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アメリカ留学と対米不動産投資 ハワイ編

私の対米不動産投資のブログでは、多くのアメリカ好きの方々が、お問い合わせをくださいますが、お子さんのアメリカ留学を視野に入れておいでの場合も多いです。

円ローンという日本人の対米投資のための融資窓口をしているので、その関係でも、いろいろな方からご相談を受けます。そちらについての資料は、こちらから。

しばらく前、「かわいそうだなあ」と嘆息せざるを得なかったケースがあります。お子さんのアメリカ留学に絡んでの、資金繰りのご相談です。

質問者は、こんな状況でおいででした。

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考えあぐね中山様のブログにたどり着きました。

未だ少しだけしか読ませて頂いておりませんが、とても為になります。

娘が学生としてハワイに滞在して4年になります。毎月20万強の家賃、6ヶ月毎の可能かどうかの更新、その度増える家賃で気が休まりません。

今後を考えコンド購入を考えています。調べてみると名義、相続等税務上の様々な問題があると分かりました。又今買い時なのかも判断できません。ハワイはメインと異なりサブプライム問題の影響を今後も受けないだろうと言われておりますが。

又投資額が1000万とお書きになっておられますが、不動産業者からは、将来貸したり売ったりすることを考慮して2ベッドで5000万台を薦められております。

セキュリティを考えると高額にならざる得ませんがかなり無理をしないと買えない額です。迷っております。アドバイスお願い致します。

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お嬢さんのハワイでの生活費が、毎月の家賃だけで、20万!

多少やり取りしたところ、「娘なので、よいところに住ませないと、セキュリティが不安で」というお話でした。

確かに、私が漏れ聞くところでも、ハワイのプライム(トップランク)な物件を持って、日本からの留学生たちに貸すというのは、資産のある方にとっては、なかなか、悪くない商売らしいということでした。例えば、3BRを持っていれば、学生さんが、共同で、3人で住んで、それぞれで、高額の家賃を分担してくれるというのです。日本でも、最近、むしろ低額物件中心に、シェアド、ゲストハウスなどの事業形態が、注目されていますね。

この方は、お嬢さんは、一人で住ませているようですが、さぞかしオシャレなハワイライフをエンジョイさせているような、、、

ホノルルにある大学の例としては、例えば、ハワイパシフィック大学というのがあります。そちらをみると、2009年度学費は、学部生で、標準2万8,000ドル強。ウエブサイトは、こちらからでした)。

この方のお嬢さんがどちらに在籍されているかは知りませんが、このイメージで算出していくと、イマドキ、お子さんが、ハワイに留学し、4年間在籍された上で、晴れて、大学を卒業できるとすると:

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学費  2万8,500ドル×4年=11万4,000ドル
家賃  2,000ドル×12ヶ月×4年=9万6,000ドル
生活費 1,500ドル×12ヶ月×4年=7万2,000ドル

イコール28万2,000ドル【為替の状況によりますが、ざっと3,000万】は、最低ラインだろうと予想がつきます。年間でいうと、7万ドル強、為替によっては、800万円です。

学費など、当然、毎年、値上がりします。同学では、2008年度の学費は、2万7,000ドル程度だったらしいですから、6%位の値上げでしょうか。物価や家賃も、同様のスライド率を覚悟するべき。

そもそも、この生活費見積もり1,500ドルは、最低ラインで、大学のテキスト代なんか、専門書なので、1冊が、100ドル単位と、結構高かったり、車がほしいという場合、これも、「中古は危ない」なんて思い出すと、新品の車を買い与えたり。おしゃれさんだったら、洋服や遊芸費など、、、

留学生は、アルバイト可能な時間や場所に制限があり、「自分で、意味のある金額を稼ぎ出す」なんていうことをしたら、大学や移民局に見つかったら、籍やビザが危なくなります。


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この親御さんも、この支出が大変だということで、この段階にいたって、苦悩されています。

4年間も、これだけの支出が続いていたのであれば、税引き後の年収が2,000万位ないと、多少教育費を貯蓄していたとしても、相当苦しい気持ちがするはず。ご夫妻の老後もありますし、いずれにせよ、これから、5,000万の不動産を買うといった話ではなくなっているのではないでしょうか。

最初ご相談のメールが来たときは、円ローンの頭金比率は、30%でしたので、「5,000万の物件を買われるのであれば、1,500万投入されることになります、2BRは苦しいんじゃないですか?」とお返事をしましたが、「ハワイに行って娘と相談をします」というメールを最後に、その方からのご連絡は、なくなりました。

その後、円ローンの投入比率は、対ハワイでは、4割となりました。5,000万の物件を買うのであれば、2,000万の投入資金が必要なほか、「他の予備資金」を相当額見せないと、そもそも、相手にしてもらえなくなっています。

この状態までなっていると、私なんかに、アドバイスは、できません。ハワイの物件が、お買い時かとか、サブプライムの影響を受けるかどうかとか、そういうレベルの話ではなく、テレビに出てくる家計相談の荻原博子さんにでも、ずばっと、言うべきことを、言ってもらわないと、いけないレベルなんじゃないでしょうか、、、【相談者の方、ゴメンナサイ!】


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逆に、私のセミナーに来てくださる方々は、用意周到な方もおいでで、「現在、子供がすでに海外に留学していますので、アメリカの大学に行くことを視野に入れて」といった方もおいでになれば、赤ちゃんをあやしながら、若いご夫妻の海外脱出の将来計画のご相談を受けることもあります。

「子供が赤ん坊のときから、そんなことまで、考えていられるか」は1つの正論ですが、例えば、幼児をもたれている方なんかでも、20年後、海外でなくてもいいから、自宅以外から、お子さんを高校や大学などに行かせる時の資金繰りを考えることが、重要です。

【日本人が、こういうことを、考えすぎた結果が、現在の少子化問題となって噴出しているという面も大きいだろうと思いますが、そっちのほうは、ポリシーメーカーの方々に、検討していただきたいと思います】

そのとき、気をつけなければいけないのが、日本の学資保険や積み立て商品のお粗末さ。過去に、日本の学資保険商品について、こんな記事を書いたこともあります。


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ちなみに、ハワイプロパーの話に戻ると、、、


■ハワイは今買い時か?【2009年3月次】
融資を取得して物件を買えた時期は、2008年まで。2009年、融資が取れなくなった現在、キャッシュ中心の購入戦略となりますが。聞く相手で答えは変わるでしょうが、私自身は、一般には、下がるのは、これからなのではと、そういう予感がします。とにかくほしい方は、後は、自分の目的や個別案件ごとの判断で、タイミングを計る形でしょう。


■ハワイは、サブプライムの影響を受けないか?【2009年3月次】
確かに、カルフォルニアやネバダとは違います。市場は、これまで、比較的底堅く推移していますが、ただ、結局融資引き締めが不動産市場の活性化にとってはもっとも問題なので、その意味では、この指摘は、正しいともいえないと思います。ハワイがサブプライムに派生する金融危機の影響を本格的に受けるのは、2008年より、2009年以降でしょう。


■では、この方は、どうするべきだったのか?

このご家庭自体の方針としては、「コンドミニアムを買う」以外の、いろいろなレベルの解決方法は、あるのではないかと思います。お嬢さんが、ルームシェアで、家賃を、より安くする協力をするとか、大学院に進学されるのであれば、ティーチングアシスタント【学部学生指導助手】として、大学で、収入を得る方法を模索するとか、、、実は、ハワイには、「期間貸し」のシステムもあり、「リース期間が○年残っている物件の占有権を、○年分、一括して購入する」という契約方法もあるので、これをやっておけば、「不動産を買いたくないが、年次契約はいやだ」という場合、「占有権を使い捨て」も、できます。

ただ、不動産購入に関して、ごくごく大雑把な統計で見ると、ハワイは、2000年から2004年くらいまで、低空飛行が続いていました。この時期に、カルフォルニアやネバダといった州が、バブったとき、「日本人投資家のバブル崩壊」から、回復しきれていなかったハワイには、この波が、それほど、来なかったのですね。

Hawaii

ハワイが、サブプライムの影響を受けていないといわれるわけですが、それは、この時期、サブプライムローンバブルに乗れなかったからです。

この方は、お子さんが、2004年次からハワイに留学されていたということですから、留学するに当たり、円ローンを使って、不動産屋さんが薦めるタイプの、2ベッドルームの日本人好きなコンドミニアムを、フツーに、買っていれば、価格は、大体、20万から30万ドルくらいで、見つかったことでしょう。円ローンを使っていたら、頭金は、25%。1,000万要らなかったはず。

そのランクの物件が、うまく抑えられていたとしたならば、現段階で、評価額40万から50万といった額になっていたと思いますので、ご相談者様が、この道を歩んでいれば、大変な不動産投資勝ち組になれた可能性が高いのです。【但し、円の決済レートの推移を考えると、円ローン融資後、マージンコールが来た可能性高し】

特に、この間、お嬢さんが、同級生を、ルームメイトとして同居させたりできれば、経費のほうは、相当額、そちらでカバーできたでしょう【ハワイは、保険や、コンドミニアムの管理組合費が高いので、それでも、持ち出しにはなるだろうと思いますが】。

それなのに、今現在、この方々は、大変失礼ながら、自分の老後か、お嬢さんの進学か、といった二者択一に対面しかねないような状況にまで、追い詰められているようにも、見受けられます。


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「うちは、地元の公立以外は許さないぞ」
「海外留学くらい、一回社会に出て、奨学金や、自費で、お願いね」
「なんといっても、外国語教育は、子供の世代にとっては、必須だから、今から、節約、投資だ!」
「あら、うちは、そもそも、インターナショナルスクールにいかせていますよ」

ご家庭によって、方針は、異なるはず。どれが正しいということはなく、愛情を持っている親御さんは、「うちはこうだ。他所は知らん」と信念を持って、「我が家流」を、歩むべきですね。

しかし、このご夫妻は、お子さんを甘やかすばかりで、足元がぐらぐら。社会人になるべき年齢のお嬢さんは、こんなラグジュアリーな暮らしが、どれほどの犠牲を持って実現しているのか、自覚を持って生活しているのでしょうか?どのような勉強をされているのか、わかりませんが、すでに、4年のハワイ留学で、3,000万、後5年も、同じ状況で、学生を続けられたとしたら、、、、多分、幼少時から足し合わせると、億に手が届く金額を、消費されたことになりませんか、、、(大汗)。

教育の価値をお金で計るかのような発言は、下品なのかもしれませんが、サラリーマンの平均的な生涯所得は、2億程度。イマドキの親御さんなら、「老後、経済的に、お嬢さんに面倒を見てもらう」といったような期待も絶対していないはず。「うちの資産規模は数十億単位なのだから、教育費1億は、順当なんだよ」といった方以外は、、「自分の家庭の事情」にあった教育と老後の設計を、一時の感情に流されず、主体的にプランニングしなければいけないのではないでしょうか。


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対して、こういう話になると、必ず思い出すのが、昔一緒に勉強した仲間のこと。カナダ人弁護士だった彼女は、堅実で、本当に、偉い人。

カナダでは、高校卒業後、1年銀行で働き、その後、大学に進学したときには、その銀行で、ローンを組んで、一軒家を購入。

友人たちを同居させ、家賃を払ってもらって、ローンの返済や維持費に充てていたようです。

日本に来日したのは、留学生としてで、東大法学部で修士号をとり、青山の渉外弁護士事務所に無事就職されました。

日本では、江東区のマンションに住んで、ルームメイトと家賃をシェアしていました。だから、「月額4万なのよ」とこともなげに言っていたのを、まだ覚えています。その当時、学生が使う家賃の額として見ても、安かったんですよね。

就職後は、彼女のお給料は相当だったと思うのですが、外人用の素敵な物件に入居しなおすこともなく、日本を離れるまで、ずっと、そのマンションを引っ越すことはされませんでした。

今はアメリカ人と結婚してアメリカに住んでいる彼女、学生時代の最初の家を、まだ、管理賃貸しているんです。年齢からすると、そろそろ、18歳のときに組んだ30年ローンを返済し終わる頃でしょうか。

この友人の堅実さ、冷静さには、今でも、本当に、びっくりします。20歳前に銀行ローンを組む行動力に加え、日本留学とか、やりたいことには、どーんとお金を使い、他方で、不必要な出費は絶対しないメリハリのよさ。

私たちの親の世代って、「お金の話を子供にするなんて、、、」と思ってきたのではないかと思いますが【うちもそうでした】、私たちの世代は、そんな「一億総中産階級的禁欲」に浸っている余裕はありません(笑)。

この友人と、自分の18歳の時の未熟さとを引き比べると、ため息しか出ませんが、まだ手遅れでないわが子は、彼女のような知人を目標に育てるしかない!


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教育費というと、「支出」ばかりを思いますが、やり方によっては、お子さんの海外留学をきっかけに、ご家族の資産力をアップさせることも、不可能ではありません。

上の相談者様も、明らかに、もともと、それなりに資産がおありになる層でおいで。すでにあるものを前提に、もうすこし、ファイナンシャルリテラシーを磨く努力をしていたら、もっと、ずっと、うまく立ち回れたはず。

何のきっかけにせよ、それを転機に、上昇運をつかむには、自分自身が、慎重入念に、そして、何よりもまず、早くから、相当、【頭の体操】をしていくことが、必要不可欠なのです。逆に言うと、「子供の教育費」という、どう考えても、マイナスにしかならないような、支出項目であってすら、リテラシーのある人にかかれば、資産形成の機会になりえてしまうのです。

こういった「人生の応用問題」に対面したときに、このご一家のように、「すべてにおいて後手、手遅れ」には、ならないよう、お互い、今後も、投資家修行を続けていきたいですね。

中山からのお願いです。
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