HOME > アメリカ地方環境 > 

投資家にも参考になる Rent vs Buy 指標

こんにちわ。2007年以来、ゴミ都市デトロイトにヘビーに投資をしているゴミ投資家中山道子です。いえ、本当は、私のやっていることは、そこまで、おかしなことではありません(多分)。

一般に、対米投資を最初に考えられる人というのは、当然、「夢」を持っています。

一番人気は、ハワイの別荘でしょうか。ニューヨーク、サンフランシスコ、シアトル。カナダならバンクーバー。みな、風光明媚で、すばらしいエリアですね。

しかし、こういうエリアにおいては、投資は、なかなか難しい。やっぱり、物件が高いんですね。ちなみに、この前気がついた統計がありますので、それを援用してみましょう。

それが、rent vs buy の最新統計。

不動産リサーチ会社、Trulia社の10月8日発表によると、家賃と価格の比率を計算し、その比率で、トップ50都市をリストアップしてみたところ、、、


物件価格が、家賃価格に比べ、異様に高いトップ都市は、、、ぱんぱかぱーん!

以下の通りでございまする。

1rentvsbuy.gif

ニューヨーク、シアトル、サクラメント、サンディエゴ、サンフランシスコ、ボストンと、日本人がなじみがある都市が、目白押し。

ただ、この”みんなが競争して持ち家を買いたがる(?)都市ランキング”に、テキサス州のフォートワースや、ネブラスカ州のオマハ市も入っていてびっくり。オマハって、オマハ在住で有名なウオーレン・バフェット氏効果なのか?《バフェット氏の自宅については過去にブログ記事を書いたことがあります。》いや、失業率が異常に低いそうです。それなら、家購入の融資も通りやすいんでしょう。フォートワースは、どういうこと?、、、私には、ちょっとわかりません。テキサスに詳しい方おいででしたら、教えてください。

このrent ratioというのは、どういうものかというと、


****rent ratio算出方法

☆2ベッドルームの物件の平均家賃を算出
☆2ベッドルームの物件の平均購入価格を算出
☆購入価格を1年間の平均家賃で割って、何年分の家賃で物件が買えるか算出

するというもの。この”2ベッドルーム”には、アパート、コンドミニアム、タウンハウス、コーオプ(コープ/co-operativeタイプの物件)をすべて入れるそうです。

そもそも、例えば、アパートの一室は、貸しには出ても、売りには出せませんし、この定義では、一軒家は排除されているしで、この統計は相当単純なものかと思いますが、トップ50都市が、みなこの条件で比率を出すということなので、まあ、全国集計というのは、その程度の精度しかもてないというのは当然かと思います。

++++


ということで、夢のニューヨーク市では、2ベッドルームの物件を、月額Xドルで借りている場合、年間家賃の35倍のお金《Xカケル12ヶ月カケル35年》がないと、その物件が買えない、というわけですね。

これが、どうして投資家にとっても意味があるかといえば、ずばり、投資資金の回収に、より時間がかかり、そもそも、家賃=キャッシュフロー経営では無理だということが、結構、はっきりしちゃっているわけです。


ニューヨークでは、”買うより、借りたほうが、得”。


こういうエリアでは、成功する典型的な投資家のプロフィールというのは、キャッシュリッチで、キャピタルゲイン狙いとか、為替レートの変動狙いとか《物件価格が変わらなくても、通貨変動で短期間に、10%、20%といったゲインを出すことが可能になる》、お金がなくなりさえしなければいい人とか《定期預金感覚》が中心になります。収入がありすぎて、当面、投資が赤字になって、しかも、将来、安定資産になってほしい人ですね。

なんとなく、想像ですが、ニューヨークやサンフランシスコ・スタンダードのキャッシュリッチというのは、資産5億以上とかになるのでは。1億程度の純資産がある位では、米国移住(亡命?)でも考えていない限り、半分または、全額を、長期にわたって”パーキング”するところまでは行かないように思うのです。《これらのエリアで、物件を買う場合、キャッシュだとそのランクが最低になる》

これだけ、家賃という収益率が低いと、利回り的には、こういう計算。

家賃が、月額1,000ドルにつき、初期投資は、1,000ドルカケル12ヶ月カケル35年=42万ドル。利回りは、1万2,000ドル÷42万で、2.8%。

大都市圏でいい物件って、大体、そんなイメージですよね。東京でも、プライムなエリアでは、そんな感じ。

ただ、日本と異なり、米国も金利は安くはなりましたが、さすがに、2%とかの融資はありません。また、固定資産税も、日本より高いです。なので、こういうエリアで、融資を受けて、投資をして、賃貸収入だけでローンを返済するという構図は、ありえません。融資を受けている場合は、必ず、マイナスキャッシュフローになるわけです。

いや、オールキャッシュの購入でも、固定資産税、保険、修理等を考えれば、普通の仕入れであれば、基本、当面、”赤字経営”なのでは。

以上のように、「アメリカの経済が、いくらがたがた」であっても、実際には、こういうプライムなエリアで、物件を底で掬うような行動は、多くの私達にとっては、やはり、高嶺の花。これらのエリアは、サブプライムの影響は、最も小さいのですね。

本来、素敵なエリアで、値段が高くて、利回りの低い物件は、通常、入居や管理では、苦労しないというのが、一般のお約束。退居者が出る頃には、内見なしで、何人もの賃貸予約が入るような部屋ですね。なぜかというと、「それだけの部屋は、借りるほうが買うより得=買えないけど、家賃なら払える」から。

それに対して、高値エリアの周辺や、通勤圏で、小額から物件が購入ができる場合もあるでしょうが、そうした物件のエリアは、日本人が好むような場所ではなく、多分、相当現地をよく知っていないと、客付け、管理にエグジットと、あらゆる面で、「ダメエリア」同様にてこずるようなことになるでしょう。

以上のように、ちょっとでも「いいな」と思うエリアの場合、日本の東京首都圏よりずっと、競争が、すごいような気がします。この3月に、トランプタワーで、「ウルトラフォークロージャーが出た」というゴシップネタを、そういえば、書いたことを思い出しました。「フォークロージャー物件に、競売で、融資額をゆうに超える値段がつくさすがの国際都市、ニューヨーク!記事は、《こちらから》

私自身、融資のご相談で、こうしたエリアに投資を希望されている方々に、時々、ご相談を受けますが、普通のサラリーマン感覚からすると相当お金がある方でも、ご自身で、結構リサーチをされた後に、「高すぎる!買えない!」と言うことになる場合が、大部分です。

私が融資窓口を承っている円/多通貨ローンについても、現在は、アメリカ投資は、頭金比率を高めなければいけないほか、円融資の場合も、金利が、4%以上と、ありえない悪条件。《カナダなどサブプライム問題に巻き込まれていないエリアの融資条件は引き続き意味がある射程》

物理的に「買える」場合でも、リサーチ後、結構、皆さん、「買っても仕方ない」という結論に達される可能性も高いんですね。


+++++++


それに対し、じゃあ、50都市のうちのボトムランクはというと?こんな感じの統計がでます。


1rentvsbuy2.gif

フロリダやアリゾナのランクインは、サブプライム効果。オハイオやミシガンは、万年不況エリア。デトロイト市内で、2BRの物件の家賃を500ドルとすると、500×12×11=6万6,000ドル。実際に、現状、そんな値段で売買が行われていれば、すごいけれど、と苦笑するしかありませんが、確かに、きちんとした物件を鑑定すれば、そういった価格帯になるかもですね《ただ現状融資が大変出にくいので幻》。

また、一応ランクインしているカルフォルニア内都市は、フレズノ。やっぱり住むのは大変と評価されているエリアかも。ここも、カルフォルニア内で、相当なバブルがはじけたんじゃないでしょうか。

こういったエリアでは、家主のほうも、キャッシュフロー型の経営に基づく資金回収率が高そうなこと=「値上がりを頼みにしなくてもいい」が魅力ですが、物件購入が、誰にとっても、より容易なわけですから、”貸しても人が入るかな?”と悩むことになります。

というのは、「家がいくら安くても、それでも、買えない」という人が、メインターゲットの賃借人層なわけですから、よしんば、借りてくれる人が引く手あまただったとしても、”買うのは、より簡単”な代わり、管理でてこずる可能性が高いということだからです。

事実、マイアミのような、日本人にとっても耳になじみがある国際都市が、ランクインしており、私も、米国在住の投資家から、マイアミ市内は、現在、相当、賃貸に苦労すると聞いたことがあります。

このように、両極を見ると、between a rock and a hard place 《「岩と固い場所の間」という慣用句、どっちを向いてもダメなことのたとえ》なわけで、私自身は、極端な安物買いのほうで、管理問題に取り組む姿勢でやっていますが、それが、絶対成功するという確信があるわけでもなく《doing everything possible to make it happenではありますが》、多くの投資家様は、「その中間地点」のいずれかの道を選んでいかれるのかと思います。

ということで、ご参考までに、以下に、50都市 Rent vs Buy のリストリンクを、ご案内しておきます。下のPDFは、上のランキングと正反対に、「買いやすい都市ランキング」形式になっており、アーリントンが1位、ニューヨークは、50位、という形式で逆表示されています。アメリカ在住で、家探しをしている方にも、面白いと思います。

Trulia社2010年9月次Buy vs Rent一覧


ご注意:この統計自体、地元が多少わかっていないと、理解が難しいかもしれません。例えば、ホノルルは、17年で、manageable《結構、OK》に見えますが、多分、地元の方がお住まいになるタイプの住居とあわせての平均が出てしまうためか、あるいは、リースホールド物件も計算に入れての数字であるとか、何か、理由があるのではと思います。実際に、日本人が住むことに食指を動かすランクの物件は、もっと高いところにランキングするはず。

中山からのお願いです。
記事がお役に立ったら、下の2つのボタンをクリックし、ブログに投票してください!
人気ブログランキング にほんブログ村  海外生活ブログ アメリカ情報へ
ご協力お願いします。
中山道子メルマガ登録URL
お名前
Eメール
Eメール(再)

ご登録は無料で、解除は、随時可能です。
最近の配信例は、こちらから。大体、月1度くらいの配信です。

*********

メール配信解除
ご登録のメールアドレスを入力し、解除ボタンを押してください
登録メールアドレス

≪ 一つ前のページに戻る ≫


このページの▲TOPへ戻る