名義瑕疵保険-タイトルインシュアランス/タイトルポリシー(title insurance/title policy)
《2012年の記事を2015年1月20日に加筆訂正しました》
アメリカ不動産投資家の中山道子です。
ご関心がある方は、まずは、私の無料メルマガへご登録ください(各記事の末尾にスクロールしていただければ登録できます)。
米国不動産取引において、名義書き換えに重要な役割を演じるのが、タイトル・インシュアランス。今日は、この用語をご説明します。
アメリカでは、日本と違い、物件購入時に、物件の名義に瑕疵がないことを調査(title search、タイトルサーチといいます)したのちに、名義保険というものが購入できます。通常、コストは、数百ドルからで、物件の価格が、保証額の最大額になるので、高級な物件ほど、タイトル・インシュアランスは、高額になります。
州にもよるでしょうが、例えば、20万ドルくらいの物件のタイトルインシュアランスは、1,000ドル台くらいになるでしょう。
この場合、買主が希望するように、万全な名義書き換えが担保できなかった場合に、保険がカバーしてくれるリスク補填額の上限は、決済価格となるのです。
というのは、権原保険は、「決済時」以外は、購入できないからです。(タイトルサーチ自体は、有料で、随時、可能です。)
他方、保険は、購入後、何十年たっても、売却するまで、または、売却後のトラブルについても、有効です。また、一応保険会社が、全国レベルで名義問題のサーチを掛けたという調査をしてもらうということに意味があるのであって、保険にOKが出ること自体が、重要なのであって、補償金額自体は、多くの場合、そこまで決定的な問題ではないともいえるかと思います。
整理しなおすと、このシステムは、物件売買にあたり、
☆まず物件名義調査をしておく/売主は問題解決を要求される
☆物件調査で判明しなかった瑕疵に対して保険をかける
☆保険の上限は、購入価格
☆保険の期限は、保有期間を通じて
というものです。
日本でも、決済時に、行政書士の先生に、過去の抵当権の抹消確認などをお願いするわけで、米国では、この役割を演じるのが、タイトルインシュアラー(title insurer)と呼ばれる保険会社だというわけです。
現金決済の場合は、タイトルインシュアランスを購入する義務は、ありません。しかし、私は、お薦めします。
銀行の融資が降りるときは、銀行側が、「タイトル保険購入」を条件とします。ちなみに、この際には、購入する保険は、
Lender's policy
融資者用の保険。つまり、銀行のために発行される抵当権者用保険
が要求されます。つまり、損害(名義問題)があったとき、誰に保険金が降りるかと言うと、銀行が受取人になるわけです。融資をする側が、物件購入に当たり、名義が、融資をした相手に代わるよう、名義保険を、要求するわけですね。
ですので、多くの場合は、自分用のポリシー(owner's policy)と銀行用の保険が両方必要になる場合が多いです。通常、売主が、名義保険を買ってあげる義務がある慣習があるところが多いので、
融資を取得する際には、
>売主が、名義譲渡保証の意味で、ひとつ分の保険を買ってくれる
>自分が二つ目の保険を買う
という段取りになるかと思います。名義保険会社って、なので、すごく儲かります。
キャッシュで物件を買うときは、保険購入は不要ですが、しかし、それでも、この保険を持っておくことには、大きな意味があります。
というのは、まず、タイトルサーチを全国規模の保険会社がしてくれるという安心。まったく知らない第三者から物件を買うわけですから、名義の問題で禍根を残すとしたら、問題ですね。それから、このタイトルインシュアランスは、上に述べたように、購入後、売却まで、有効なのです。例えば、15年後に物件を売却する場合であっても、売却決済時に、ほぼ確実に、「タイトルインシュアランス情報を提供してください」といわれます。
そのとき、「買っていない」と返事をすると、向こう側が、余分に調査をしたりして、コストが結局その段階でかかったりする可能性が出ます。
日本にない制度なので、分かりにくいということをおっしゃる方が多く、他方、米国人にとっては自明の制度なので、説明してくれる不動産関係者のほうが少ないかもしれません。
最近、CRAIGSLISTといった無料掲示板やらで、物件を見る方も出ているので、警戒をされるように、再度お勧めしたいです。売主側から、タイトルインシュアランスは、省略しようといわれたら、まっとうな取引でないので、私のこの記事を読んで勉強になるレベルの方は、そのような提案に、合意してはいけません。
__________________
2015年2月 大阪・京都・東京不動産投資セミナーWITHパソコンリサーチ実践法
タイトル保険を取得していなかったために困ったケースとは!?
セミナーで失敗例と対策をじっくり聞いていただけます。
__________________
ベテラン投資家は、確かに、タイトル保険なしで格安で物件をその場で買って、その後、別途、名義問題解決は必要な時期に後に段取りしたりします。
(この記事は無資格の一投資家が書いているものですので、具体的な話として、ご自身の投資にかかわる部分で、この問題について疑問がある場合は、弁護士にご相談ください。このブログの他の記事についても同様です。)
*********