寝室の定義って? What's in a bedroom? その1
対米不動産投資家の中山道子です。
皆さんは、米国で、業者さんの掲載案件を見る機会は、すでにおありでしょうか。よく、
3ベッドルーム2バスルームのゴージャスな案件です
などと、書いてあります。
しかし、それでは、「3ベッドルーム+office/den(書斎)」です、などと書いてある案件は、どうして、「4ベッドルーム」ではないのでしょうか?
すでに、人が居住していて、書斎やオフィスとして使っている部屋を書斎と呼ぶのはともかく、まったく家具が置いていない物件で、「寝室」と、それ以外の部屋の違いは、どこからくるのでしょうか?本来、寝室の数は、鑑定にとって、決定的。「3ベッドルーム+オフィス」より、通常、「4ベッドルーム」のほうが、高い値段がつきます。
しかし、それができる場合と、できない場合は、、、なにが違うのでしょうか?
普通の利用者のわれわれにとって、一番ポイントになるのは、ベッドルームの定義と、バスルームの定義なので、まずは、バスルーム(bathroom)から。
日本では、トイレと浴室は、ユニットバスという形式でセットになっているとき以外は、別々の部屋という考え方で行くと思いますが、米国では、両方、「バスルーム」。ただ、いくらスペースが広々しているからといって、米国にも、「トイレだけ」という部屋が、ないわけではありません。
どう区別するかというと、
フルバスルーム(full bathroom)=お風呂があるバスルーム
ハーフバスルーム(half bathroom)=トイレと洗面台だけのバスルーム
として。
バスルームの場合、ここで注意するべきことは、
フルバスルーム=お風呂(bathtub)付きの場合と、シャワーだけの場合
がありうること。
それなりのファミリータイプで、シャワーだけのバスルームしかない一戸建てというのは、珍しいと思いますが、例えば、土地が高額なエリアでのマンションや、また、2つ以上バスルームがある場合の2つ目のバスルームなどで、「シャワーだけ」というタイプの「フルバスルーム」がありえますので、気をつけましょう。
通常は、シャワーだけである旨は、いくまでもなく、MLSに書いてあることや、または付随写真で確認ができる場合も、多いかと思います。
また、正確を期するスペースの余地がある場合、「4分の3バスルーム」(three-quarter bathroom、3/4BA)という言い方がされている場合もあります。実は、「4分の1バスルーム」(one-quarter bathroom)という言い方も、頻繁に目にすることは、ないですが、存在することは存在します。これは、「トイレだけで洗面台(sink)無し」とか、「シャワーストールだけ」という、微妙な部屋。古い家だと、打ちっぱなしの地下室に、トイレだけがぽつんとあったりすることが、まだあります。
以上整理すると、
1/4BA = toilet or shower stall only.
1/2BA = toilet and sink
3/4BA = toilet, sink and shower
full BA = toilet, sink and bathtub
なのですが、一番よく使われるのは、1/2とフルの区分で、この2つの区分しか使わない場合は、1/4は無視し、3/4は、「フル」に計算に入れて、表記してしまい、余裕があれば、別の箇所や、写真で、その旨を追加情報として添付し、理解を促すく、という感じでしょうか。チラシに掲載できる量の情報というのは、限られるので、そこらへんは、掲載業者さんが、どれくらい生真面目かという問題のほか(間違いや情報不足も多々あります)、当方の「読解力」も、試されるわけです。
バスルームだけで、ふうって感じですか?慣れないと、いちいち疲れますよねw
さて、そこで、今度は、本丸の、「寝室」とは?ですね。
実は、ここまでの話では、一般的な話でしたが、寝室は、実は、さらに複雑。バスルームよりずっと複雑なつくりなので、建築基準法(building codes; といっても、米国では、州、自治体レベルなので、「法」ではなく、「諸規則」です)が、本格的に、絡んでくるからです。
しかし、それ以前の「一般ルール」や「不動産仲介業者さんレベルの知識」の話から、はじめましょう。実は、「一般ルール」すら、大まかに言って、二つの考え方があります。それは、「業者さんレベル」と、「お役所レベル」。それぞれを、見ていきましょう。
業者さんが、「寝室」というとき、つまり、MLSという業者物件掲載ネットワークに物件が掲載されている場合、「寝室」とは、通常、
■他の個室から独立した入り口があり、共有エリアに直接出入りできる
■窓があり、第二の緊急出入り口として使用できる
■その上で、地元の建築基準上、寝室と呼べる規格を満たしている
が、一般的なようです。
この際に、他の状況であまり出てこない単語として、
(INDEPENDENT) EGRESS〔(独立した)出入り口〕
という言葉が、常用されます。イグレスは、出入り口、EXITの別の言い換えに過ぎないのですが、決まった言葉なので、「寝室とは」という話をするこの状況では、この言葉が常用されます。なので、ご自分では使う必要がなくても、関係者と話していると、この言葉を理解する必要が出る場合があるかもしれませんので、ご紹介しておきます。
一つ目の「ドア」の問題は、例えば、「他の寝室を通ってしか、いけない部屋」があったとすると、プライバシー問題が生じますね。独立した出入り口がないわけです。その場合、その部屋は、EXTRA。予備の部屋なので、「例えば、夫婦が、小さい子供の寝室として、その部屋を使う」こと自体には、問題はありませんが、エージェントが、「独立した寝室」として、広報してはいけないわけです。そのような部屋が、窓がなしで作られていたとしたら、それは、OVERSIZED CLOSET(巨大なウオ―クイン・クローゼット) でしょう。窓があるいい感じの部屋なら、OFFICE/DEN(書斎)と呼ぶことに意味があるというわけです。
他方、「お役所レベル」について。ここでいうお役所は、建築基準の話ではなく、不動産経営や賃貸に一番関係ある「セクション8」(低所得者層向けの家賃補助プログラム)のことをさします。物件が、家賃補助プログラムで、何ベッドルームと認められるかで、使用可能なVOUCHERが異なり、家賃査定に響くわけです。そして、お役所レベルで、「寝室」が認められるためには、上同様、
■他の個室から独立した入り口があり、共有エリアに直接出入りできる
■窓があり、第二の緊急出入り口として使用できる
■その上で、地元の建築基準上、寝室と呼べる規格を満たしている
プラス
■備え付けのクローゼットがある
ことが、私の経験上も、一般的にも、必要とされているようです。どうして、業者さんの了解と別の基準なのかは、私には、わかりませんが、、、普通の中産家庭なら、クローゼットがない場合でも、自分でたんすを買ったりもしますから、低所得者層向けのサービスとして定着してしまっているのでしょうか。
ちょっとわかりにくいですが、低所得者向けの家屋のベッドルームの建物検査例から。ドアと窓、クローゼットの存在が、写真で、確認されています。理由は、もうお分かりですね。
いかがでしょうか。あくまで、上の諸定義は、一般的なことなので、エリアによって、状況は違うよ、という状況が存在することはあると思いますが、上の大まかな理解をベースに、「この地方の慣習はどうなの?」と聞いていけば、まず、大きく間違わないで、済ませられるでしょう。
細かいことを言い出すと、悩みは尽きません。業者さんでも迷う場合があるらしいことを、ネットのいくつかの投稿で、確認しましたので、次回、「実際のトラブル編」として、この記事の続きを、もう一回、取り上げてみたいと思います。
後編は、こちらから。
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お知らせ 2014年5月11日日曜日に、不動産投資セミナーを、東京で行います。
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