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どんな失敗がありますか? 短期フィックスアップ案件・後編

この記事は、前編からの続きです。


どんな失敗がありますか? 短期フィックスアップ案件・前編


そちらの記事では、くどくど説明しましたが、つまり:

要修理格安物件に、11万8,000ドルほどの資金を投入し、そのうちの11万ドルは、高金利で借りているお金。4BR2BAの大きな物件で、自信満々で、掲載したはずが、このエリアとしても、格安の14万ドル台を受け入れなければ、売れないところまで、行きました。70組以上が、半年にわたり、毎日のように、内見にきてくれたのに、どうしても売れない理由とは、、、

というところまで、先だって、お話しました。その後、話を聞いたら、なんと、14万ドルよりさらに低い、

 13万8,000ドルのキャッシュオファー

を受け入れることになったということ、、、_| ̄|○

買い付け証明は、最終的に、ようやく、二つ入り、しかし、ひとつは、融資が条件だったため、キャッシュのほうをとったということです。

138K Cash and no closing cost
145K Loan offer and 3% Closing cost credit back

ひとつのオファーは、キャッシュで、ボトムプライス。しかし、売主側に対しては、決済条件で提示されるCONSESSIONS(譲歩)の要求がありません。

もうひとつは、14万5,000ドルで、融資が出ることを条件とする購入オファー。ただし、決済時に、売主からのCONSESSIONSとして、4,350ドル(145Kの3%)のキャッシュバックを、決済のために買主が要求されている各種コストに対する見返りとして、要求するもの。〔バブル後、エリアや状況によっては、売主のCLOSING COSTSへのCONSESSIONはNGになったりしたものですが、今は、いいようですね〕そうすると、

14万5,000ドル
マイナス 4,350ドル

で、13万8,000ドルとの違いは、大体、2,650ドルとなり、実際に、融資が取れるかが、100%とは断言できない状況より、現金をオファーとともに見せてくれる投資家を選んだということです。この投資家は、物件を、長期レンタルとして運用したいということでした。エリア的には、なんといっても、4BRですから、1,450ドル前後の月額家賃がゲットできるでしょう。

しかし、なぜ、この物件には、70組を超える内見(物件を、購入希望者が確認に来ること)があったのに、実際には、これほどまでに、オファーがこない状況が続いたのか、、、

どうやら、ここには、経験豊富なフィックスアップ投資家である私のパートナーをもぎょっとさせるトラップがあったらしいのです。

それが、

間取り  FLOOR PLAN

米国の間取りというのは、比較的、大雑把で、もちろん、よく調べると、それなりの技は隠されていますが、しかし、小難しいようなものは何もなく、日本のように、「3角形の土地にどうやって二世帯住宅を作ろうか?」などという高度な悩みには、誰も対面していません。

サンフランシスコや、ニューヨークのような、土地がとても高く、ミニスペースでやりくりをするようなところは別ですが、普通の都市では、間取りは、


「あまりに問題にならないので、誰も、不動産情報に間取りを載せません」


そう、米国の「マイソク」というか売りや賃貸チラシ、MLSリスティングのプリントアウトをご覧になった方はお気づきと思いますが、間取り図が、出ていないのです。

昔、そういった記事も、書いたことがあります。こちらからどうぞ。


玄関がない! 合理的なアメリカの家
マイソクにあって、MLSにない情報とは!?【間取り編】


それで、この家も、大きな家なので、間取りについては、小さいスペースにいろいろ詰め込んでいるというわけじゃなし、どうして?と思ったところ、なんと、毎回、家を見せるたびに、

この物件は、マスターでないバスルームが、キッチンの隣にあり、キッチンの端っこを通らないと、いけないことが、みんなに嫌われた

というのです。

4BRで、2BAなので、マスターバスルームは、主寝室の隣で、ほかの寝室からだと、どうやら、キッチンを通らないといけない、この間取りでは、パーティーをしたり、子供の数が多かったりすると、とにかく、気を使い、不便だ、というわけらしいのです。

特に、4つ目の寝室は、半地下にあり、トイレに行くのに、毎回地上に行かなければ行けないのは、確かに、贅沢を言い出せば、「めんどい」のかも。4つベッドルームを作ったのに、家のサイズ自体は、1,400SQFT(120平方メートル前後)と、大きいとはいえないのも、間取りが窮屈な理由。

いろいろなフルリフォーム計画を立てるのには慣れているパートナーは、周囲や奥さんとも相談しながら、リフォームをしたのだそうですが、ここは、どうやら、盲点になっていたらしく、「そこまで気にならないだろう」と思い込んでいたところ、この状況には、頭を抱えてしまいました。

「5,000ドルかけていれば、キッチンの場所を少しずらし、バスルームとの間に壁を作ることは、問題なかったのに」

と悔やみましたが、すべてのリフォームが終わってしまった段階で、それを壊すのも、大変過ぎるということで、彼は、


MOVE ON(ロスを切って先に進む)


ことにしたのです。。。


私も、間取りで、ここまでジンクスがあることがあるとは、知りませんでしたが、やはり、不況を経て、財布の紐も硬くなり、また、融資を受ける際には慎重に慎重を期して、といったところで、自宅購入希望者の要求は、ますます、ハードルが高くなっているようです。

バスルームのためだけで、周囲と比べ、1、2万ドルくらい、安くなるという話なわけですから、こっちの立場からは、「文句言わないでもいいじゃん!」と思いそうですが、融資の審査を通っているかたがたは、「18万ドルまで融資OK、ただし、購入価格の1%、3%または5%の頭金を自分で用意しなさい」などといった”予算枠”が、銀行から提示されていますから、「せっかくだったら、ここで、妥協はしたくない」という発想になるようです。

融資を取る際でも、元本が1万ドル単位で違えば、結構、長期的に払う額は、差額の倍に近くなったりしますが、それでも、この「計算」と「理想の家」のせめぎあい、葛藤の中、「バスルームの場所」は、そこまでの大失点だったとは、、、

ネットで簡単にサーチしたら、NG間取り集という記事がありましたので、最後に、紹介します。

Bad Home Layouts - How You Can Avoid Buying a Home With a Bad Layout Design
1floorplan.jpg

その1 Inside Stairway Facing the Entrance

エントランスを入ると、いきなり、階段がある。狭い家だと、いきなり過ぎるが、大きいエリアで、螺旋階段で、採光性が高いなどの例外はある。

その2 Hallway Facing the Entrance

エントランス正面は、廊下だけ。暗い廊下以外ないというのは、アメリカの考えでは微妙だそうです。日本の考えだと、廊下以外は、見せたくないというこういう間取りが多いですけどね。温かみにかけるそうです。

その3 Dining Room in the Center

玄関、リビングと来て、ダイニングが中心にあり、キッチンに行くにも、寝室に行くにも、ダイニングが中心になっているような間取り。面倒だから。

その4 Adjoining Bedrooms

寝室がつながっている場合。寝室として認められない場合がある。(この論点は別の記事で取り上げました。「寝室の定義」1 寝室の定義」2

その5 Bedrooms Located Off the Living Room / Dining Room

ダイニングやリビングを通って寝室に行く場合。

その6 Poorly Located Guest Bathroom

玄関を入ると、突き当りがトイレ。日本ではこれ普通だと思いますが、米国では、NGなイメージなんだそう。お客さんがいるときは、トイレのドアを、半開きにしておくべきなので、来てすぐ、半開きのドアからトイレが覗いているのは、微妙なんだそう。結構デリケートなんですね。トイレを半開きにして接客するほど気を使っているようなお宅にはあまり行ったことがありませんが。笑

その7 No Views From One Room to Another

どの部屋からも、見晴らしが悪いと狭く感じる。

その8 Satellite Living Rooms

居間が、玄関を通ってしか、出入りできない。これも、昔の日本の感覚からすると、「客間が、ほかの部屋につながっていなくてもいいじゃん」という感じですが、今は、日本でも、客間と居間を分けることは、しなくなりましたね。米国でも昔の構造だと説明があります。


+++++


上の記事は、どれくらい有効なのか、よくわかりませんが(エリアや状況、ライフスタイルというか、年代にもよりそうですよね)、あえて、今回の失敗例とつなげると、「バスルームがキッチンを通る例」、つまり、ダイニングのみならぬ、「キッチンを通らないと、ほかの部屋にいけない」パターン!

しかし、そんな例も、広さや、予算、古さも計算に入れると、マンションなんかだと、「仕方ない」し、実際、私自身、「3つ目の寝室が、キッチンの奥にある細長いマンション3BR物件」を、投資としてお客様にご紹介をし、上手に賃貸はできているという覚えもあるんですが。

しかし、一戸建ての自宅を、30年ローンで買うとなると、やはり、ポストバブルですし、やはり、スタンダードは、ずっと、厳しくなるのですね。この教訓、今後も、どのエリアでも、絶対同じなのかどうかまでは、本当に、わかりませんが、地元に通暁したフィックスアップであっても、稀に、「失敗」もあり、値段が、思うような価格にならないことがある、そういうお話でした。

パートナーよ、お疲れ様。利益は、いくつかの物件を平均した均しで取れるよう、引き続き、がんばってください。。。《追記: 融資をした投資家への償還は、融資を受けた現地の投資家が、儲かるか儲からないかにかかわらず、固定金利での契約なので、行われます。単に、フィックスアップをした投資家自身は、各方面の義理を果たすと、自分にはまったく利益が残らなかったという話ですね。》


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