They didn't ask for it. 【聞かれなかったから】
前にも、アメリカの常識は、日本の非常識、アメリカでは、権利行使についての説明などは、誰もしてくれないのです、というお話をしました。
実際、アメリカというのは、権利はたくさんありますが、それがどういうもので、いつどうやって行使するのかを説明してもらおうと思ったら、その部分に対し、お金を払うものなのです。例えば、弁護士を雇って、時間で、何百ドルも払う、とか、、、
この前、経験したのはこんな事例。
円ローンのお客様が、カルフォルニアの物件を購入するに当たり、レアルターなしで、デベロッパーのセールスオフィスで、物件の契約をしてしまったのです。
そこから、私のところに、「融資付け」を依頼しに飛び込んでおいでになりました。
英語もできるインテリご一家なのですが、アメリカ不動産のことはお分かりになりません。デベのセールスオフィスも、ちゃんとしたところで、アメリカの基準からは、「一流」なのですが、残念ながら、素人さんの教育センターではありません。
いろいろ細かいトラブルがありましたが、特に思い出に残ったことが、ひとつ。
お客様が、クロージングのために、飛び立つ、というぎりぎりまで、契約締結に必要な各種費用額が出てきません。
しかも、金額が出てきたところで、お客さんは、「金額がおかしいような気がしますが、中山さん、どうしてでしょう?」というので、「この期に及んで、明細書【英語でHUD1という】はもらっていないのですか?」と伺うと、「もらっていないです」ということ。
お客様が、クロージングのために、飛行機に乗る、というその前日の会話です。直ちに、翌朝、7時に、私が、デベロッパーのエスクロー担当オフィサーに電話をかけて、問い合わせをすることになりました。
すると、スグに、タイトルカンパニーのエスクローオフィサーと三者会議をさせてもらえました。
***会話****
中山
お客様が、明細がわからないので、最終金額が、思ったより多くて、不安に思っているようなんですが、すでに振り込んだアップグレードの分1万ドルは、ちゃんと計上されていますか?
担当者
計算は間違っていませんよ、それも差し引かれています。ただ、向こう一年の税金が6,000ドル、名義移転税が5,000ドル、、、etc、etc。お客さんにもちゃんと、口頭で、ご説明しましたよ。
中山
ただ、HUD1をもらえないから、お客さんも不安なんだと思うんですが、どうしてまだ発行されないのですか?
担当者
もう、出ていますよ。
中山
ええええ?じゃあ、どうしてお客さんに、連絡してあげていないの?
担当者
They didn't ask for it.
HUD1を、ほしいって、いわなかったから。
中山
【ぐったりしながら】じゃあ、至急、HUD1を、お客さんにメールしてくれる?
担当者
【あくまで快活で、アメリカ式基準からは、この間まったく、ぶれずに、最後まで、完全にプロフェッショナルに、、、】もちろんですよ、すぐやるわV
**********
これが、アメリカです。
私自身は、このように、電話一本、ものの数分で用事が終わり、この人やデベロッパーのセールスオフィスのレスポンスのよさや対応のよさに対する良い印象はまったく変わりませんでしたが、お客さんは、この間、ずっと、五里霧中。さぞかしストレスを感じておいでだったでしょう。
また、これが、アメリカの普通のローンオフィサーだったら、そんなフォローをする、余裕がないし、そもそも、これは、ローンオフィサーの仕事の範囲ではないのですね。
素人のお客さんが、自分側、つまり、買い手の利益を代弁する、レアルター【buyer's agent】なしで行動しようとするのは、狂気の沙汰です。費用も変わりません。というのは、アメリカでは、レアルターフィーは、売り手の分も、買い手の分も、購入価格から支出されるから。
今回はデベロッパーがよいところなので、これでも、大きな問題には発展しませんでしたが、例えば、一般仲介物件に問い合わせをして、売主のレアルター【seller's agent】に双方代理【日本で言う両手】をつとめさせるような羽目にでも陥れば、どんな状況に落とし込まれるか、わかったものではありません。【その例は、別のところで、言及したことがあります。】
良いレアルターさんを見つけるのは、またそれはそれで、難しく、こちらはこちらで、いろいろなエピソードがあるのですが、ネット情報のみならず、口コミなども賢く利用されて、スムーズな手配を、されますよう。
安心して、不動産取引を行うには、いろいろな立場の、よきチームパートナーたちが、必要なものなのですね。
*********