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その投資案件、エグジットは、大丈夫? みんなと同じことをしてはいけないわけ

常に少数派の中山道子です。

どうして、遠隔で、アメリカ不動産投資にこだわっているの?
なぜ、アメリカ投資をしているのに、中国に住んでいるの?

どうしてかって、これは、逆張りですから。(キッパリ)
学校では、少数派は、肩身が狭いのかもしれませんが(私もまあそうかな笑)、実社会では、みんながすることをしては、、、

いけないのです。


どうして?

ということで、今日は、「横並び投資の危険」について。

実は、下の記事を読んでいて、あるある、と思った件。。。

Listing losers: 8 reasons your home isn't selling and what to do about it


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記事のタイトルは、、、「あなたの家が、売れない8つの理由と、どうすればいいか」という、ちょっと「釣り」の入ったもの。

釣りが入ったとは、、、実は、大してできることがないから、、、ですけど、、、 汗


いろいろな物件例が掲載されています。

簡単に見ていくと、、

1)価格が高すぎる
2)内装が安っぽかったり、古めかしい
3)物件の状態が悪い
4)ロケーションが悪い
5)デザインが悪い
6)通りで一番立派な家で周囲から浮いている
7)投資家案件
8)片付いていない内装

だそうで、解決方法は、

1)適切な価格をつける
2)内装は、人好きする一般的なものに
3)掲載写真には力を入れよう
4)立ち上げが肝心

物件は、掲載後、長く売れないと、STIGMATIZED(”ダメダメ物件”というスティグマが押される)になってしまい、ダメージがどんどん大きくなるから、、、

特に、「そうだよなあ」と思い起こされる”投資家が陥りやすい罠”が、ナンバー7。ここで、この点を、より詳しく紹介してみましょう。


それが、「投資家が群がる案件に、こぞって投資してしまう」場合のコスト。

7. Investor-owned condo projects

売れない案件 その7 投資家比率が高すぎるサブディヴィジョン


Some condos can be a hard sell for banks, including those in largely investor-owned communities.

一部のマンション(一棟ではなく、区分所有のこと)は、銀行にとっては、あまり好ましいものではありません。その例が、主として投資家ばかりが所有しているマンションプロジェクトです。

This unit in an upscale, master-planned, student-housing development near Clemson University in South Carolina could be attractive for parent investors ? if they could get a loan on it, says agent Susie Kohout of Carolina Real Estate, who has the listing.

この写真に写っているのは、高級志向、大規模デベロッパー開発案件、南キャロライナ州のクレムソン大学近くの学生向けの案件。親が投資をするのに最適のはずですが、、、キャロライナ不動産のスージー・コフートによると、しかし、それは、「もし、銀行の融資が取れれば」という仮定の話に過ぎません。

In recent years, Fannie Mae and Freddie Mac have made it more difficult to get a loan on a condo in a heavily investor-owned complex, which most college condo complexes are. This property has been on the market for three years, according to Realtor.com.

近年、ファニーメイやフレディーマックは、投資家のオーナー比率が高い案件への融資について、制限を課しているところ、多くの大学生向け投資案件が、この状況に該当する。彼女の物件は、REALTOR.COMによると、3年も、FOR SALEのまま。

So, sure, the development with its game room, pool and lazy river looks great, but its pool of available buyers may be limited as few banks will fund it.

このデベロップメント、娯楽室や流れるプールがついたすばらしいものですが、実際には、購入できる人の層は、銀行融資がつかないために、相当限られてしまうのです。


+++++++++++++++++


こうなると、調べられないではいられない私。ということで、調べたら、本当にありました。2010年から、この不動産会社で、掲載され続けている、該当ごーじゃす案件!


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1)学生シェア向けの
2)高級案件

ってどんな物件?

ですから、4ベッドルームで、4バスルームなんですね。家賃は、1,600ドルが通常らしいので、学生一人は、400ドルプラス電気代などをシェアするんでしょう。

4万で、プールつき、大学への専用シャトルバス(?)つき(らしきものの写真が写ってます)の高級マンションに友達とみんなで住めるなんて、最高ですね。最近、授業料が高すぎて、大学進学を断念する若者の状況が、社会問題になっているこのご時勢、昨今、実際に大学に進学する学生たちのライフスタイルって、、、

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、、、、流れるプール

、、、、ビーチバレーボール

、、、、ビリヤード

、、、

ええい、だんだんいらいらしてきたわい!もうやめます。(ちなみに、写真中の「白人」は、単なる釣りではなく、STUDENT BODYは、本当に白人8割以上だそうです。)


しかし、お子様に、これほど楽しく過ごしていただくためには、親は、どこまで努力しないといけないのでしょうか、、、

日本や、アジアでも、「子供の大学進学に伴い、地元に子供にマンションを買ってあげる」って、ありますよね。米国でも、これを投資とする場合、結構あり、マサチューセッツ州のボストンなどのカレッジタウンであれば、石を投げれば、大学にあたりますから、固い投資になる可能性十分。

クレムソン大学も、公立大学のトップランキング上は、20位台にランクインしているそれなりにRESPECTABLEな大学らしいのですが、ただ、このセネカというタウン、ご想像通り、ボストンと異なり、人口密集エリアというわけではありません。一番大きい地元大学であるこの大学自体の歴史は長いものの、現在の合格率は、57%ですから、入るのがすごく難しいとまでいえず、学生の人種比が、圧倒的に白人寄りなのをみると、やっぱり、察するに、全国区というよりは、南キャロライナの地元大学のイメージ。これまでは、また、今後も、周囲は、「緑豊かな自然あるおらが地元」なわけです。

それが、バブルを受け、ここに子供を進学させる親向けに売りつけるための「おらが村ばぶりーぷろじぇくと」が成立することになった。そして、ポストバブルの2014年の現在となっては、その後の実態が、どんなものかということが、まざまざと、学べてしまうのです。

この物件の掲載履歴を確認すると、下の通り。MLSでは、物件に履歴がついており、価格を下げたり、どれくらい売れないで掲載が続いたかなどが、ずっと歴史として、残ります。すぐに売れないと、STIGMAがついてしまうというのは、、、まさに、こういうことです、、、、2010年以来、何度も掲載し、何度も、だめになり、、、


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2008年に、分譲されて、2010年以降、毎年、このオーナーが売りたいという気持ちになるのは、どうしてでしょうか。4年間大学に進学する学生の親ではなく、これまでのバブルのように、短期間に値上がりすると思い、購入してしまったのかもしれませんね。

州のサイトでは、デベの当時の分譲価格は、19万5,900ドルでした。

しかし、このマンションには、44室の区分所有があるのに、直近の売買履歴は、ゼロ。その理由は、、、MSN REAL ESTATEで、全国レベルでばれてしまったように、、、

ほかのオーナーが、みな、遠隔の投資家なので、融資基準が厳しくなった今となっては、もう、ローンがつかないんですね

そのためだと思いますが、バブル崩壊を経由したのちの固定資産税評価額は、当初の売買価格と変わらない19万4,000ドル評価での課税です。つまり、バブルが崩壊した後に、直近、分譲価格以下で頻繁に、売買が行われていれば、その価格が、「市場価格」であると主張できるようになるのですが、分譲してから、逆に、あまりに停滞しているために、まったく売買がその後行われない場合、役所に対し、「市場価格が下落した」と、主張する根拠すら、ないといったところなのでしょう。

しかし実際には、融資がつかない案件なのですから、キャッシュオファーが来るとしたら、下手をすると、12万ドルといったぼろぼろの額なのじゃないかと、まったく地元の事情を知らないながら、想像してしまいします。《本当に長期レンタルだけしか期待しないなら、キャッシュで買うのは、いいかもしれません。興味がある方は、詳細を調べ、44戸すべてに、DMで、毎年1度、8万か、10万ドルのキャッシュオファーを、郵送されてみてはどうですか。管理に疲れた方が、融資銀行と相談をして、ショートセールのカウンターオファーを出してこないとも限りませんし。》

もともとの、新築2008年次には、デベロッパーが提携した銀行ローンが誰にでもオファーされていたはず。バブル最後の時期ですね。しかし、すぐに、状況は変わり、マンション内に、実際にオーナーが住んでいないような案件は、銀行の審査において、「リスク投資案件」というカテゴリーになってしまったのです。他に、コンドテル(トランプタワーのようなコンシエルジュ方サービスアパートメント兼ホテル形式の高級マンション。コンドテルの悲哀についても、過去に、取り上げたことがあります。トランプタワーに融資が付かないワケ コンドテル購入の罠

これは、確かに、一般論としてはそうで、遠隔・投資家オーナーというのは、実需案件より、ローンの滞納率が高くなるのみならず、そうした遠隔オーナーが多い管理組合では、組合運営がなかなか、成立せず、管理費滞納や、テナントの素行不良の問題があり、どうしても、マンションを自宅としている人たちが中心になっている案件とは、外見をはじめとして、住み心地が違ってきます。

この物件に限っては、管理状況はよさそうですし(ただし、管理組合費、高そうに見えますね)、マンモス大学の近くの大学公認物件という感じで、買っているのは、親御さんが中心。いわゆる、典型的な投資家案件というわけでもないのだと思うのですが、しかし、カテゴリーとしては、


「遠隔投資家が集中するバブル案件」


であるには、違いないのですね。


察するに、2008年に、物件を購入した他のオーナーたちも、子供たちが卒業した後も、レンタル自体は、フル需要があるということで、仕方なく、物件を持っているのでしょう。稼働率は、マンション全体が、本当に満室で運用されている模様。1,600ドルが決まって入れば、ローン自体は、返済には、問題はないですね。

しかし、当面、流動性については、、、大きな疑問符が、ついてしまったわけです。


未開発エリアにおける値上がり見込みの不動産投資というのは、こうした「環境の変化」、特に、銀行の融資方針に弱いのが悩みですね。今回の具体的な例は、日本人にとっては、ぴんとこないかもしれませんが、しかし、これ、実は、よくあるパターン。こういうふうに、特徴を抜き出してみたら、いかがですか?


■ 前はまったく開発されていなかったエリアに
■ 大手デベロッパーが、ゴージャスなマスタープラン・コミュニティを作り
■ 提携銀行から、融資もばっちりオファーされていて
■ 賃貸保証や、管理フォロー、今後のエリア開発の明るい展望がたくさんあり
■ 購入するのは、すべて投資家。
■ セールスは熱心で、セールスオフィス、セミナーや視察ツアーも多数催行されている、、、

私自身、アメリカのバブルに立ち会ったので、すべて、心当たりがあります。その後、このバブルは、アメリカでは、バブル崩壊によって生じてしまった金融危機で”ポシャッった”わけで、アメリカ国内は、このような”転がし”に歯止めがかかり、今に至ります。

しかし、、、

アメリカの歴史やマーケッティングをつぶさに見てきたものからは、舞台は、アジアや中近東など、その他のエリアに、移行したように見える、といったら、言い過ぎになるでしょうか?

資産性に着目する中長期の値上がり狙い物件の場合は、新築で購入する場合も、将来の参考のために、エリアの中古物件の状況に気配りする必要があるところ、この物件のように、「周囲に、COMPARABLEな(比較可能な)中古物件がない未開発エリア」は、将来の予測がつきにくく、だからこそ、化ける可能性もあるのかもしれませんが、基本は、「焼畑」。

開発時や、プレビルド状態で”山”が来て、その後は、期待通りとは行かない「ババ抜き」というか、「ババつかまされ」になってしまう可能性も、ままある、というお話です。そこで、また谷がきた段階が、本格的なエントリー検討ポイントです。私自身も、そうありたいわけですが、投資家は、順張り、逆張りのペースを、つかめるようになりたいですね。

ちなみに、お子様の(海外)進学の場合、、、 あまり、PROTECTIVEになる(保護者モードが入りすぎること)のも、考えすぎかも、しれないです。。。 ひとつ、こんな例を書いたことも、あります。2009年次の記事ですので、そのことを前提にお読みください。

アメリカ留学と対米不動産投資 ハワイ編


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