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COMPARABLES とは何か? 近隣で類似物件を探す

対米不動産投資家の中山道子です。

COMPSという言葉を、聴いたことがおありになる方は、おいでですか。ラスベガスのカジノのコンプスとは、違います。あちらは、


COMPS -- COMPLIMENTARY ITEMS AND SERVICES,
お得意様に対する無料サービスの数々


こちらは、


COMPS -- COMPARABLE SALES RECORDS
近隣類似物件売買価格


これ、アメリカでは、日本でより、資料を集めることが、より容易な反面、「比べどころ」という話になると、やっぱり、なかなか、曲者です。


日本の都市部では、みなが、個別取引。

それぞれに、自分用のロットを買い、まったく違うメーカーに、個々にオーダーし、といった形で、都市風景も、家屋も、それぞれ、ということが多く、こういう場合、土地価格は、比べることが容易でも、「近隣の上物の価値をどう比較するか」は、少し、複雑ですよね。(税務上、大体、上物の償却率が、早いですしね)

それに対し、米国都市部では、ある程度、大手が、もともと、巨大区画を仕入れ、大開発をすることも多かったりしたので、大体、近隣物件は、似たサイズや形の土地ロットに建っていたり、ハウスメーカーやデザインも、通り、エリアごとに、統一されていたりすることのほうが多いです。

「三角形の土地に、いかに、容積いっぱいいっぱいに建てるか」などの悩みは、多くの米国都市では、不要。

そのため、近隣で、

似た年代に建築された
似た間取りや土地サイズの近隣物件が
直近、6ヶ月以内くらいに、売買された履歴

をリストアップし、それらのCOMPSに基づいて、「この物件の時価は、これくらい」という鑑定を出すことが、日本より、一般的に、また、より高い精度で、可能になっています。マンハッタンやサンフランシスコのようなところでない限りは、土地自体は安いことが多いので、この際、土地の価格は、通常、すごく安くて、上物の比較のほうが、ずっと重要です。

正式に、有料で、これを行うのが、APPRAISER(不動産鑑定士)。

また、次に、意味があるのが、BPO。BPOは、BROKER’S PRICE OPINIONの略。普通のセールスパーソン免許ではなく、不動産会社を独立して経営できるレベルの資格であるブローカーライセンスを持っている業者さんが、そのような上級レベルの経験に基づき、算出する参考価格です。これは、業者参考価格なので、PROFESSIONAL COURTESY(無料)で、算出してくれます。

もちろん、普通のレアルターさん(SALESPERSON)も、COMPSを算出することは、業者さん専用ソフトウエアの助けを借りて、可能です。

さらに、一般の私たちも、場合により、参考になる価格というものを、垣間見ることは、可能ですね。それを助けてくれるのが、いまや、有名サイトとなったZILLOWやTRULIAなどの無料不動産情報サイト。

但し、やはり、「オンラインで、ウエブサイトが、既存の無料情報などを中心にコンピューターを使って算出した価格」には、誤差が多いです。

なので、ZILLOWの”ZESTIMATE”(ZILLOWが、「ZILLOW=サイトの名前」とESTIMATE=「概算/見積もり」を掛け合わせて作った造語)を、ただちに真に受けることは、できません。

どうして、そういう誤差が、起きるのか、といった話も、毎回、不動産投資入門セミナーWITHパソコン実習(次回は、2014年5月11日IN東京)で、本格的に、ご説明しています。


さて、COMPSは、不動産売買の際と、また、同時に、不動産を担保に、融資を受けるとき、最も重要ですね。

米国では、東部にしか支店がない銀行が、中西部の物件を担保に、融資を出すといったことも、日常的に行われているので、そのため、鑑定は、必ず、物件のある州でライセンスを持っている鑑定士に、外注します。ちなみに、この場合、ローン申請する側の負担で、銀行のために、オーダーするのですが、気をつけないと、こちらが支払いをしたのに、鑑定書を、銀行が、見せてくれないことがあるので、ローンを組む方は、ぜひ、決済前に、鑑定書のコピーを要求することを、忘れないようにしましょう。


私が最近よくやっている「要フィックスアップ物件投資」は、

1)現状を買い叩き、
2)大幅修理を施して、
3)高額で実需希望者へ売却

(* 実需希望者:自宅を購入し、自分で居住したい方のこと。米国では、投資家=INVESTORと対比させて、HOMEBUYERといいます)

が、基本ストラテジー。

そのため、「他の人が買いたがらないようなガタガタの物件、下手をすると、カビが出ていたり、土台にコンクリ注入しないといけないようなレベルのもの」を探したりしますが、鑑定に関連する部分で、このタイプの投資への融資をしてくださるお客様から、ご質問があったという例があるので、実例として、下で、取り上げてみましょう。該当物件は、今週、売却掲載予定です。

下は、まず、物件の初期情報。当方が物件を、ぼろぼろの状態で、買った際のものですね。


1comps1.jpg


業者さんが取り寄せてくれるMLS掲載シートの一部です。実際に現在進行中の案件ですので、詳細は、伏せてありますが、ご理解ください。

さて、この物件の間取りはというと、日本のように、米国では、間取りはシートに掲載されないので、文字で読み取ることが必要になります。


ベッドルームの数:3つ
バスルームの数:フルバスルームがひとつ、ハーフバスルームがひとつ(定義についてはこちら


今回、購入価格は、結局、6万ドル強、修理に予定する金額が、6万ドル弱ということで、11万9,000ドルの融資が行われました。

修理後のエグジット予定価格は、硬く見積もっても、18万ドル。そこで、この近所で売買されている近所の物件COMPSを、最初、投資家様に、参考にとお送りし、「出来上がりイメージは、これらの物件に匹敵するような感じに仕上げます」とご説明したところ、以下のようなご質問がありました。


「高めに売れている近隣4ベッドルーム物件のCOMPS、参考物件ばかりを送られているようですが、この物件は、3ベッドルームですよね?このエリアには、他に、3ベッドルーム2バスルーム案件がいくつか、ありましたが、それらについては、どう考えられますか?これらの売却価格が、中山さんが言っている目標価格より、ぐっと低めなようですが」


今、上のようなサイトの他、REALTOR.COM、REDFIN.COMなどもいろいろ使えば、ベッドルームとバスルームの数、郵便番号を掛け合わせ、こうしたリサーチは、一般のお客様でも、可能です。なので、これは、このプロジェクトに融資をするかどうかを決定するに当たり、意味のある手間をおかけになられているお客様ならではのご質問といえるでしょう。

最初に、私どものほうで、説明が足りなかったので、これは当然の疑問でした。

実は、今回のこの案件、該当物件は、もともとは、3ベッドルームで、室内面積は、1階と2階をあわせて、1,900スクエアフィート近いのですが(160平方メートルくらい)、さらに、地下室は、UNFINISHED BASEMENT(室内仕様として内装されていないうちっぱなしのこと)というスペースがあり、それは、1,900SQFTに入っていないEXTRAスペース。すべてを合計すると、実に、250平方メートルくらいの巨大な家になるのです。

シートの下方部分で、そのことが、確認できます。居住エリアとして、地下室が認められるためには、きちんと建築許可を取って、内装工事が行われていないといけないのですが、下では、この物件は、UNFINISHEDと、書いてあります。つまり、居住面積の1,900平方のうちに、カウントされていないのです。

1comps2.jpg

実際の購入時の地下室の写真は、下のような感じ。壁は、木材を張っていますが、床は、打ちっぱなしですね。

Basement_2.jpg

実は、こういう「大きな物件で、しかし、改装の余地がたくさんある案件」というのが、特に得意なパートナー。

この案件は、結局、


1)購入時に、3BR2BA(寝室3つ、バスルーム2つ〔正確にはフルとハーフひとつずつ〕)の物件を、
2)地下室を、UNFIRNISHEDから、FURNISHEDへ。なんと、巨大寝室と巨大バスルームを増設
3)1、2階に合計3室だった寝室に、さらに、4つめの寝室を作る。しかも、バスルームも増設!


し、今回、来週にも、MLS掲載の段取りとなっているのですが、その際には、


3BR2BAが、5BR4BA(寝室5つバスルーム4つ)


に、生まれ変わることになったのです!

当初の計画では、5ベッドルームにできるかどうかまでは、私も聞いておらず、実際、あちらも、内見だけでは、許可が本当に降りるか、100%断言は、できなかったのだと思います。なので、当初は、目標は、4BR、内輪目で18万ドル位かな、といっていました。

しかし、いろいろ段取りが成功し、見事、この家は、「まったく違う家」として、よみがえったのです。↓


BR_5%20Basement.JPG
Bath%20Basement.JPG

ご覧ください。上の地下室が、リフォームされて、巨大寝室と、巨大バスルームに様変わり!

まだ、トイレが設置されていない段階での先週段階での写真ですが、すでに、今週末、知り合いのレアルターさんたちを通して、掲載前の内々の内見会が、始まるということです。

近隣では、5ベッドルーム案件の売却履歴は、実は、ありません。それほど巨大な家なのです。大きめ4BRが売れた直近COMPは、20万ドル。というわけで、この家も、当然、20万ドルが目標になっているわけです。

しかし、最初に、この案件のことを、ご説明をした段階では、お客様は、ご自身で、近隣売却案件を、研究され、

同じ3BR2BAで、価格は、もっとずっと安いものがいくつも売られていますが、、、

というお問い合わせを、されてきた、というわけです。

メールに掲載されていた案件を見ると、一部は、物件の状況が、現状有姿(売却のために、特にリフォームをしておらず、ある程度、古びていること)、また、2軒は、銀行がらみの処分物、そして、それ以前に、いずれも、「ぎりぎり3BR」の狭い案件だったのです。

細かく、見ていきましょう。


お客様がサーチされた近隣物件その1
1comps233.jpg

この物件は、修理屋さんが手がけたものらしく、当方が行う修理と同じレベル、下手をすると、それ以上の手のかけよう。ぴかぴかで、17万4,000ドルで、契約中。

しかし、面積を見てみると、1,200SQFT(100平方メートルくらい)しかありません。なので、1SQFTの価格は、14.5ドルで、もし、当方物件が、同じ価格で売れれば、なんと、驚きの、27万ドルで売れることになってしまいます。

さすがに、大きい物件は、スペースで割って算出する場合は、割安で売ることが多いので、当然、そのようなことにはならないと思います。つまり、一見、同じ、3BRなのですが、「こちらの物件と、比べられるような要素が、実は、それほど、ない」のですね。ちなみに、この修理屋さんは、うまいですね。このサイズの案件としては、最高価格が、ついたように見えます。


次の物件として、お客様が、「それじゃあ、これは、どうですか?」と提示されたのが、下の物件。

1comps2333.jpg

こちらの物件は、2013年4月に、9万6,000ドルで売却されています。

現状有姿で、アップデートがぜんぜんありません。内装写真を見ると、1950年か60年代からのもの?と思われる「その割には状態がいいキッチン」など。。。サイズは、1,000SQFT強。

しかも、そもそも、ここには書いてありませんが、別のサイトを見たところ、ショートセール(任意売却)だったことが、わかりました。(SHORT SALEについては、こちらから)その意味でも、実需案件として市場でトッププライスをゲットしようとする私たちにとっては、筋違いの売却履歴で、適当なCOMPARABLE SALES RECORDではないということになります。

というのも、このエリアでは、銀行がらみの案件は、融資をゲットすることが困難ですから、このショートセールは、私たちと似たようなことをしようとしている投資家のような立場の買主が、キャッシュで購入したはずです。それに対して、当方がエグジット用のターゲットとしている実需希望者というのは、要修理物件を居宅とすることにはまったく興味がなく、貯蓄があるわけではなく、ほぼ確実に、ローンを取得することがわかっているために、夢の豪邸を、トッププライスで買う気満々、という属性の方々なのです。

私自身だって、フルタイムの仕事があり、自分や子供が、すぐに、引っ越そうと思っている状況なら、今、水周りに、カビが出ている家や、屋根裏が浸水したばかりの家が、割安で買えるとしても、買おうとは思えません。それくらいなら、自分自身がフィックスアップできない人間としては、家族に健康被害が及ぶ危険を天秤にかけるより、本業に精を出したほうが、効率がいいですから。しかも、キャッシュで安く買うことができるという話ではなく、小額の頭金だけを用意し、後は、融資を当てにしているわけですから、銀行が、NGを出したら、よしんば、「割安案件が欲しい」としたとしても、買うことは、予算的に、できないわけですね。

ということで、3つめの物件として、投資家様が、掲げられたのが、下の物件。

1comps23333.jpg

もう、お分かりですね。この物件は、2ベッドルームで、1,200SQFT。3ベッドルームですらありません。状態はいいいのですが、しかも、サイトで、購入条件を見ると、FIRST LOOKプログラムの対象であると書いてありました。

FIRST LOOKは、HUD、FREDDIE MACやFANNIE MAEなどの政府機関収用案件であることを示す証拠。

どんなプログラムかというと、回りまわって、政府銀行が融資をした案件の抵当権のカタに、格安で損切りするために売却しようとしている物件であるということ。政府銀行がオーナーであるため、FIRST LOOKという、「期間を決めて、実需希望者に、優先的に、入札させることができる」プログラムがオファーされているのです。

政府資源を使って行うことなので、地域の安定や、実需希望者のアメリカンドリームを実現することを目標としており、その家に住みたい人が、最初に、内見し、入札することができる期間が、設けられていて、一般投資家は、その期間が終わった後でないと、入札できないのです。

ちなみにこういうタイプの政府案件は、銀行の損切り底値案件と異なり、実需希望者用にローンを組む機会が提供されています。

つまり、これも、物件の属性がまったく異なり、銀行処分物に準じる割安優遇案件なわけですね。ただ、このタイプの物件だったら、私たちの物件を買うタイプの実需希望の顧客層が、入札をしてもいいので、ライバルといえば、ライバルではあるのですが、やはり、基本は、収用案件なので、軒数は少なく、入札競争は激しく、また、投資家修理案件と異なり、多少の修理を自分で引きうけることがつきものだったりもするなど、多少、商品としてのつくりが、やはり違うのです。

以上のように、お客様は、当プロジェクトが、本当に、きちんとした価格で売れるのか、物件の担保力が確実かという観点から、こうした物件を引き合いに、質問をされたわけですが、このエリアでは、このように、きちんと、これらの物件との差別化は、できています。

ちなみに、都市、エリアによっては、「周囲は見渡す限り、処分案件」といったこともあり、そうした都市では、「あの物件は、銀行処分物だから、うちらの物件とは違う値段だよ」などといっても、通らない場合もあります。

なので、そういうエリアでは、フィックスアップを試みようとしても、周囲の要修理案件に、価格をひいきずられ、せっかく修理しても、利益が思うように出ません。そういうエリアでは、鑑定しても、価格が、軒並み、低めにしか出ず、銀行に関係ない普通の当事者にとっては、不公平感もあったりするものです。

しかし、私たちの手がけているエリアでは、このように、銀行処分物と、トッププライスの修理済み案件が、横並びで、別々の値段で、それぞれに、正当な価格がつけられる、それが、魅力である、というわけなのです。

このように、鑑定は、ネットで、ある程度、「なんちゃって」気分で、調べられるものの、その精度を高めるには、地元の状況への理解の他、それなりの背景知識や業界の状況に対する素養が必要です。ネットには、情報がたくさんあふれていますが、使いこなし方は、これまで以上に、問われていることが、お分かりになっていただけるかと思います。

このサイトをご覧くださっている皆様は、くれぐれも、ZILLOWで鑑定額を算出し、CRAIGSLISTで物件を買ったら、見事に、引っかかってしまった、、、などということは、ないように、お気をつけください。


それにしても、3ベッドルーム案件を、5ベッドルームに仕立て直す、なんていう大プロジェクトを日常的に粛々とこなしている米国のパートナーには、素直に、脱帽です。


中山からのお願いです。
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