SNSやインターネットの功罪 アメリカ不動産投資編
《2015年3月4日付 下の記事は、2012年の12月に投稿しました。依然、初級者が、カモにされる話が多いので、最近の読者様向けのご参考に、アップしなおしてみます。読み直してみましたが、あまり整理されておらず、申し訳ありませんが、今余り時間がなくて。2015年現在、米国不動産投資のための商業ローンは、外国人には、あまり出ません。最近よく聞く例で、減価償却を目標に、(商業)ローンによる借り換えを想定し、短期の売主ファイナンス契約を組まれる方に相談されることがありますが、現実には、成功するとは限らない戦略だと思います。こうなればいいといった思い込みで投資をするのは、やめましょう。》
私自身、気がつくと、不動産投資自体を米国ではじめたのは、すでに10年以上前。当時は、
■日本で起業したばかりで、日本の銀行の門をたたく勇気もなく
■米ドルベースの小規模の輸入業に携わっていて米ドルが魅力的に
■ビジネスの年金として
米国不動産投資を始めたのでした。バブルだったので、最初の2軒はポンと2年で倍になり、「すごいところだな」と思ったのが、始まりなのですが、その後、失敗などもして、そうした経験を乗り越えながら、コンサルもするにいたりました。
投資のスタイル自体を変えながら、今に至っており、不動産が好きなので、楽しいといえば楽しいですが、やはり、その間には、人に言ったら笑われるレベルのお間抜け失敗を経験し、このブログでも、「ネタ」になってしまったという嬉し悲しい過去があります。
このブログも、気がついたら、2007年からということで、結構な年数がたちました。
その間には、「最初は、自分の失敗ネタ」が多かったのが、最近は、「これはまずいです」というようなお話を、する機会も生じています。
最近の私は、不動産とは関係なく、フェイスブックをやっていたりするのですが、ただ、フェイスブック上で、不動産投資英語勉強会というページを主催しており、そこで、この前、気になったことがあるので、ご注意。
下が、そのときのやり取りのスクリーンショットで、相手の方のアイコンや実名は、消してあります。また、現在、このポストはごらんになることができません。
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投稿やFB利用方法について、ご注意です。
昨日、具体的な案件についての発言を投稿された方がおいででした。「困っている」という話で、私もコメントを簡単に返しましたが、さらに、物件名や状況などを、ご本名でご投稿され、また、その方は、勤務先や学歴なども、ご自身のページで開示されている状態でしたので、
1,000万単位の貯金があって、不如意に海外投資に着手しようとしたところ、トラブルで困っている
といったような趣旨のコメントを、オープンに投稿されることで、詐欺や悪徳業者のターゲットになる確率を自分から増しているように思われました。
そのため、私は、「投稿自体の削除をお勧めします」とコメントして、その方は、ご自身で、そのアドバイスに従われました。
現在、詐欺や悪徳商法は大変多くなっており、関係者は、みな、逆にまじめに仕事をやっている場合ほど、業務や手続きは面倒になっています。
例えば、海外での銀行口座開設や海外送金は、本当に難しくなっており、理由は、脱税のみならず、詐欺が本当に多いからです。米国不動産投資についてみれば、
ライセンスや経験のある業者さん
であっても、イマドキ不況が続き、普通の方法では、生計が立たず、強引に、昨日の方のように、理解もできていない契約書にサインをさせ、合意に持ち込むといったような行動は、正直、頻繁に見受けられます。
例えば、昨日の例では、案件は、商業案件(commercial real estate)でした。
米国では、商業案件には、普通の不動産関係の消費者保護法は適用になりません。
投資家が、商業投資家として行動しているということだからです。つまり、商業案件と認識される物件を素人に販売する行為は、相手を、「消費者のカテゴリー」から引きずりだし、説明や開示等を一切しないですむという、一番、楽でおいしいパターンなのです。
こうした中、資産があるサラリーマンの方が、SNSなどで、勤務先まで開示しながら、投資情報をオープンに収集しようとするのは、はっきり言って、「鴨ネギ」状態で、第三者から見れば、「こういう人は、自分の不注意で引き起こしたトラブルではないか」と思われかねません。
ご本人情報開示については、くれぐれもお気をつけください。
いずれにせよ、このページは、個別投資状況にサポートを無料で提供するページではなく、個別メッセージで相談がされた場合でも、私は100%無視します。「友達」の場合は、ブロックです。
理由は、弁護士法によると、トラブルになっている状況で、第三者の相談に乗る行動自体が、本来、資格なくして行うべきでない行動の範疇に入る可能性があるからで、私の顧問弁護士に、基本的に、トラブル相談に返事をするなといさめられているからです。
私自身、親戚や顔見知りならいざしらず、無料で、あったこともない方の相談に親身に乗ってあげて、後で紛糾するかもしれないような状況に身をおくほど、お人よしではありません。
ご了承ください。
管理人 中山道子
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以上が、「SNS、ネットの問題」ですが、関連して、商業案件とはなにか、また、自分でできるデューディリジェンス?について、せっかくなので、少し、補足しておきます。
日本では、サラリーマン大家さんでも、最初の一軒目に、フルローンの中古アパートを買ったりすることは、珍しくありません。30室のマンションをイキナリ購入し、成功したなんていう方も、探せば、おいでかもしれません。
しかし、実は、米国では、
5室以上のアパート
は、居住が主目的でも、連邦上の区分で、商業物件扱いになるのです。
融資を取得する場合の区別のみならず、デューディリジェンスや契約書など、すべてが、いわゆる、米国人の言う、
a whole different ballgame
まったく違う野球(リーグが違う)
となります。
この方は、グーグルマップスを見たらよかったから、5,000ドルの手付けを送ったということでしょうか?
■外観だけ
■1、2年前のもの
だけを見て、申し込みをできる度胸はどこから来るのかと、別のレベルの突っ込みもできそうですね。
書き込みを見ると、フィリピンやマレーシアの東南アジアの新築案件も試して見られているようで、初心者なのに、お忙しくされているとしか、いえません。これがキャンセルできれば、次は、ミャンマーですかと突っ込みたくなります。
私自身は、「多方面への初心者の短期間の投資」については、過去に、何回も、警鐘を鳴らしています。例えば、こちらから。
このフェイスブックの方は、プロフィールを見に行ったら、有名大学を出た専門職で、日本の銀行が喜びそうな硬いプロフィール。ご自身の職業では、専門的なレベルのアドバイスやケアを、サービスする立場の方でした。
(プロフィールから何から、全部自作自演の可能性ももちろんありますが、具体的な案件の宣伝とか、特に、「儲け」のアングルがある感じではなかったので、本当に実在する初級者の方が、駆け込まれたのだと判断しています)
日本のみならず、米国でも、マネーリテラシー教育というのは、いくら学校に行っても、身につきません。私も学校なら、たくさん行きましたが、親からも学校でも、マネー教育は特に受けず、30過ぎて、痛い目にあいながら、、、苦笑
皆さんも、ご同様なのかもしれません。しかし、やはり、契約書にサインをするときは、やはり、ブローカーに、解除条件も含めて、詳細を問いただすくらいのことは、最低、行いたいものです。
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この前、私自身のお客様でも、
これからお付き合いをするにあたり、身分証など見せていただけませんか
とお申し出をされた方がおいでになりました。
私などは、不動産免許も持っていないことはブログの自己紹介にも、明記してありますので、それくらいのご心配は当然かと思います。
ただ、この方には、正直に、
「それは問題ありません。しかし、トラブルになった場合は、私の実名が明らかだからといって、訴訟が起こせ、勝訴し、しかも、損害が帰ってくるかというと、米国契約法では、それは、一般に難しく、特殊な契約を立案しなくても、関係者は、簡単に責任問題を、合法的に回避できます。なので、むしろ、案件の具体的審査や確認に、時間を使われてみてください」
と、申し上げました。これは、はっきり言って、私が日本在住、米国在住であっても同じです。ちなみに、今は、中国語の修行で、中国在住ですので、、、
ということで、具体的には、相手を信用できるかもあわせて、案件を自己審査しないといけない場合は、
◇◇◇契約前に、自分でできること◇◇◇
1)現地でライセンスを取得しているブローカーを自分で見つけ、簡単に案件を検討してもらう。例えば、普通のセールスパーソンなら、comparables (comps, 周辺物件との比較)、ブローカーであれば、Broker's Price Opinion (BPO、ブローカーのほうが不動産のライセンスが上なので、少し信用度が高い)を通常無料ではじき出してくれます。
この場合、案件を用意してきた人に、「そういう人を紹介してください」といえば、向こうが、サクラのような仲間を連れてくる可能性が排除できなくなりますので、やはり、正しい手順としては、御自身で、そうした方を探す必要があります。
ただ、結構これは難しく、いい人が見つけられるかはわからないので、ひとつの案として、ネットで、米国ライセンスを持っている日本人の不動産業者さんに、エリアが違っても相談し、該当エリアの知り合いを紹介してもらうというやり方を取ることは可能であると思います。これは時間がかかるプロセスです。
2)該当する物件がある自治体にPCでアクセスをして、ネットで、その物件の公開登記情報をサーチする。
私が、PCセミナーでお教えしていることですが、英語が得意な方や熱心な方なら、御自身である程度のところまでできるかと思います。市町村に直接電話をすれば、その場で、多少なら、やり方や仕組みを教えてくれるはずです。ただ、ネット公開度が低い自治体の場合は、提供情報が不正確な場合があります。その場合は、ブローカーがその旨を説明できると思うので、6)や7)の段階で裏づけを取ります。
3)ブローカーに契約内容の説明を依頼する。必要があればメモ書きしてもらい、証拠とする。それが難しい場合、ネット上の翻訳業者などに、契約書を、法律の非専門家に可能な範囲で概略翻訳してもらう。
4)契約書や資料に書いてある米国側の関与をしている人たちの連絡先に連絡をしてみる。
メールをしてみる。電話をしてみる。その際、「あなたはこの取引に本当に関与していますか、その関与方法は何ですか、この案件の概要はどんな状況ですか」といった質問をしてみる。
5)大型投資であれば、不動産関係の弁護士に、契約書を読んでもらう。州ごとなので、不動産専門の弁護士を、州の弁護士協会からでも紹介してもらいます。日本語ができる人は、当然ですが、コンサル価格が、通常、より高いです。
6)送金前に、決済代行会社(タイトルエージェンシー、title agency)に電話し、担当者と話をする。決済代行会社は、名義書き換えを中心とする決済をつかさどるための米国の専門の会社です。
手付けを打つ前後のタイミングで通常売主が指定してくるか、もっと前に、向こうの指定する契約書に記載がある場合もあります。
決済代行会社は、中立的な司法書士のような役割ですが、日本の司法書士と異なり、売主と買主の相対取引の間に立って、第三者的に取引を采配します。なので、担当者に電話をして、自分のブローカーから聞いている話と一致するか、確認することができます。
決済代行会社を経るとコストがかかるから、名義書き換えは自分がやっておきましょうといってくる売主がいます。第三者をかませるのがまずいから言うことですので、素人は、そこで取引を中止してください。そうした取引は、別段違法でも何でもありませんが、そのことの意味を理解できない素人相手にそれを提案するというのは、こちらの足元を見て行う行為で、向こうは向こうで、不動産取引について、無知な可能性もあります。
7)タイトルインシュアランスが出るかを確認する。タイトルインシュアランスについては、こちらから。
コストがかかるからやめましょう、タイトルインシュアランスがないから安いのですといわれたら、初心者は、取引を進めるべきではありません。
そうした取引は、6)の例同様、違法ではありませんが、6)同様、私ごときのブログを読んで参考になっているレベルの人は、やはり、手を出してはいけません。
また、タイトルが出る場合は、決済書類ができてきたら、そこに、title commitment という書類があります。この書類に、保険を発行する会社の連絡先が書いてあるので、インターネットでその会社のウエブサイトを見つけ直し、そこに電話をして、保険が実際に発行される予定になっているのかを確認できます。
☆☆☆ 参考サイト ☆☆☆
「こんなことが自分で英語でできれば苦労しないよ」とおっしゃる方がおおいかもしれません。関連して、上の作業を行うにあたり、語学について、利用されることに、意味があるかもしれないウエブサイトをご紹介しておきます。以下いずれも私は利用したことがありませんので、単なる例です。ネットサーチで他にもいろいろなオプションが考えられると思います。
日本語の翻訳をしてくれるサイト例は、こちら。
電話会議の通訳をしてくれるサイト例は、こちら。
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以上のほかにも、できることは思いつきますが、きりがありません。この記事については、趣旨は伝わったのではないと思います。セミナーなどで、また、機会があれば、お話しすることができるかもしれません。
昔、若い人に、「金持ちになれば、全部、何でも人任せにできるんじゃないんですか?」と聞かれ、びっくりしたことがあります。
これは、親が、「高額の有名私立に行かせれば、子供が勝手によく育つんじゃないのか」と思うのと同じで、こたえは、「まあ、そういう場合もあるかもしれませんが、だからといって、金が自分のものであることを、子供は自分の子であることを、忘れてしまえるわけではないのではないでしょうか」といったところでしょうか。
ここで、私の好きな「芸能ネタ」を例によって出してくると、有名俳優のニック・ケイジは、次々とダメダメ不動産投資をしまくった挙句に、IRS(連邦税務局)に税の追徴を追及されるにいたり、「アドバイザーを訴えた」ということがありました。こちらから。日本で言えば、政治家の「秘書がやった」というやつでしょうか。トラブルになれば、結局は、それでは、問題は解決しません。
自分のアドバイザー、子供の学校の監督は、やっぱり、自分の責任で。
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