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Tax Appeal とは 固定資産税評価に対する異議申し立て

アメリカにあって日本にないものなあんだ。そんなの、いっぱいありますね。そのひとつが、不動産の固定資産税に対するタックスアピール。

どう訳するのがもっとも適当かはわかりませんが、内容は、「役所が評価してくる物件価値に対する行政上の異議申し立て」。

どうして、これが、アメリカの不動産にとって重要な意味があるかというと、役所の評価は、固定資産税の算出に利用されるからです。

物件を買ったら、高い資産性を求めるのが、人情ですが、その半面で、固定資産税は、低いほうがイイんですよね。

この二つは、なかなか難しい相克ですが、役所のほうも、州によっては、課税率を低くして、物件自体が割高でも、居住や投資はしやすいように努力していたりもします。州の税率《税額ではなく、税率。但し、税率が高いと、税額も結局高くなりますが》が、高めなのが、ニューヨーク州や、ミシガン州、テキサス州など。他方、州税率が、低めなのが、カルフォルニアやネバダ、ハワイなど。後者の州で、不動産バブルが誘発されやすいのは、偶然ではありません。


実需(=投資家ではなく、実際に物件に住む)の場合、「公立学校などのサービスの高さを求める」というニーズもあり、「公立学校がよいエリアだったら、固定資産税などの税金も高いに決まっている」のも、また、真なり。


さて、英語が不得意な日本人投資家でも、不動産の主要単語は知っておいたほうがよいというのが、私の自説ですが、property tax appeal も、そのひとつでしょう。

ここ数年のトレンドとしては、

市場ガタ崩れ→物件価値ガタ崩れ→固定資産税算出評価額も下がる→固定資産税も下がる

という流れがあり、「ほうっておいても、ある程度、課税額は、下がっています。

しかし、「それじゃあ、おいつかないよ」ということも多く、プロパティー・タックス・アピールという手段が、用意されているため、そのシステムを利用し、「自分の物件は、行政が評価するほど、高額ではない。だから、固定資産税を下げてください。」と主張するオーナーが多いのです。

固定資産税評価のシステムや、それに対する意義申し立てのやり方は、すべて、州レベルに任されています。

大体、一般的なプロセスとしては、

■毎年、決まった時期に、固定資産税評価額の通知がある
■それに伴い、決まった時期に、tax appeal をする権利があることも、行政側が告知
■自分の物件の評価額が高すぎると思えば、異議申し立てをする方法の詳細や期限を調べ、また、自分の物件が、どうして、「評価された額より低いと思うか」という理由を、立証する用意をする
■異議申し立ての場というのは、複数、用意されているので、最初の行政決定がNGであれば、その行政決定をより上位の手続き機関で争う

といった段取りになります。

この場合、行政への異議申し立てという手続きの性格から、弁護士が、代行業をオファーしている場合も多いですが、実際問題としては、弁護士を雇って、フィーが見合うのは、商業物件の場合のみと思って間違いありません。

また、そのエリアの物件鑑定を必要とする面があることから、鑑定士《appraiser、アプレイザー》が、タックスアピール代行をやってくれる場合もあり、こちらのほうが、一般には、フィーは、リーズナブル。

但し、こうしたサービスというのは、私も、いろいろ、探してみたり、有料で使ってみたりしてだんだんわかってきましたが、結果保証でないので、やはり、なかなか難しく、個人投資家は、多少件数があっても、基本は、自分でやれることが、出発点だなと、最近痛感します。

遠距離投資で、何でもやれると豪語したい私ですが、評判がよく、誠実に、結果重視のタックスアピールまで担当してくれる地元コネクションができるようになるころには、遠隔投資家は、相当な無駄金を地元で落としていることになるのではないかと、見聞きする例や、自分の経験からは、思います。

これに関連して、一番多いトラブルが、「頼んで、フィーを払ったのに、相手が、誠実に業務を実行したか、わからない、あるいは、まったく、実行した形跡がない」というもの。もちろん、「有能じゃなかった」というのも、同様に、困りますね。ある意味、サービスを提供するほうとしても、年一回しか、収入を得る機会はないし、やりにくい業態ではあるかと、業者さんには、同情もするのですが、、、

最後に、時期的には、ちょっと機を逸しましたが、不動産の価値を重んじ、投資家フレンドリーな風土作りに努力しているネバダ州クラーク郡の例を見てみましょう。

ラスベガスリビュージャーナルに掲載された関連記事
ネバダ州が、税収が下がりそうで、困っているという話も。

ネバダ州クラーク郡の固定資産税課税評価課には、私も、課税方法などをめぐって、電話をしたことがありますが、実際のproperty assessor 業務に携わっている方ともすぐ話をさせてもらえますし、向こうも、きちんと仕事をすることが、郡の利益に合致しているという意識が強いらしく、話をしていても、内容がしっかりしていて、信頼できそうな感じでした(詳細は忘れましたが)。

私自身、ネバダの物件の固定資産税額は、自動的に、大幅削減され、うれしいですが、ネバダ州のみならず、全米を通して、税収の問題は、市町村、郡、州にとっては、相当、頭が痛いのではないかと思います。

しばらく前に、ハワイで、役所や公立学校は、毎週、自宅待機状態になるという話を紹介しましたが《こちらから》、こうした状態が続くと、これが、全米に広がったりしかねないのかもしれません。

また、問題は、短期にとどまらない場合があります。というのは、評価を大幅に切り下げることは、市場下落に応じ、ある意味、容易なのですが、逆に、その後、市場が好況に沸くことになっても、一度下がった評価は、オーナーの所有権や既得権を守るため、急激に戻せない、具体的に言うと、戻す額やパーセンテージに上限が定められていることも多く、そうなると、税収の落ち込みは、物件がオーナーチェンジを経るまで、回復できないからです。とはいっても、気の短いアメリカ人ですから、不動産価格が回復すれば、すぐ、現金を手にしようとする行動を取るオーナーが多いのかもしれませんが、、、

一応、このような big picture というのも、まあ、あるわけではありますが、ここら辺は、私たちが、頭を悩ませても仕方がありません。アメリカ経済はどうなるのか?米ドルの価値は?真剣に懸念されている方は、私のブログなんか読まず、金でも買って、自宅の畳の下にしまわれるといいかと(笑)。

対米個人不動産投資家は、とりあえずは、自分の利益を理解しておくことが、重要。

タックスアピールは、遠隔投資家、日本人投資家にとっては、なかなかの関門だと、申し上げておきましょう。私も、正直、対ミシガン州投資では、苦戦しているエリアですが《他のエリアは、地元事情で、やる必要がない》、年一度しかない機会なので、機会があるときに、とにかく、いろいろ、やってみるしか、ないなというのが、実際のところです。


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