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権利の上に眠らないために、、、 インスペクション編

すべてのエリアについてプロになることは難しく、また、通常は、その余裕もありません。

たとえば、対米投資をするために、レアルターの資格を取ろうと考える人がいますが、日本人にとって、比較的、取得が容易で、日本在住者でも、持っている人も多いカルフォルニアのレアルターのライセンスは、カルフォルニア州の売買にしか、役に立たず、たとえば、ハワイの物件を手がけることができるようになるわけではありません。

そもそも、投資家になりたいだけの場合は、私は、レアルターのライセンスは、不要とまでは断言できないかもしれませんが、特段、それがないと、支障があるということは、あまりないのではないでしょうか。


仲介についても、こうですから、ましてや、物件の建物検査や鑑定については、なおさらですね。しかし、それは、「勉強をしなくてよい」ということではありません。

むしろ、資格にこだわらない勉強をする余地も、教材も、アメリカのほうがずっと多いといっていいくらいかも知れません。こちらは、限りがないくらい。

「1に勉強、2に勉強。3、4がなくて、5に勉強」。好き嫌いを作らず、あらゆるエリアを広く研究する必要があります。

というのも、アメリカは、この両方のシステムについて、先進国だといっていいですが、それは、体制が整っていて、日常的に定着している、という意味であって、例によって、制度がうまく運用されているとか、個別の買い手が必ず守られているという意味ではありません。

日本では、物件の鑑定という言葉を、用いるようですが、アメリカで言うアプレイザル【appraisal】というのは、物件の相場を評価すること。州のライセンスを得ている業者さんが、従事します。つまり、ニューヨーク州でライセンスを持っている人は、ここでも、アリゾナなど、いかなる他の州でも、営業をできないというわけです。

他方、インスペクションは、建物検査と訳されます。耐震構造も含め、土台から、物件の状態をチェックしてくれる立場の業者さんで、やはり、州のライセンスが必要。

アメリカで、中古売買が盛んなのは、これらの制度が定着しているから。日本についても、同様に、信頼できるインスペクションが根付けば、中古売買がより安心してできるようになっていくでしょう。これについては、日本国内にて、インスペクション制度設立に大きく尽力された長嶋修氏が、こんな紹介などを、書かれています。

ただし、これらの制度については、アメリカ中古市場についても、気をつけなければならないことが、たくさんあります。

ここでは、インスペクションについて。インスペクションについても、大切なポイントが、いくつも、あります。

ごく一般的に言えば、一番、基本となるのは、融資をつけて、中古物件を購入するとき、アメリカでは、銀行は、アプレイザル提出は要求しますが、インスペクションの提出は要求しないという事実。

これは、よく考えてみるとと、これは、つまり、インスペクションというのは、物件の状態に共通の利益を持ってくれる銀行が、「勝手にやっておいてよ。そっちの責任だから」と丸投げしてくる、ということでもあります。

アプレイザルについても、イケイケの時は、銀行も、素人投資家の利益を守ってくれるように行動していたとはいえませんが、ただ、銀行が目を通すというステップがあることで、「このアプレイザルは気に入らない。数字が調子よすぎるので、こちらがいつも使っているアプレイザーを、もう一人、頼むから」といったやり取りをしてくれる相手が、一応、それでも、存在します。

それに対して、インスペクションを理解する責任は、新オーナー一人の肩にかかります。

ここで、新築物件であれば、デベロッパーの保障が付き、向こうも、割合、きちんと対応する体制が、整備されているのが通常。

これが、中古市場が盛んなアメリカでは、at our own risk状態がずっと問題になりやすいといってよいでしょう。

現地にいる投資家だったりしたら、インスペクションには、必ず、同行するべきです。

過去に私が取り上げた例としては、こんな失敗例があります。


■レアルターを使い、銀行をかませて、融資を取ったのに、違法増築だったことがわかって、破産した友人。これも、アプレイザルのみならず、きちんと、インスペクションもやっているはず。パソコンで登記を調べるだけでも、わかる事例ですが、発注した業者ときちんとやり取りしていれば、ネットを調べるまでもなく、報告があるべきだったはず。

■雪が降って初めて、屋根に穴が開いていたことがわかったベガスの母の物件の例。インスペクションの失敗例というのではなく、インスペクションを発注するとき、何を期待していいのか、何を期待することができないのか、こちらが、きちんと理解している必要があります。


気をつけなければいけないのは、一番ありがちな、レアルターさんへの依存症候群。

たとえば、インスペクションレポート自体の読み方について、レアルターさんに聞いて、答えてもらえたとしても(通常適当に流されます。専門分野でないので仕方がありません)、購入後、レアルターさんにその件について、責任をとらせられるわけではありません。【アプレイザルも同様】

逆に言えば、インスペクションレポートは、「了解を取っただろう、知っていたはずだ、合意をしたはずだ」という、アリバイ作りでもあるわけです。

【ちなみに、インスペクションレポートに記載ミスがあった場合は、インスペクターを訴え、インスペクターは、職業上の保険【home inspector liability insurance】を使うことになるでしょうが、このような仕組みが、買主を本当に守るとは、なかなか、言えないと思われます。たとえば、インスペクターが、一流の保険会社の保険に入っていれば、その保険会社の弁護士が出てきますから、そういう相手と丸腰でやり取りするわけには行かず、こちらも、時間数百ドルの人を雇うといった話になっていくはず。検査の日に、何かの瑕疵があり、それを、インスペクターが見落としており、その瑕疵が、現オーナーに損害を与えた、といった一連の事実を裁判所で証明するとなると、勝つことを前提にしても、それ以前に、相当な覚悟、出費が必要になるでしょう】

あらゆる制度は、使いこなせる人間にとってのもの。

たとえば、消費者保護ということで、食品にいろいろな添加物の表示があり、また、賞味期限や消費期限などについて、これが間違っているとなると、大変な問題になりますが、実は、私たちは、必ずしも、それらの意味をいちいち調べてあるわけではありません。

すべてのエリアで、消費者の権利、消費者に提供されている諸便益を行使、エンジョイするのは、なかなか、大変。建物検査や鑑定と、不動産取引については、一般には、場数を踏むことが、難しいことが一番の問題です。

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