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東京の米国化? 港区の所得水準は足立区の3倍に!

対米不動産投資家の中山道子です。

今の時代は海外からでも日本のニュースがよくわかるのがうれしいですね。昨日見たダイヤモンドオンラインの記事は、いよいよ、東京も米国化か?と思わせるものでしたので、ここでも取り上げてみます。

港区の所得水準は足立区の3倍!? 東京23区「びっくり格差」ランキング

という記事でした。

こちらによると、

港区は、1997年次には、所得水準が、697万だったのが、2008年には、1,127万で、2011年に最も落ち込んだものの、2012年には、904万と、持ち直し、実に、この期間で、61パーセントという伸び率を記録することとなった、というのです。

記事によると、この期間中の東京23区の所得水準の平均上昇率は、6パーセントだというから、すごいですね。

これに対し、足立区の所得水準は、2012年現在、323万なのだそうで、確かに、3倍の格差です。

所得水準というのは、どういう意味かというと、

納税義務者1人あたりの課税対象所得額

をさすのだそうです。

記事引用によると、これは、

「サラリーマンの場合なら、額面支給額から給与所得控除額を差し引いた金額で、暮れになると手渡される源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」にあたるものだ。単純計算で足立区の平均所得水準323万円を、サラリーマンの額面支払額に直すと471万円。しかも、パートタイマーなどを含む税金を納めた人すべての平均」

なのだそうです。全国の「納税義務者一人当たりの課税対象所得額」の平均は、320万。つまり、足立区も、323万という所得水準は、全国的に見ると、平均より上、なんだそうで、大阪市や札幌市より、高ランク。

「山の手」「下町」「山の手線内外」といったような言い方に現されるように、23区の中でも、格差ということは、昔もあったと思いますが、しかし、これほどの差の伸びが2000年前後から生じているというのも、すごいですね。

米国の場合、こうした傾向がより顕著。関連して、私も、いくつかの記事を書いたことがあります。

> 郵便番号ごとに所得と教育レベルがわかるツール

怖すぎる! スーパージップってなんだ? Washington Post''s Interactive Map of Super Zip Codes


> 不動産に対する学区の影響力について

学区と物件価格の関係 究極の選択

多少の地域差があっても、独身者にとっては、単なるライフスタイルの問題ですが、子育て組なんかにとっては、悩ましいところですよね。

地元の公立に行かせるのが、心配、となると、塾、受験、私立と、これまでは、あまり考える必要がなかったと思われていた「教育費」の支出には、際限がないですね。

米国では、このように、ちょっとネットで数分すごせば、「所得格差、教育格差」があからさまにわかるわけですので、その結果、「所得が高くて教育レベルも高い人たちが住むエリア」と、「そうでない人たちの住む(危険)エリア」との地域格差の問題が、最新課題になっています。

低所得者層が居住するエリアでは、その絶望感が指摘されると同時に、後者のアッパーミドルクラス層の憂鬱についても、深刻な議論が続いています。

最近、よく取り上げられるのが、シリコンバレーの「パロアルトという名門公立高校において、前途有望な若者たちが列車に飛び込んで連鎖自殺」するという問題。

ますます、多くの親が、子供に、よりよい教育を、と望む反面、たとえば、パロアルト公立高校の生徒たちがこぞって目指す近所の名門校スタンフォード大学の合格率は、今、5パーセントだそう。学力がある上、くじ引きで運を引き寄せる位の運がない限りは、普通に中産階級で育ってしまった志願者にとっては、学力があるだけでは、入ることができないくらいの高嶺の花となっているようです。

まさに、親が、介入しすぎるヘリコプターペアレントであると、子供が、神経症になるとか、競争が過剰すぎて、いたたまれなくなるのだとか、あるいは、失敗に弱い打たれやすい若者に成長するとか、日本の教育現場とまったく同じ話となっているわけですね。

インターネットなどを通して、情報が広くいきわたるようになったことで、情報の民主化が起こっていると同時に、同じ場所を目指そうとする一律的な競争、価値観の一元化は激化するばかり。

日本においても、「港区居住者の所得と足立区居住者の所得」は、これほど違うんだ、といったデータが、こうしてどんどん広がっているわけで、データを見て、「自分にふさわしいところ」に移動しようとする人は、ますます増えるでしょう。港区は、もっと高所得化が進むかも、、、

私も、データ自体を見るのは好きで、投資の場合は、データが勝負なわけですが、しかし、そのデータから、じゃあ、投資と別に、自分自身が、ライフスタイルとして、こういう状況に対し、どういう対処するか、どういった行動に出るかは、また、プライベートのことで、まったく別の話だと思っています。

私の場合、ライフスタイル的には、”逆張り”が好きで、それが、自分なりのライフハックにつながっているので、最近のセミナーでは、そうした側面について、もっと積極的に話すようにしています。

こういった記事を読んでも、経験のない若いころなら、単純に、「港区=かっこいい、勝ち組」、「足立区=ダサい、負け組」といった図式を描いてしまったかもしれませんが、この年になると、「かっこいい住所に住んでいるが、本当に格好だけ」といったケースもある、また、「一見、地味に見える人が、実は成功者」といったこともあるのだといった人生のニュアンスがわかるようにもなりました。学歴があっても、社会で実力を発揮できない人がいるというのも、本当にオトナになれて、はじめてわかることかもしれません。

そもそも、ある段階で競争に勝っても、次の段階に進めば、いつかは、別の人に負けるわけで、競争に参加し続ける以上、いずれかのレベルでは、負けは必須です。

資本主義ですから、健全な競争がいけないということはありえず、あるレベルでは、競争に積極的に参入していくバイタリティがほしいのは間違いない反面、バランスや自主性がない限りは、普通の人間は、競争に巻き込まれるだけでは、心身を壊してしまいますよね。

データは、データですが、そこから何が読み取れるか、どう行動するかは、私たち自身が決められます。

日本でも、こうした統計がわかりやすく提供されるようになってくるにつれ、われわれ一人ひとりが、自分は何を重視するのか、我が家は、どのような価値観を基本におくのか、何を持って幸せとするのか、といった自律性を、ますます、問われるようになるな、とこの記事を読んで、思ったところです。


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