駐在員様の「投資戦略」 Pさん、いい感じです!
前にも、多少、書きましたが、在米の駐在員の方々からは、よく、ご相談が来ます。特に、「円ローン」についてですね。
ただ、残念ながら、円ローンは、
★実住(=実際の居住物件)には、対象とならない、
★円の収入が、一部なりとある必要がある
ので、通常は、「帰国後ネ」の話となるわけです。
ところが、今のご時世は、ここで、通常ネックとなるのが、エクイティのなさ。
一番難しいパターンが、まさに、一番よくあるパターンで、
■日本企業が進出している高級エリアに素敵な実住向け物件を買ってしまい
■帰国や転勤が決まった段階では、賃貸をしてもマイナス、売るにも、マイナス
という状況。
円ローンで借り換えができれば、プラスのキャッシュフローになります
なんて、私が宣伝しているので、私に連絡を取ってみると、
エクイティは、30%必要ですが、X様は、現在、物件が値下がりしていますし、借り換えには、差額のウン万ドルをお支払いになる必要がありますね
なんて結果に、、、><
通常、こういう段階では、日本の家を買ったりしなければ、といった立場にもなっているわけですから、「そんなお金はないよ!」ということになってしまいます。
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とここまでは、一般的な話ですが、実は、こうした状況の中、ベガス在住のPさんは、早くから、私に、「物件がどうも値下がりしているようです。今は実住でいいですが、転勤時には、値下がりしているままの可能性が高いので、どうすればよいか、相談に乗ってください」というお話をされていました。
Pさんのローン詳細は、こんな感じ。
現在のローン:
金利は、6.75%、30年間金利固定、元本金利均等返済プラン
元本=$184.400。
月々の支払い=$1,321。
物件は、今現在、貸し出せば、1,321ドルより安くなるようです。また、物件価値も、20万ドルを切っている状況。
私は、ビザがある実住のPさんなら、ビザがない私たち外人投資家よりずっと有利なオプションがあるので、それを、研究してみてください、ポイントは、下の通りです、と申し上げてみました。
■ある程度、長期【10年。30年である必要はない】にわたり、支払額を固定できること
■とにかく、数あるオプションの中で、支払額が最低なものを選ぶべきこと
■元本が増えていくオプションは、さすがにNGですが、元本自体の返済は、しなくてもかまわないこと
ただし、正直、エクイティを投入しなおしてのリファイナンス覚悟になります。
そうすると、このたび、Pさんから、こんなお便りが。
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中山さん、ラスベガスのPです。ご無沙汰しております。
引き続きブログを拝見させていただいてており、セミナーなどますますご盛況な
ご様子が伝わってきて、その勢いに圧倒されています。
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ところでご多忙の所恐縮ですが、リファイナンスのその後を、ちょっとご報告させて
頂きたいと思います。
現在ご紹介頂いたYさんにお世話になっています。
リファイナンス選択肢1:
6.625% 30年間金利固定型 金利のみ返済プラン
元本=$160,000(頭金追加して元本下げます)
月々の支払い=$883
リファイナンス選択肢2:
6.000% 30年間金利固定型 元本金利均等返済プラン
元本=$160,000(同上)
月々の支払い=$959
↑のいずれかに乗り換え出来そうです。これだと、ざっと計算してレントアウトした
場合に月々のマイナスが$150-$200程度に押さえられそうです。
日本帰国まではしっかり貯蓄し、10年くらいマイナスでも耐えられるくらいドルを
貯めておこうと思います。今、物件の価値が20万ドルくらいらしいので、上がって
くるのを待たなければなりませんが、帰国後に円ローンに乗りかえれるチャンスを
伺おうと思います。
いろいろ計算した結果、中山さんのアドバイスがいかに的を得ているかがよく
分かりました。本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
P
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ローンの借り換えに、2万4,400ドル分のエクイティを投入する必要がありますね。手数料も、数千ドル、入るでしょう。
しかし、これにより、選択肢1のほうに切り替えられれば、毎月の支払いは、438ドル違うわけですから、生活実感としては、相当大きいですね。
細かく言うと、支払う金利の額が少し下がるので、税金を申告するときに、控除できる額は、多少減りますが、、、
また、これにより、急な帰国命令や転勤に対しても、すぐに、家を賃貸に出し、税金や保険、管理組合フィー、そして、管理会社への手数料を払っても、大きなマイナスに悩まされずに、物件を所有し続けることができる体制が完了しました。
また、現在のベガスでは、このランクの物件は、大体、毎年、25ドルから50ドルの家賃の値上がりが見込めると思うので、上のローンでの賃貸想定でも、ここ2-3年くらいで、マイナス体制が消える可能性は高いと思います。
物件価値が、まだ、回復しない間は、円ローンに借り換えするには、さらに、追加で頭金を投入する必要が出てしまいますが、生活プラン上、それが難しい場合もありうるわけで、そういう場合でも、このリファイナンスを完了させてしまっておけば、後は、「物件価格の回復を待つ」形でも、対応可能になるわけですね。
Pさんには、「とにかく支払いの額が低い第一の選択肢を選んで、差額で、貯めておける分は貯めてしまいましょう」というアドバイスをさせていただきました。
私自身、ベガスの長期市場としての展望は、相当良好だと思うので、自宅を長期資産に切り替えることができるように、アメリカの金利が低めの今、苦しくても、まとまった資金を再投入、というPさんの決断は、最良のものだと思います。
このリファイナンスの結果、
プランA 帰国後、円ローンにさらに切り替えられれば、相当なよい投資に
プランB そうできなくても、長期保有で資産性を狙える体制
ということで、私がよく申し上げる「プランA、プランB」がたちましたね。
Pさんの勝因は、
■ベガスはとにかくまだ物件価格が安いので、再投入資金も、まだ額が小さい
■居住中から、慎重に、転居時のことを考えられた
という2点に求められます。
ニューヨークやロスなどでは、はっきり言って、同じ状況に陥っても、物件価格が、上の3倍以上ですから、同じ問題を解決するための資金力も、3倍、必要になり、なかなか、スムーズには行きません。
Pさん、慎重に不動産を研究され、フツーの転勤族モードから、投資家モードへと、この1年で、すっかり頭が、切り替わられましたね!
買ってしまった物件は、今の私のレアルターさんによると、資産性構築に最適な物件とはいえないようなのですが、赴任早々にそんな頭が回らなかったのは当たり前。なんにせよ、軌道修正が出来たのです。また、そのプロセスで、お役に立つことができて、大変うれしいです。
ご帰国の際には、市場環境や資金状況を見て、円ローンの借り換えのご相談をいたしましょう。それまでは、ベガスで、お体に気をつけて、安心して、お仕事にまい進されてくださいね。
そうそう、私たちが6月に旅行に行くとき、お目にかかれれば、うれしいです。
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対照的だと思う相談例を、「駐在員様の投資戦略その2」として、紹介してみました。こちらからどうぞ。
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