この点は、竹中さんに同情する私
対米不動産投資家の中山道子です。このところ、貧困問題、富の集中や再配分問題についての議論が、盛んになりましたね。
昨日今日は、オックスファムの調査によると、「世界でもっともリッチな人間63人が集まると、その資産額は、最下位36億人の資産総額と一致する、というレポートが出た、ということが、ネット上で見ると、日本のニュースをにぎわせているそうです。
朝日新聞紹介例
富裕層トップ62人の資産、下位36億人の合計と同じ
日本国内のニュースとしては、竹中平蔵元総務相の「(経済が成長しても、富の)トリクル・ダウンはありえない。」と、過去の前言や政策前提を撤回したといったことが、大きく、取り上げられていたようです。
日刊現代
「トリクルダウンあり得ない」竹中氏が手のひら返しのア然
簡単にいうと、「経済が回復すれば、その効果で、下層の人間にも、おこぼれが回ってくる」という立場。
安部政権は、そうした立場を前提に、これまで、企業や資産家優先の経済推進政策を進めてきたとも言われているようですが、それが、最近、貧困対策にはつながらないことが実証的にわかって、「トリクル・ダウン効果」自体を、内閣メンバーが否定し始めたため、「前言っていたことと違う!なんじゃこりゃ!!」というわけです。
私は政治には正直暗く、特に党派支持もないですが、この記事を見たときは、竹中さん、安部さんに同情しました。理由は、本当に、この「トリクル・ダウンは起こらない」というのは、この10年でリアルタイムに蓄積されてきた最新実証研究の結果、わかってきたことで、実は、10年前には、その認識が確立していなかったからです。
この5年間、私もは、相当、ディープに、後発市場回復のメカニズムを研究してきました。
2011年ころから、経済回復の指標ははっきりしてきましたが、そのころから、同時に、貧困層が、経済回復にもかかわらず、取り残されつつあるといった認識が、調査などの結果、学界に広がっていきました。
つまり、米国の大恐慌(1930年代のではなく、直近の)後のリバウンドの状況をリアルタイムに研究することで、「トリクル・ダウン効果がなかった」ことが、わかったわけで、その間、政策決定権者は、「効果があると考えられる」という経済学説(仮説)を前提に、行動していたわけです。
実際に景気が回復してみて、「トリクル・ダウンはなかった」ことが、試行錯誤の中、わかった状態。
私も、この間、貧富の差に関連し、いくつか、記事を書いたことがあります。下は、2013年の記事です。
例
怖すぎる! スーパージップってなんだ? Washington Post''s Interactive Map of Super Zip Codes
日本は、あまり研究体制が整っていないので、本格的な実証研究や調査の結果は、大体、米国の研究を見ているようです。その上で、チョコチョコした小規模の研究を日本でやって、同様の結果が出ていれば、大体、そうだろうという。
この点でも、タイムラグが生じる構図だと感じます。
いずれにせよ、良かれと思ってやった竹中さんや安部さんも、苦々しい思いをしていることは間違いなく、朝ナマの竹中氏の発言も、自虐気味であったために、乱暴に聞こえたのかもしれません。
これから、ようやく、再配分が、焦点になります。
幸い、先進国居住の私たちは、一般人としての安定を得るだけであれば、世界資産トップ63人のランクを目指さなくても、大丈夫。(笑)政権批判もいいですが、世の中が、自分の都合のよい風に変わってくれることを期待している時間もありません。
個人防衛の基本は、こちら。節約からはじめる長期計画です。
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