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現金価格と、融資を付けるときの価格は、違います

資本主義市場においては、商品価値というのは、相対的なものではないでしょうか。誰が、どれだけ、欲しいのか。

物それ自体には、絶対的な価値は、ありません。価値は、市場が決めるのです。

具体的に、何がいいたいかというと、不動産取引の場合の商品は、「家」「物件」」だと思いがちですが、これは、初心者が一番よく犯す間違い。私自身、ごく最近まで、この考え方から脱却できていなかったように思います。

実は、、、

不動産取引における商品は、「購入条件」自体が、その一部なのです。

売買というのは、物それ自体を買うという面は確かにありますが、それだけではない。消費財なんかだと、雰囲気とか、ラッピングとかも、商品の一部なわけです。

築地で買うお魚は、同じものであっても、百貨店で買う場合と、値段が違いますね。

同様に、同じ家に、いろいろな値段がついても、おかしくないのです。別の言い方をすると、同じ家を売り買いするのであっても、どういう商品に構成するかということは、100通り、なんですね。

As is《現状有姿》で買うか、contingency《購入条件》を付けるか。

融資をつけるか、キャッシュで買うのか。

これらがすべて、商品構成の一部となります。

自由な市場では、価格は、自分が交渉可能。通常、物件価格は、融資をつけることが、前提になっています。

ですので、たとえば、30万ドルの家を見たら、「現金価格で、20万ドルでどうですか?」といった交渉をしていくことは、自由であり、また、状況と市場によっては、必要でもあるわけです。

他方、対象エリアのことをあまり知らない人間が、これを、自分でやろうとしても、事情がわからず、百貨店内での値引き交渉のように、場違いになってしまうかもしれません。

担当する市場の事情に明るい優秀なレアルターさん《不動産屋さん》の役割には、こうしたところのサポート、落としどころの見極めも、含められます。《そしてもちろん、セミプロになってきた方は、不動産屋さんに指値を指示していくような状況もあるわけです》

物件に、融資がつくかどうか。

日本でも、事情は同じですが、アメリカでも、これが、物件価格を大きく左右します。

デトロイト投資案件をご紹介すると、「融資を付けてもらえますか?300万なら、100万とか出せば、買えないのでしょうか」と相談される場合がありますが、お答えは、NG。ミシガン州では、融資は、ストップしているのです。だから、査定額より、ずっと安く、買えているわけですね。ミシガンでは、今、物件の査定、鑑定額は、「机上の数字」だからです。

また、逆に、「カルフォルニアやネバダで、デトロイト投資のような”ぶっちゃけ現金価格での高利回り投資”をしたいのですが、紹介してください」というご相談がありますが、こうしたエリアで、そうした投資が難しい理由には、市場環境も、一部、含まれます。

現在、これらの州では、融資が、まだ、付けられるのです。

そういう状況では、現金で格安で売ることに、売主がメリットを感じる物件というのは、ウルトラ要修理物件のみ。

壊滅的に破壊されていれば、別ですが、一応、それなりの鑑定が出る物件であれば、「キャッシュがちょっとあるんで、鑑定額より、ずっと安く買いたいんです。現金はありますから、ほら」なんていってくる”wannabe買主”なんか、オファー自体からしてが、「あ、こいつ、うちらの市場のことまったくわかってないジャン。こりゃ、相手にするだけ、無駄だな」と切り捨てられることになるわけです。

こういう市場では、融資をつけて、より高額で買ってくれる買主に売るほうが、売主の利益にかなっているんですね。《現在は、通常、first time home buyerであることが圧倒的に多いようだという話もしました。その記事は、こちらから》

こういう市場では、「現金で買いたければ、どうぞどうぞ。但し、割引してほしくても、それほどは、割引しないよ」が、売主の返事です。

このように、融資がでる市場の場合は、売価は、一般的には、「査定満額を出発点とする」が、暗黙の了解。

それに対し、上に述べたように、ミシガンでは、現在、実需ローン自体からしてが、ストップしています。どんな融資も、つかないのです。

なので、売り買いするとしたら、キャッシュ以外、terms《条件》は、ありえない、というわけです。

「低価格高利回りという、中山の戦略はいいじゃん。だけど、いくらなんでも、ミシガンなんかじゃ、いやだ」

お気持ちはわかります。

1軒単位ではなく、1億単位で、キャッシュオファーができるなら、銀行が、ポートフォリオ売りに乗り出してきますので、こういったファンド募集が今アメリカでは広く行われています。日本のREITのように、ホールディングすることが目的ではなく、格安で購入し、修理を施して、それから、実需希望者に、転売して、利益を確定するのがモデルです。好条件で、自分が、好むエリアに、現金ベースの不動産投資をしたければ、こういった《私募》ファンドに一口乗ることになるでしょう。但し、向こうも募集の手間があるため、通常、一口、7万ドルとか、10万ドルが、出発点です。また、個人による不動産投資と異なり、ビジネスへの出資ですから、うまく回らなくても、物件に対する抵当権が残るわけではありません。

あるいは、、、

日本国内で、償却した一戸建て投資を、京都とか、兵庫とかで、検討されるという手も、もちろん、ありますね。

最後に、、、

ミシガン投資でも、逆に言うと、「実需案件に融資が出るところまで、金融市場が回復したら」、格安現金投資法は、難しくなるでしょう。現在、私たちと付き合ってくれている売主さんは、実需の方々向けに、商売替えすることになるだろうと予測されるからです。

その段階では、しかし、私たちも、売主さん同様に、売るほうに、転じる、そういうことになるといいな、と期待し、「そのときは、私たちの物件のマーケッティングの手伝いをよろしくお願いします」と相談してあります。


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