスをご利用されることをお勧めします。大体、私だって、お金を包んだうえで、そう申し出てくだされば、守秘できるんですケド(苦笑)。会社のメールを使って、会社の法務の相談とかをしてくる方までいて、一部の方の常識を疑います。上司に報告しますよ、ホントに、、、〕


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現在、「本ブログ5周年、対デトロイト不動産投資案件100軒」を記念し、メルマガ購読者様向けに、余裕がある範囲で、無料面談をやっています。要領については、こちらのご登録をお願いします。

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遠距離の一般の方は、申し訳ありませんが、ブログでご案内している範囲以上の対応はできませんので、お近くの有資格者の方などに相談をされてください。いろいろな方がいて、対応に困るようなことも起こるので、お顔合わせできない方には、基本、お話できません。顔をあわせられないが、どうしても、私とやり取りしたいという希望がある場合は、付き合いで結構ですので、私のダウンロードセミナー位はご購入の上、連絡してください。

中山からのお願いです。
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