カンボジア不動産投資詐欺の例を取って
こんにちは。世の中には、詐欺というものがたくさんあり、これは、投資失敗とは別のカテゴリー。
ちょうど、今日は「カンボジア不動産投資詐欺」が関係者逮捕や立件に持ち込めた、というニュースを、関係の弁護士先生のSNSでの勝利宣言で拝見し、心の中で、拍手しました。弁護団は、ほぼ、手弁当だったということ。頭が下がります。
「アメリカ不動産のサイト」ですが、少し距離があるほうが、物言いしやすいところもあります。まずは、読売新聞の報道を拝見させていただきましょう。
「カンボジアの不動産への投資名目で現金をだまし取ったなどとして、神奈川、北海道など13道県警の合同捜査本部は28日、「FIRST不動産」元社長の米沢靖之容疑者(54)(福岡市西区)ら男女13人を詐欺容疑などで逮捕した。」
「捜査本部は押収した資料などから、グループが2012年8月からの約1年間に、39都道府県の二百数十人から計20億円以上をだまし取ったとみて調べている。」
手口を見ると、いわゆる一般的な劇場型詐欺のネタにカンボジア不動産投資を組み合わせたもののようですね。
直接の逮捕に踏み切れた案件は、高齢の女性に、カンボジアのアパート案件のパンフを送りつけ、「これを買ってくれれば、後で、高値で買い取る」と約束し、600万を詐取した、という状況らしく、
> 複数の人間が、ドラマ形式で、交互に役割を演じあい、「カモ」を誤解させ、陥れる劇場型詐欺
だったようで、別段、カンボジアの不動産である必然性は、なかったようですが、他方で、弁護団の被害者の会のサイトによると、関係する団体には、不動産会社を名乗るものがあったようです。また、コミッション制というのでしょうか、関係販売店などもいくつもあった様子。以下が、名前が挙がった各社です。
> 株式会社FIRST不動産、ユニバーサルマックス株式会社、JPA株式会社、株式会社S.F.C.、株式会社アセアンエステートおよびこれらに関係する販売代理店等
だそうです。実際の裁判を見ると、
「日立開発」
といった、「大手企業と紛らわしい会社名?」な販売店が槍玉に上がっています。住友不動産にいたっては、名前が勝手に使われているということで、困っているそう、、、
弁護団のサイトから、実際の裁判例へのリンクをここでご紹介します。
2014年になっても、「土地投資」「リタイアアパート」などの勧誘が、新たな会社名などを織り交ぜ、続けられているということ。
消費者センターからも、「カンボジア投資」がらみのアラートが出ていました。
今度は“カンボジアの土地使用権”!依然続く劇場型勧誘?「リゾート地」「農地」の投資話にご用心?
投資がらみで、被害額20億って、13人が逮捕される額としては、たいした額じゃないですよね。高齢者で、5,000万、1億くらい持っている方は結構いますから、ならすと、分かっている被害者は、せいぜい、40、60人くらいでしょうか。実際に逮捕できたのが13人であり、出てこない被害者、立件できない関係者は、それぞれ、その3倍くらい、軽くいるんじゃないでしょうか。
しかし、「この程度」でも、関係弁護団は、41人もの弁護士の熱意と協力が必要だった様子。正直なところ、つかまるのは「下手」なほうで、何年でも詐欺まがい営業を続けているような会社というのは、世の中、結構あります。詐欺を立件するのは、本当に難しいからです。
私のブログを読んでくださる方は、「リテラシーの低い高齢者の方」は、少ないかもしれません。属性的に、「こんな目にあうほど、俺は馬鹿じゃない」と思われる方もおいでかもしれません。
しかし、私は、投資のネットサーチに、こうした「詐欺に対する被害警告」「実際の被害者のケース」「弁護士が書いたブログ」などを、時々、参考程度に、混ぜてみることをお勧めします。今若い方は、ご家族の高齢者様が、こうした詐欺に引っかからないように、ということを念頭に、行動されるための指針にされることをお勧めします。
高齢者をターゲットにした劇場型詐欺の場合、一度投資被害にあうと、「ブラック名簿」に載せられ、二次被害勧誘がどんどん雪だるま式に膨れ上がります。最初は、「羽根布団を無料で洗います」「高級な掃除機で、無料でお掃除を体験してください」といった手口で、一戸建てなどを狙い、家庭内にあがりこみ、資産家の経済事情を探る手法がよく取られます。
「なんで、わざわざセールスマンを回らせて、無料で布団を洗ってくれるんだ?商売的に、おかしいから、家に上げることは、拒否」
くらいのところまで、自己防衛できるようでないと、今は高齢者相手の詐欺から、家族を守れません。
実は、こういう手口で家庭の事情を掌握し、「金がありそうだ」となると、「カモリスト」に掲載され、そのリスト自体を販売したりするなどの裏のマーケットがあり、その次の一団が、次々と、送り込まれるわけです。上の一味も、そうしたリストを利用し、このようなマーケッティングを行ったはず。そして、実際は、これは、氷山の一角なのです。
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さて、ここから先の話は、「カンボジア不動産投資詐欺」「高齢者向け劇場詐欺」の話ではなく、がらりと話題を変え、このブログのテーマである不動産投資指南に引き寄せて、ブログ本来の読者層様を想定した一般論を。
あまり、イメージに、惑わされないで、というお話です。詐欺師は、話が巧妙なことは、分かりました。一流のマーケッターは、すごくネガティブに悪く言ってしまうと、このレベルと、結構、紙一重です。
例えば、アメリカ不動産投資のビッグネームを例によって取り上げて見ましょう。
別の記事で書いた「不動産王のロバート・アレンさん」も、不動産では、実際には取得した不動産の固定資産税が払えなくなり、破産をしています。その後の彼の経済的な成功は、この10年、セミナー出席や個人的なやり取りも含め、彼をウオッチングしてきた結果を前提にすると、
> インフォプレナーを表にし、ビジネス。もちろん講演や本の販売など多数の収入源
> さらに、その裏では、その名簿を使い、ユサナのネットワーキングビジネス
で、広くダウンを勧誘するのに成功し、トップに立つ立場にあることが、背景にある可能性が高いです。(納税申告書を見せてもらえるわけではないので、当然、推測ですが)
私の知っていることを前提に彼のビジネスモデルを、推察するとしたら、
→ 本を売り、セミナーを行い、メルマガのリストを作る
→ そっちの顧客層の中から、MLMで、ダウンになってもらう
→ 本は、MLMのほうで、組織的に買ってもらうので、毎回ベストセラー
→ もちろん、情報商品を売り、ここからも、金を稼ぐ
→ その循環
といった感じで、複雑に絡み合ったオイシイ仕組み、まさに、彼の本通り、multiple streams of income です。
もちろん、やることすべてが、成功されるわけではなく、しばらく前は、新刊本を売るためのブッククラブ形式のMLMサイトをオープンされていましたが、それは、つぶれたようです。80年代の破産や、生命の危険をもたらした数年前の自動車事故に始まり、すべての挫折を乗り越え、常に前を向く起業家の鏡です。
そんなアレンさんにとっては、不動産は、むかあし、不動産でベストセラーを出した彼が、「ひとつお見知りおきを」と、お名刺交換に使うときの小技の一つに過ぎない気がします。
なので、彼がすばらしい存在だというのはそうかもしれませんが、別のところで書いたように、それでは、「彼が不動産投資で資産を築いた」というイメージがあるとしたら、それは、巧妙な刷り込みに基づく完全な誤解です。ロバート・アレンさんのナッシング・ダウンについてのご質問
「金持ち父さん」で名を成したロバート・キヨサキさんなんかも、もともと、MLMを手広くやってきました。(彼のほうは、USANAではなく、アムウエー)
キヨサキ氏の場合は、投資関連商品販売セミナーに関連しては、結構な頻度で、いろいろなところから、問題があるという指摘をいまだ多く受けています。
これらの方々が憎くて、槍玉に挙げているのではなく、また、MLMが、悪いとも言いません。私も、アレン氏やキヨサキ氏の「ファン」に近い立場だからこそ、ウオッチングしていると思っていただいてかまいません。
しかし、カンボジア不動産投資詐欺には、引っかからない方でも、ロバート・キヨサキ氏が、強引な手法で、投資関連商品販売にあたっては、定期的にトラブルを起こしており、2012年にフロリダで検事総長に訴えられた際には、合計70万ドルもの罰金・弁済に合意をして、手を打ったことは、ご存じなかったのではないでしょうか?
ここで、普通に疑問なわけです。
不動産をはじめ、投資で、それほど儲けられる《投資の神様》なら、ドナルド・トランプ氏までいかなくても、それだけで、普通の金持ちになれるのでは?投資コーチングがそんなにいいなら、強引な売込みをしなくても、自然に売れるのでは?
そもそも、キヨサキ氏は、どうして、トカゲの尻尾きりのように、会社をひとつ倒産させてまで、無名のときから集客を手伝ってくれていた業界随一の広報会社の成功報酬型コミッションを支払うのを拒否したんでしょうね?(これも、2012年のことでした。訴訟が影響したことは間違いないだろうと思います。)
世界のセミナー・プロモーターたちから、信用を失って、彼のセミナー集客ビジネスにとっては、致命的だっただろうと思うのに、、、
彼が、超一流のスピーカー、ライターであることは、間違いないだろうと思う反面、これが、不動産や投資、セミナービジネスと、何十年にもわたり、本当に儲かって困る人のすることなのかとは思いませんか?
こういう行動って、散在や無計画などもたたって、資金繰り一つ出来ないような人、いざとなると、銀行も、回転資金すら、貸してくれないような信用のない会社のとる行動なんじゃないでしょうか?
最近、アメリカからの売込みが、、、リッチ・ダッドの2014年
実際には、調べれば、ネットで、英語なら、公的文書をはじめとして、普通に流通している情報です。このように、ネット・サーチだけで分かることだって、結構あります。高齢者でない私たちは、まだ、更正可能です(笑)。イメージに流されないで、冷静にいきましょう。
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