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投資家道とは、、、お金をレバレッジしたライフハックだ! 

対米不動産投資家の中山道子です。

10年前にはあまり聴きなれなかった言葉が、「ライフハック」ですね。英語自体でも、そういう言葉は、比較的新語のはず。

意味的には、「生活をより上手に送るための裏技」といった感じでしょうか。ハックという言葉自体が、IT業界の隠語だったというのも、今風の生い立ち。

今となっては、日本語にも、すっかり定着しましたね。(レバレッジ=「てこ」も、そういえば、似た時代感覚を背景とする新語かも)

いずれにせよ、私が、職業投資家として思うのは、「投資は、お金のハッキング・スキルだ」ということ。

お金をてこにして、いかに、自分の状況を最適化するか、という課題として取り組むわけです。普通にしていては、金利は、0.ウンパーセントとかですよね。それを、いかに少ない資金を使い、効果を最大化するか。

この際、気をつけなければいけないのは、この戦略には、規律も必要なんで、苦痛を伴うこともままある、ということ。精神修行なんですよね。

あるとき、SNS経由で、私のセミナー告知をご覧になった方から、「お金がたまらないが、子供の将来に海外留学も視野に入れたい。中山さんなら何か裏技があるんですか?」というご相談がありました。伺うと、所得は、1,000万近くで、地方都市居住者様なので、サラリーマンとしては、トップ5パーセントに入るレベルの堂々とした年収です。

しかし、この高所得者様が、子供の教育資金作りも難しい、というのです。


こういうとき、私の回答は、大体、いつも、同じです。

投資は、貯金の後にやってきます。まずは、生活リストラをしないといけません。このプロセスは、生活水準の下降を意味しますので、当然、痛みを伴います。

しかし、節約をして、貯蓄をすると、

> 資金がたまる

のみならず、

> 生活予定費が低くなることで、将来の設計がたてやすくなる

というダブルの効果があるのです。

つまり、100万の節約というのは、直近手元の100万が手残りしたことを意味するのみならず、「100万円安く生活するライフスタイルを実現した」ことを意味するわけですので、ある意味、「毎年、100万、生み出す能力をつけた」くらいの価値があります。節約というのは、それくらい、効果絶大なのです。

たとえば、35歳、手取り700万のご一家が、「手取りの2割を貯金する我が家って、貯蓄優等生だわい」と思い、毎年、140万を貯蓄し、560万で生活をしてしまうと、

1)第一に、20年たっても、2,800万しかたまらない上
2)老後も、相当の生活費が前提になってしまう

という二つの弊害があります。

ここで、複数の子供の大学進学、親の介護や自分の病気、共働きのどちらかが所得が減る/仕事をやめるなどのいずれかの問題が生じてしまうと、老後は、思ったより、安泰でもないかもしれません。

年をとってから、いきなり、生活水準をガクっと落とすというのは、気持ち的にも、なかなか難しいものです。

それに対し、同じご夫妻が、若いころから、700万のうちの5割を貯蓄し、350万で生活をする癖をつけるとすると、下のようになります。

1)20年、55歳、運用なしで、なんと、7,000万が貯まっている
2)老後の生活は、200万台で問題なし

です。

今、手取り年収700万で、その多くを使う予算を組んでいるかたにとっては、「350万で生活するなんて、ありえんぜ」と思われるかもしれませんが、世の中、事実として、そういう生活費で生活を送っているかたはいるわけで、より高額所得者様が、それをやっていけないという法律はありません。(手取りが700万なのに350万で生活していると公言する必要もないですし。)

《話を単純化するために、インフレを度外視してあります。日本では、FPの方でも、無意識にか、意識的にか、そうされていることが多いので、私自身は、本当は、それは非現実的だと思いますが、それが楽なので、一応、その習慣にならわせてください。》

このご夫妻は、たぶん、この段階で、ちょっとだけ、堅実な資産運用の勉強でもすれば、55にもなれば、余裕で仕事をやめられると思います。

アーリー・リタイヤですね。

50にもなっていれば、米国人的な感覚からすれば、それほどアーリーではないですが、日本の企業社会では、今は、高齢になっても働くことが一般化していますから、そのレベルからすれば、「早い」という意味です。(笑)

これに対し、米国の最新の潮流では、1歳でも早く、アーリー・リタイアするという考えかたが、とても人気です。

フェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏も、赤ちゃんが生まれたために、産休を取ると発表し、評判になりました。

彼の場合は、やめないのでしょうが、普通の人にとっても、子供や家族と過ごす時間を重視する、会社人間はもういやだ、そうした傾向が、中産階級やアッパーの方々には、とても魅力的になってきているのです。

これには、現代社会のあり方も、多少関係するかもしれません。

今、子供への教育というのは、かつてなく、大切になっており、激変の時代に、子供にサバイバルしてもらうには、親が昔より、子供に手をかけなければいけません。

また、大人になって、よしんば、高学歴の高給取りになれても、所詮は、宮仕え。上を見れば切りがなく、延々と続く社内政治や非効率な環境、苛酷な労働時間にいやになる、そういう層も増えています。漫画《ディルバート》の世界ですね。

※ディルバート、日本でも、紹介されています。「ブラック企業とブラック家庭?」の例をどうぞ。

それに対し、ライフハック的に、早めにお金をためてしまい、若いうちにリタイヤすれば、ずばり、配偶者や子供と過ごす時間が増やせ、自分の人間性も回復する。また、シッター代やらも節約できるし、家族みんなが幸せになる。そんな考え方です。

しばらく前に、「メキシコ人漁師とアメリカ人ビジネスマンの寓話」という小話がはやりましたね。

=== メキシコ人漁師とハーバードMBAの話 要約 ===

メキシコ人漁師がのんびり楽しく釣りをしていたところ、休暇にきたアメリカ人が、「そんな非効率的な働き方をせず、人を雇って会社を経営し、もっと稼げよ」と指南する。「今、がむしゃらに働けば、おいおい、安心して家族と楽しく過ごせるようになるぞ」。メキシコ人漁師は、返答する。「なんだ、そんなんだったら、もう毎晩、家族と、楽しく過ごしているわい。」

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なんのために働くか。刺さる寓話です。

いまどきの米国流「アーリーリタイア」志向は、上の小話のたとえで言うと、いいところ取り。

メキシコ人漁師のその日暮らし的な生活からは、さすがに脱却していますが、アメリカ人ビジネスマンの限りなき上昇志向(一頃、「グローバル・マッチョ」という言葉がはやりましたが、そんなイメージでしょうか)に対しては、明確にNOという、「ライフハック」的な考えなんですね。

この層の特徴は、ITや工学関係の高学歴、高所得なリテラシーの高い背門職層が主導するムーブメントであること。アッパーミドルではあるのですが、自分の実力だけで、そこまで来た人たちで、大学なんかは、奨学金を取ったり、アルバイトをしたりで、自力で卒業していたりして、特段、全国区の有名校卒業者ではありません。面白いことに、お金運用のプロなのかと思うMBA系の人からは、こうした動きがあまりありません。

なにせ、ITやエンジニアが多いとあって、とにかく、行動は、すべて合理的。

学生生活の延長とばかりに超がつく節約生活を送り、職業的に所得が高いという付加があるため、若いうちに、100万ドル単位の資産形成に成功し、当面、フルタイムでオフィスワークをしなくてもかまわないところまで、一気に到達してしまうのですね。

その後は、ライフハッカー的な生活を続けながら、リラックスし、パッシブ系の投資家生活とアクティブな家族生活を両立させる。

この層は、ネットサーチなどを通した知識習得はお手の物。貯蓄についても、支出についても、投資についても、非合理なこと、納得しないことは、一切しません。

この層のもうひとつの特徴が、教育についても、「聖域化」するのではなく、やはり、効率を求めることです。

今、教育経済学ということが日本でもはやり始めました。教育の領域に、ある程度、教育における経済効率性を考えるという領域で、ご他聞にもれず、米国で進んでいる学問領域です。一例として、IQではなく、グリット(GRIT、我慢強さ、がんばり)を評価機軸とするマシュマロ・テストについては、この前、私も、記事を書きました。こちらからどうぞ。

大体、本家米国の最新動向は、たとえば、下の本なんかを読むと、大体、関連リサーチが援用されていると思います。

こうしたリサーチで見ると、教育においても、大まかに言うと、「家庭環境の影響のほうが、学校教育の影響より大きい傾向がある」といった調査結果が出ているようです。

家庭回帰が強まった昨今の高学歴・高リテラシー層は、自らの家庭環境にも、絶大の自信があり、「自分と過ごす時間が長ければ、わが子は、学校教育なんかに頼らなくても、立派にやっていける人間に成長させられる」という考え方。

効率・合理主義的な考え方を追求する場合、教育も、DIY。

親が手をかけるのだから、地元の公立で十分だ、むしろ、地元校のダイバーシティー(人種や語学力、親の所得も含め)はいいことだ、自宅では、それにプラスして、自分で体や手を動かすスキルを教える(親に高級車で送迎してもらうより、親が同行して自転車通学する、庭仕事を手伝わさせる、アルバイトをさせる)、お金をかけるなら、おもちゃではなく、バックパッカー的な家族旅行。ハンディー(家周りの大工仕事などできるといった意味)な人間、全般、生産的な人間となること、人間関係を充実させ、人的セーフティーネットをたくさん持つこと、とにかく、主体的な人生を謳歌することなど、ハッピーで包括的なライフスタイル哲学があるのです。

昔、「ガテン系」という言葉があり、非オフィスワーク系の人のことをいったように思いますが、これらの”現代ルネッサンス/STEM系米国人”たちは、いわば、頭脳派でもあり、ガテンもOKのオールラウンダー的な人間像を追求しているのですね。

もちろん、社会的性差(生物学的性差ではなく)も非合理ですから、「共働き夫婦が、子供ができる前に、一緒にガッツリ働き、アーリーリタイヤして、ゆっくり、夫婦一緒に子育てをする」など、「男性の家事・育児参加」(や女性の外仕事)も、当然、織り込まれています。

こういう若い世代の米国人ライフハッカーたちの動向は、そんなわけで、「人生の充実度、満点」。私も、大いに参考にしています。

同様に、私も、子供ができたときから、「外に出て働く」ライフスタイルより、「一緒に過ごす時間を犠牲にせずに稼ぐ」方法を模索することを優先し、今の「セミリタイヤ的アームチェア投資家」ライフを送るに至っているので、共感するところがあるのです。(仕事は好きなので、フルリタイヤは考えていないですが。)

これに対し、最近、日本の動向を見ていると、景気の回復を体感している層が出てきていて、巷間では、「下層老人」問題が社会化している反面、このアッパーミドルな層は、消費を大いにエンジョイすることを奨励されている模様。

私は、このように、米国の情報では、「お金があるのに、それでも、最後の1セントまで、効率を追求してやまない層」の情報を熱心にフォローし、また、自己流ライフハックの参考にもしているのですが、日本のネットを見ると、そうした層がまだ弱いのか、いろいろ見ても、「お金が多少できて、いろいろ使いたい層」向けの情報と、「お金がないのでミニマリストな層」の発信する情報という両極の情報ばかりな気がします。

後者のミニマリスト、断捨離、節約系は、ある意味、過酷な環境に対して最適化しているという意味で、立派なライフハッカーでもあるといえましょう。しかし、前者の層は、まだ、高度成長期的な「よき労働者、よき消費者」である受身の自分から、脱却していないのでは?

上の「手取り700万の家族」の例(2割貯蓄か、5割貯蓄か)でいうと、皆さんは、「2割貯金し、働ける限り、働く」vs「5割節約し、50台でリタイヤしてしまう」のどちらのライフスタイルが、心に響きますか?(後者の場合、仕事が生きがいなら、リタイヤしなくてもいいわけですが、「生活のため」とか、「家族のせいで」といった妙なプレッシャーはないですね。)

冒頭の「所得は高いのに、投資どころか、教育費のあてがない」と私に相談をされてこられた方に対しては、そんなわけで、私の回答は、下のとおり。

「節約しなさい。別に裏技はありません。今より所得を上げたければ、起業なんですけど、すぐに無理なら、まずは、週末プチ・アルバイトでもどうですか?」

たいした裏技にも思えなかったようで、がっかりされた模様です。

そう、ライフハックは、痛みや成長をも伴うのです。

最初の準備過程は、地味で、きついです。その後、成果が加速し、そこから、「ハック効果」が体感できるようになるのは、後半以降の話。(中山流ライフハッキング術についても、セミナーでお話させていただきますので、楽しみにしてください!2016年2月東京・大阪

ということで、私は、日ごろ、こういうことを考えているので、今日、一番ウケたのが、下の記事。

「年収1,300万のアラフォー夫婦が、3歳の娘の海外留学のため、5,000万の貯蓄目標を立てた」

媒体は、「高額所得世帯=共働きの受身な消費者意識を刺激すること」が使命らしい日経DUAL。最近は、私は、DUALは、娯楽読み物として割り切って読んでいて、めちゃくちゃ楽しませてもらってます。(笑)

このご家族に含むところがあるわけではなく、このご家庭は、自分たちで立てた目標を実現する能力が十分にあり、それを通して幸福になられるのかもしれませんが、他方で、投資家志望者、ライフハッカー志向者なら、ここで、「なるほど、21世紀のアッパーミドルなら、こう進むべきなのか」、などと参考にする必要はありません。

ぶっちゃけた言い方をすれば、一粒種だろうと、わが子への教育費用が、大学だけで、5,000万に値するのかどうかは、一般支出や投資同様、厳しく吟味しないといけない、それが、5,000万あっても、投資家メンタルというものです。

逆に言うと、5,000万払えば、海外の大学は、一流の就職先や、一生充実するライフワークを、見つけてくれるとでもいうのでしょうか? 

今、米国の調査によると、「若いアメリカ人大卒世代の半数が、大卒資格の必要のない仕事に従事しているということです。正直、多くの国で、そんな調子になってきています。日本も、今は、それより「まし」ですが、今後は、こうした諸外国よりもっとひどくなる可能性もあるわけで、だからこそ、このご夫婦も、海外の大学を、と思われているのでしょうが、しかし、自国がだめだろうからというだけで、それ以外には、特別な見込みもなく、海外に送り込めば、なんとかなるだろうって、そんなブランド志向で、本当に、大丈夫なんでしょうか?

(がんばれば、資産が億になるかどうかといった一般人のレベルではなく、すでに税務署に専用ファイルがあるランクのかたは、ここはスルーしてお好きにしてくださいませ(m_m))

早速、この「子供のためにはなんでもしてあげたい」症候群を茶化すために、自分のSNSのタイムラインに投稿したところ、日本の一部の状況は私の想定を大きく上回っているらしく、下の戦慄のコメントが。


《私の客先で、ご主人の年収以上に塾代に注ぎ込んでる人もいますよ。周りが皆んなやってるそうです。子供可愛さで、教育費で破綻する親が多いんですよね。》


塾代が、ご主人の年収以上? 周りでは、皆がやっている??

ドラマ以外に、本当に、そんなコミュニティがあるんでしょうか。そら恐ろしい同調圧力ですね。

子供が同調圧力で悩んでいるという場合は、深刻かもしれませんので、介入が必要なこともあるかもしれませんが、私たちは大人です。情報も、交友関係も、ライフスタイルも、取捨選択できるはず。どう選択されるか、それは、あなたのチョイスです。


中山からのお願いです。
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